——— まずこれまでのキャリアを教えてください。1社目ではどのような仕事をされていたのですか?
玉川: 大学卒業後、最初のキャリアはITシステム開発会社(SIer)のエンジニアでした。この会社で、現在の仕事選びに大きく影響する出来事がありました。今から凡そ10年ほど前なのですが、自分が担当したシステムのクライアントに、システムの使い心地を聞く機会があって。フィードバックをもとに次に生かそうと考えていたら、返ってきた答えは「全く使っていない」という言葉……。かなりショックを受けましたね。
その理由を聞くと、「システム自体はとても優秀だけど、使いづらいから」とのこと。ユーザーに使われないシステムを開発してしまったことにとても悔しい思いをしました。そのときの経験から「顧客起点で考え、ユーザーが使いやすいシステムやサービスを作りたい」という思いを強く持つようになりました。
——— その後、富士通への入社を決めたのはなぜですか?
玉川: エンジニアとして5年ほど働いたのち、「もっと上流のサービス企画からビジネス開発に関われば顧客が使いたいと思ってくれるシステムやサービスを作れるのではないか」と考え、総合コンサルティング会社に転職。そこで3年間働いたあと、さらに企業のサービスデザインを支援していたベンチャーに転職しました。
コンサルやサービスデザインの会社では、組織起点/顧客起点でサービスを考える仕事に従事することができました。ただ、そこでの経験を通じて、本当に顧客に使ってもらえるサービスを世の中に広めるには、デザインの手法だけではなくSIerの知見も必要だと思うようになりました。上流のサービス設計やビジネス開発から下流のシステム開発まで、一貫して顧客視点で考えることが必要不可欠なんじゃないかと。
ちょうどそんなとき、SIerでもある富士通にデザインセンターが立ち上がるというニュースを聞きました。富士通は「IT企業からDX企業へ」を掲げ、デザイン思考の全社浸透を本気で実行するのだと。この環境ならば自分が理想とするサービスづくりに携われると直感し、入社を志望しました。