ユーザー視点のサービス設計に徹底的にこだわるエンジニア出身者の挑戦

ユーザー視点のサービス設計に徹底的にこだわる
エンジニア出身者の挑戦



掲載日 2022年6月27日

富士通株式会社(以下、富士通)のデザインセンターは、富士通が提供する多様なサービスやプロダクトのデザインを担い、また富士通全社に向けてデザイン思考を浸透させる活動を行う、富士通のデザイン部門です。そこではどのような人が働いているのでしょうか。

玉川 洋祐は大学卒業後、エンジニア、コンサルタント、サービスデザイナーの仕事を経て、2021年に中途で富士通に入社。現在はデザインセンター ビジネスデザイン部に所属し、エンドユーザーに寄り添ったサービス企画を行う傍ら、デザインセンターのビジネスモデル検討プロジェクトにも携わっています。そんな玉川に、デザインセンターでの仕事への思いを聞きました。

記事のポイント

  • 開発に携わったシステムが顧客に使われなかった苦い経験から、顧客起点を重視するように
  • 顧客へのヒアリングを徹底することで、業務の悩みを解決するサービスづくりを実践
  • デザインセンターではデザイン専攻出身者だけでなくコンサル出身者やマーケターなど、多様な人が働いている

今の自分の原点は「顧客に使われないシステムを開発したこと」

玉川 洋祐
デザインセンター ビジネスデザイン部所属(2022年6月時点)

——— まずこれまでのキャリアを教えてください。1社目ではどのような仕事をされていたのですか?

玉川: 大学卒業後、最初のキャリアはITシステム開発会社(SIer)のエンジニアでした。この会社で、現在の仕事選びに大きく影響する出来事がありました。今から凡そ10年ほど前なのですが、自分が担当したシステムのクライアントに、システムの使い心地を聞く機会があって。フィードバックをもとに次に生かそうと考えていたら、返ってきた答えは「全く使っていない」という言葉……。かなりショックを受けましたね。

その理由を聞くと、「システム自体はとても優秀だけど、使いづらいから」とのこと。ユーザーに使われないシステムを開発してしまったことにとても悔しい思いをしました。そのときの経験から「顧客起点で考え、ユーザーが使いやすいシステムやサービスを作りたい」という思いを強く持つようになりました。

——— その後、富士通への入社を決めたのはなぜですか?

玉川: エンジニアとして5年ほど働いたのち、「もっと上流のサービス企画からビジネス開発に関われば顧客が使いたいと思ってくれるシステムやサービスを作れるのではないか」と考え、総合コンサルティング会社に転職。そこで3年間働いたあと、さらに企業のサービスデザインを支援していたベンチャーに転職しました。

コンサルやサービスデザインの会社では、組織起点/顧客起点でサービスを考える仕事に従事することができました。ただ、そこでの経験を通じて、本当に顧客に使ってもらえるサービスを世の中に広めるには、デザインの手法だけではなくSIerの知見も必要だと思うようになりました。上流のサービス設計やビジネス開発から下流のシステム開発まで、一貫して顧客視点で考えることが必要不可欠なんじゃないかと。

ちょうどそんなとき、SIerでもある富士通にデザインセンターが立ち上がるというニュースを聞きました。富士通は「IT企業からDX企業へ」を掲げ、デザイン思考の全社浸透を本気で実行するのだと。この環境ならば自分が理想とするサービスづくりに携われると直感し、入社を志望しました。



自ら手を挙げてデザインセンターのビジネスモデル検討に参加

——— デザインセンターではどんな仕事をされていますか。

玉川: 現在は、クライアント企業の事業部門に向けた、業務効率化のサービス企画を担当しています。プロジェクト期間は1年間ほどで、富士通のデザインセンターから4名、事業部からは7名が参画。私はプロジェクトマネジメント、サービスのアイディエーション、顧客ヒアリング等を担当しています。

顧客へのヒアリングでは、現場で働く一人ひとりに対してオープンクエスチョン(制限を持たせない自由回答式)で質問。業務への悩みを丁寧に掘り下げることで、モチベーション向上や気持ちのケアまで考えたサービス設計を徹底しています。

顧客一人ひとりの感情を加味しながら行うサービス企画は、凡そ10年前の全く使われなかったシステムを作ったときとは異なるアプローチです。デザインセンターでは顧客視点に立ったサービス設計を重視しており、まさしく自分のやりたかった仕事にたどり着けたと感じています。

