顧客体験を突き詰めたコンサルサービスを作りたい。富士通で目指す未来

顧客体験を突き詰めたコンサルサービスを作りたい。
富士通で目指す未来



掲載日 2022年6月27日

富士通株式会社(以下、富士通)のデザインセンターは、富士通が提供する多様なサービスやプロダクトのデザインを担い、また富士通全社に向けてデザイン思考を浸透させる活動を行う、富士通のデザイン部門です。そこではどのような人物が働いているのでしょうか。

管ミッシェル檀は2021年に中途で富士通に入社、デザインセンター ビジネスデザイン部に所属しています。入社後は製造業にDXサービスを提供する部門とともに、同サービスをサブスクリプション化するためのプロモーション戦略に従事、さらには富士通の国内全社員約8万人(※)のためのポータルサイト「Fujitsu Developers Platform」を社内に浸透させるプロジェクトに参画。前職の戦略コンサルで培ったリサーチ・分析力や課題発見力を生かし、プロジェクトを推進しています。デザインセンターにノンデザイナーとして籍を置く管に、仕事への思いを聞きました。

2020年度実績。

記事のポイント

  • 全社DXプロジェクト「フジトラ」に、コンサルの問題解決力を活かせると考え入社
  • 全社DX浸透の一環で漫画を連載。デザインセンターはやりたいという意志を尊重する組織風土だと感じた
  • デザインセンターはデザイン思考を使って「現状の当たり前」に一石を投じる専門部隊

戦略コンサル出身のノンデザイナー、問題解決力を活かす

管ミッシェル檀管ミッシェル檀
デザインセンター ビジネスデザイン部所属(2022年6月時点)

——— 前職での業務内容と、転職を考えるようになったきっかけを教えてください。

管: 以前はコンサルティング会社の戦略コンサルタントでした。担当していたのはAI、ロボット、再生医療、ブロックチェーンなど先端技術に関わる領域。これらの新しい技術をどうやって社会実装するかを考えるのが私の仕事でした。そして企業や官公庁のお客様に向けて、事業戦略立案やプロジェクトに必要な調査をするなどの業務に従事していましたね。

そうした中で私が転職を考えた理由は、コンサルタントとして事業会社を支援していたにも関わらず、当時は自分自身が事業会社に身を置いたことがなかったからです。彼らが抱えている課題を当事者の立場から理解したくて、事業会社で働いてみたいと考えていました。

——— デザインセンターを魅力に感じたのはなぜですか。

管: デザインセンターには2021年に中途入社したのですが、ちょうどその時期の富士通は「IT企業からDX企業へ」の変革の只中にありました。「顧客や社会のDXをサポートするためには、まず富士通自身のDXが必要」との考えから、全社DXプロジェクト「Fujitsu Transformation(略称:フジトラ)」を始動させるなど、ますます面白くなっていくフェーズだと感じました。ただ、面接などでその内実について詳しくお話を聞いてみると、表からは見えない裏の部分に、解決せねばならない課題が山積みだと知ったんです。

コンサルタントは、解決しなければならない問題がある場所でもっとも必要とされる職業です。自分がコンサルティング会社で培った「問題解決力」を生かすことができるのではないかと考え、富士通で働く未来にわくわくしたことが転職を決めた理由です。



コンサルなのに社内ポータルで漫画を連載。デザインセンターは「意志を尊重してくれる会社」

——— デザインセンターではどのような仕事に携わっていますか?

管: ひとつは製造業DXサービスのサブスクリプション化のプロジェクトです。富士通では工場などの製造現場にデジタル変革をもたらす製造業DXサービスを提供しています。これまで富士通の製造業DXサービスはパッケージとして提供していましたが、今後はサブスクリプションで提供したいと考えており、私はそのプロモーション戦略にデザインセンターの一員として携わっています。

また、もうひとつ携わっているのは共通開発基盤「Fujitsu Developers Platform」の社内浸透プロジェクトです。共通開発基盤とは、会社側がセキュリティ面を考慮して選定した業務用ツールを、一か所にまとめた社内ポータルサイトで、これを使えば従業員一人ひとりが自分の業務に適切なツールを選定できるようになっています。

しかし富士通グループ従業員は国内だけでも約8万人もいます。ある日突然「これからはこのツールを使ってください」と公開しても「もともと使っていたツールのほうが使いやすかった」などの反対意見があると予想されました。そこでデザインセンターが、「どうしたら納得感を持って新たな基盤を使ってもらえるのか」を考えながら、社内浸透のためのプロモーション施策立案やユーザーサポートを行っています。

