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Japan

第22回 未来へ繋ぐ技術継承 最新テクノロジーが生み出す生産プロセスのイノベーションの手法

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年07月21日更新

生産現場でのイノベーション(技術革新)には、「プロダクト・イノベーション」と「プロセス・イノベーション」の2つがあるといわれます。
まず、「プロダクト・イノベーション」は、製品の革新です。これまで、自動車、ラジオ、テレビ、洗濯機、冷蔵庫と、ものづくり技術の進歩に伴い、さまざまな製品が生み出され、人々の生活を変えてきました。昨今での最も大きなプロダクト・イノベーション事例は、間違いなくスマートフォンでしょう。米アップルのスティーブ・ジョブスが考え出した手のひらサイズのコンピューターは、世界中でコミュニケーションのあり方を一変させてしまいました。
一方、「プロセス・イノベーション」は、生産過程におけるイノベーションです。20世紀ではライン生産の開始や、セル方式の発明などがありました。
また、人力に頼っていた製造工程をロボットに置き換える、中間業者を通していたリアル店舗での販売をネット通販に変えて直販する、といったこともプロセス・イノベーションだと考えられます。これらの改革は企業内部での改革であり、基本的に最終製品は変わりませんので、消費者に直接的な影響は及ぼしません。

IT技術の発展を背景に起こるさまざまなプロセス・イノベーション

昨今、IT技術の発展を背景にさまざまなプロセス・イノベーションが起ころうとしています。
IoT(モノのインターネット)ネットワーク上つながれた生産設備上では膨大な電子データ(ビッグデータ)がやりとりされ、高速のマシンでそれらデータを収集・分析することで、熟練の技術者の経験や勘でしかわからなかったことが、データとして把握できるようになっています。また、3Dプリンタの登場は、匠の技がなくても簡単に製品をコピーし製造することを可能にしました。さらに、人間の知能に迫るAI(人工知能)の開発で、人間の雇用機会がロボットに奪われるのではないかという危機感すら抱かれています。

最新のプロセス・イノベーションは企業の設備投資を呼びこむ

こうした一連のプロセス・イノベーションは、少子高齢化が進み労働人口が減っていく我が国にとっても朗報です。とくに、製造業の多くは、今後5年から10年の間に従業員の過半数を占めている熟練社員が退職するという問題を抱えています。生産工程をロボットに置き換え、生産データをビッグデータとして分析することで、こうした問題の解決を図れると考えられます。
また、企業の会計や経営面でもプラスになると考えられます。プロダクト・イノベーションはこれまでになかった製品を創造することで市場が生まれ、消費を喚起し、国内総生産(GDP)にプラスとなります。一方、一般的にプロセス・イノベーションはコストの圧縮や業務の効率化を目的にしますから、費用の圧縮が図られます。自社の経営コストはプロセス・イノベーションでスリム化して効率的になり、利益が増えるかもしれませんが、その分割を食っている企業もどこかにいるはずです。
しかし、現在起きているさまざまなプロセス・イノベーションは、製造業の現場に新たな技術革新をもたらすことで、設備投資を呼び込むことにつながると考えられます。
1990年代のバブル後の「失われた20年」、さらに2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災と経済環境が低迷する中、設備投資を抑え「安全第一」で経営してきた日本のものづくりにとって、大きな契機となる可能性を秘めています。

人間の仕事はクリエイティブに特化、最新テクノロジーが生み出す効果とは

IT技術の発展によるプロセス・イノベーションは、熟練労働者の職を奪うと考える人もいます。先ごろ「国内で働く人の約半数が就く仕事が、10から20年後に人工知能(AI)やロボットに置き換えられる」という調査結果が発表され、話題を呼びました。
野村総研と英オックスフォード大学による同調査では、一般事務員やタクシー運転手、レジ係や警備員、ビル清掃員やホテルの客室係など、「特別な知識や技能が求められない」とされる仕事の置き換えが進む一方で、外科医や内科医といった医師のほか、小学校や大学などの教員、人類学や社会学などの研究者のほか、観光バスガイドや美容師といった、人との意思疎通が必要な職業も置き換えが難しいという結果でした。
製造業でも、同じことが考えられます。3Dプリンタは熟練技術者しか作れなかった製品のコピーを可能にします。また、ビッグデータは経験や勘でしかわからなかったエラーの原因の特定や生産調整を容易にし、誰にでも把握できるようにします。しかしこれらの技術は、熟練技術者のクリエイティビティまでをコピーしたり、置き換えたりすることはできないのです。
こうして、AIやFAなどの技術が作業的な部分で人間の仕事を補完していくことで、人間の仕事はよりクリエイティブな部分に特化することができます。ファブレスな製造業である米アップルが市場を席捲できた理由も、クリエイティビティに特化したからではないでしょうか。
これがまさに、最新テクノロジーが生み出す生産プロセスのイノベーションだと考えられます。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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