——— 他にはどんな担当業務がありますか。

玉川: これはまだ始まったばかりですが、デザインセンターのこれからのビジネスモデルを検討するプロジェクトに参加しています。きっかけは、デザインセンターが今後進むべき戦略を定める「戦略企画部」主体の案件にメンバーとして参加していたことです。

私は別の案件で戦略企画部と仕事をしていたのですが、あるとき「デザインセンターのここに課題を感じている」と正直な気持ちを申し伝えたところ、「ちょうどその課題について検討している人がいる」と戦略企画部に招かれ、気づいたらこのプロジェクトに参加していました(笑)。このように、思いを発信すれば自分のやりたい仕事ができるのは、デザインセンターの特徴かもしれません。

ビジネスモデル構築は本当にゼロからのスタート。さらに言えば、通常業務ではだいたい半年間ほどの期間で動くものが多いなか、これは今後数年間をかけて実現していく新たなチャレンジです。通常業務とはまた異なるやりがいや達成感を得られるとわくわくしています。



ユーザーが最高だと思えるサービスづくりを極めたい

——— デザインセンターでは、デザイン専攻出身者と玉川さんのようなエンジニアやコンサルなどの出身者が協業していますが、この利点はどんなことだと思いますか。

玉川: いま富士通は「IT企業からDX企業へ」変わろうとしています。本当のDX企業になるためには、世の中を1つの断面で見るのではなく、さまざまな経験を持った人間が複数の断面から見る必要があると思います。多様なバックグラウンドを持つ人同士が協業することによって、相乗効果から思いもしなかったイノベーションが生まれる可能性は高まります。デザインセンターに、様々なバックグラウンドを持った人が「デザイン」というワードを軸に集まっていることが、変革を進めるための大きな利点になっていると思いますね。

——— デザインセンターで求められる人材とはどんな人でしょうか。

玉川: 変化を楽しみ、変化を作れる人だと思います。私はまだ社歴が1年ほどで変革前の富士通を中から見たことがありませんが、社歴の長い方からは「富士通は本当に大きく変わった」という声をよく耳にします。デザイナーにも「これまではUI/UXデザインに携わる案件が多かったけど、今はサービス設計などの上流から下流までさまざまな案件に携わるようになった」と言う人が多いです。

今富士通社内で起こっている変化は決して一過性のものではありません。これからもしばらく続く連続的な変化です。その都度変化するこの状態を楽しめる人のほうが、デザインセンターには向いていると思います。同時にデザイン専攻出身のデザイナーはもちろん、プロジェクトマネジメントに長けている方、開発スキルのある方、経営戦略・マーケティング戦略立案に長けた方など、多様なバックグラウンドを持っている方も存分に働ける環境だと思います。

また、富士通で働くメンバーは本当に物腰が柔らかくて、ゆったりした方が多い印象です。コミュニケーションも非常に取りやすく、一緒に仕事を進めやすいのでいつも感謝しています。

——— 最後に、今後デザインセンターでチャレンジしたいことを教えてください。

玉川: 自分の転職人生の始まりは約10年前「顧客に刺さるものを作りたい」と思ったことでした。その思いは今もまったく変わっていません。これからもエンドユーザーが「これ最高!」と思えるサービスを企画していきたいです。

そのためにはこれまで培ったコンサルやサービスデザインといった自身のスキルを生かすことだけではなく、富士通の事業部やクライアント企業、クライアントのエンドユーザーといった様々な関係者との共創が重要だと思います。その上で、エンドユーザーが負荷と感じていることを適切に捉え、改善し、ストレスのない体験を作っていく。このプロセスと手法を富士通のメンバーと考えていきたいですね。

■データ

  • 所 属
    デザインセンター ビジネスデザイン部 (2022年6月時点)
  • 入 社
    2021年中途入社
  • 前 職
    大手IT企業でエンジニア、コンサルティング会社で業務改善に係るシステム企画やデザイン会社で大手企業の新規事業開発を支援
  • 出身大学
    中央大学理工学部卒業
    電気・電子・情報通信工学全般を学ぶ
  • 趣 味
    バーベキュー、焚火、島めぐり、飲み屋めぐり、酒収集


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