——— 万人に納得感のある社内浸透のため、どのような活動をされているのですか。

管: まずは富士通の従業員約8万人に「Fujitsu Developers Platform」という名称を認知してもらうことが必要です。その一環として「DP美(デペミ)ちゃん」というマスコットキャラクターを作り、彼女を主人公とした4コマ漫画を社内PRとして連載する取り組みを行っています。

管が「Fujitsu Developers Platform」の浸透のために書いている「DP美ちゃん」の漫画イラスト

管: 実は大学に入る前の私は漫画家志望で、漫画を描くのが得意でした。母親の反対でその夢は叶わずじまい。まさか富士通に入って漫画を連載できるなんて思いもしませんでした(笑)。イラスト制作などの実績は全くない私でしたが、やりたいと自分から手を挙げました。努力する、または努力しようとする姿勢が評価されれば、チャレンジできる風土がデザインセンターにはあります。それが働きがいにもつながっていますね。

——— では、デザインセンターで働く上で困ったことや苦労したことはありましたか?

管: やはり、私自身にデザイナーとしてのバックグラウンドがないので、プロジェクトの成果物に対する考え方がデザイナーの方々と異なり、最初は戸惑いを感じました。コンサルの仕事では、手元に明確なアウトプットがなくても議論を進めていくことがよくあります。しかしデザイナーの方々はアウトプットをゴールに置くことが基本。私の仕事の進め方ではメンバーを不安にさせてしまうことがありました。

そこで最近では、簡単なものでも議論をまとめた図などのアウトプットを作りながらプロジェクトを進めることを意識的に行っています。デザイナーの方々と協働する日々には、今まで自分が知らなかった新鮮な発見があり、充実していると感じています。



ゆくゆくはデザインセンター発の「コンサルティングサービス」を提供したい

——— デザインセンターの仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?

管: 一番やりがいを感じるのは、私の設計した調査がデザイナーの方々の良いアウトプットにつながったと実感するときです。調査で導いたインサイトをデザイナーたちが取り入れ、それをもとにあっと驚くようなものが出てきたときに、とてもやりがいを感じます。

戦略コンサル会社とデザインセンターでの仕事の取り組み方は別ものです。戦略コンサルは常に思考をクライアントの視点に寄せ、主体的に考えるというよりはむしろクライアントの視点・立場に立って仕事に臨みます。しかしデザインセンターにいるデザイナーたちは何事も「自分たちでやってみなければわからない」が大前提。自分なりの方法で常に試行錯誤するため、出てくるアウトプットは十人十色です。「イノベーションはこうして生まれるんだな」と感じますし、一緒に働いていて日々新しい発見があります。



——— どのような方がデザインセンターに向いていると思いますか。

管: デザインセンターで働くにあたっては「当たり前を疑う」ことのできる方が向いているかもしれません。長くひとつの業界にいると、その業界特有の文化・慣習にしたがって「これが当たり前だよね」という決めつけで業務をしてしまいがちです。でも、現在のように先行きが不透明な時代に、そのような方法を続けていればいずれ行き詰まってしまうのではないでしょうか。

デザインセンターはデザイン思考を使いながらそうした風潮に一石を投じる専門部隊。何事においても周りの空気に従うのではなく、「今のままでいいのか?」と常にチームにも自分にも問える方が求められていると思います。

——— 最後に、これからデザインセンターでチャレンジしたいことを教えてください。

管: デザインセンターらしい、新しいかたちのコンサルティングサービスを作りたいです。

お客様が主体的に「やりたい」と感じるのは、コンサルタントがすべて答えを考えて一方的に提案したときではなく、お客様と一緒に考え、全員で答えを生み出したときだと思います。そのためには、もっとアクティビティ性の高いコンサルティングメニューがあればいいのではと考えています。例えば、実際のショッピングセンターにお客様と一緒に出かけて消費者を観察し、そこからお客様と一緒にアイデアを生み出していくようなことです。

コンサルティングサービスの顧客体験価値を高め、お客様に「戦略を実行したい」とわくわくしてもらう。まだまだ構想段階ですが、顧客体験を突き詰めたデザインセンターならではのコンサルティングサービスの開発・提供にチャレンジしていきたいです。

■データ

  • 所 属 :デザインセンター ビジネスデザイン部 (2022年6月時点)
  • 入 社 :2021年中途入社
  • 前 職 :大手コンサルティング会社で先端技術領域における戦略立案や政策立案を支援
  • 出身大学:ワシントン大学 環境科学部 環境科学を学ぶ
  • 趣 味 :スーパー銭湯巡り


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