コンサル&マーケの職業知見を活かして異動。ノンデザイナーの挑戦

コンサル&マーケの職業知見を活かして異動。
ノンデザイナーの挑戦



掲載日 2022年7月25日

富士通株式会社(以下、富士通)のデザインセンターは、富士通が提供する多様なサービスやプロダクトのデザインを担い、また富士通全社に向けてデザイン思考を浸透させる活動を行う、富士通のデザイン部門です。そこではどのような人が働いているのでしょうか。

藤村 拓自はコンサルティング会社に勤務後、2016年に富士通に入社。グローバルマーケティング本部で社内コンサルティング業務や複数部署を巻き込んだ制度の企画、業務プロセス設計を行ない、2021年にデザインセンター戦略企画部へ異動。現在は、社外向けのデザインサービス事業の企画・立上げ、デザイン組織のインパクト評価設計を担当しています。コンサルティングやマーケティングの下地を持ちながらデザインセンターに異動した理由、デザインセンターでの働き方について聞きました。

記事のポイント

  • 「全く違う職種と一緒に働きたい」。コンサル・マーケの畑から、デザインセンターに異動
  • デザインセンターには富士通全体の変化の起点になれる可能性がある
  • プロジェクトマネジメントや営業など、デザイナーを補完できるスキルが大切

未知の職種と仕事をするために、デザインセンターへ異動を希望

管ミッシェル檀藤村 拓自
デザインセンター 戦略企画部所属(2022年7月時点)

——— これまでの経歴と、現在のデザインセンターでの業務を教えてください。

藤村: コンサルティング会社で勤務したあと、2016年に富士通に転職し、当初はグローバルマーケティング本部に配属されました。現在は、デザインセンターで主にビジネスデザインやサービスデザインの領域に関わっています。個別のプロジェクトには入っておらず、デザインセンターとしての組織作りや、組織として新しい取り組みを始める際の体制の立ち上げを担当しています。

富士通の多くの事業部では、主に売上などの数字で会社への貢献度を評価されますが、デザインセンターはこれまで定性的な表現しかしていませんでした。そこで、社外のお客様にサービス提供する活動を増やす施策などと並走して、デザインセンターが富士通の財務的な価値にどう繋がっているか、定量評価をするための取り組みも行なっており、マネタイズの体制やアプローチ方法を設計中です。

——— 以前はどんな業務をされていたのでしょうか?

藤村: コンサルティング会社時代は、ITコンサルとしてSIer向けに事業戦略企画や新規ソリューション企画をやっており、デザインというものにはあまり触れてはいませんでした。ただ、ちょうどコンサル業界にも「デザイン思考」が浸透し始めた時期で、別の部署がデザイン思考浸透を推進していたので、情報共有してもらったり、ワークショップに参加したりしていました。

また富士通のグローバルマーケティング本部では、クラウドの事業部、モビリティやロボティクスの製造業向けの事業部などに対して、それぞれが事業計画立案や新商品を開発するための市場競合分析やユーザーニーズ調査などを担当していました。そのほか、商品企画をするうえでのガイドライン作りもしていました。

——— デザインセンターに異動された理由を教えてください。

藤村: 事業戦略に関わる仕事を数年してきたうえで、もう少し他の職種も経験してみたいなと思ったんです。それまでは同僚としてコンサルタント、アナリスト、マーケター、連携相手としてSEや事業部の企画担当などとコミュニケーションを取りながら仕事をしていましたが、「戦略」という文化のもとにいる似た背景を持った人としか関わっていないという気持ちがありました。だから、文化の全く異なる職種と仕事をしてみたいと思い、デザインセンターに異動しました。

また富士通では営業や商品開発においてデザインが活躍する領域が多いはずなのに、重要度が認知されていないことが課題であり、それがずっとくすぶっていると感じていました。これまでの富士通の事業部は、固定のお客様との長年の付き合いのなかで営業をしていることが多く、お客様の課題を先取りした提案や新規開拓が不足しています。デザインを使えば、富士通の事業部の社員たちも、お客様の課題を深堀りするようなコミュニケーションが取れるようになったり、お客様に響く商品を企画・開発できたりと、従来のやり方に変化を起こせるはずなんです。だから、その手法の浸透ができるような部署に行けたらいいなとも考えていました。



デザイナー一人ひとりのことを知ることが大切

——— 実際にデザインセンターでデザイナーと一緒に働いていかがでしたか?

藤村: コンサルは昔から培ってきた知見やツールを積み上げて、失敗しないように一つひとつステップを踏むことが多いですが、デザインは石橋を叩くというより、「もっと良いものを」という思いや発想を優先して、一部飛躍させつつ仕事を進める意識が強いと感じています。それぞれのお客様が本当に求めていることは何かを突き詰めて、最適な一点物をゼロから作り上げることがデザイナーの本質だなと改めて感じましたね。

——— 多くのデザイナーたちとプロジェクトを進めていくうえで意識していることを教えてください。

藤村: デザイナーは職人気質である一方、一度デザインをしたあとに、ビジネスとしてスケールするような型化・仕組み化については、意識が低くなりがちなところもあると感じます。目の前のお客様に集中しつつも、より多くのお客様に高い品質でサービス提供できるように、また、マネタイズしやすくすることで継続的な活動ができるように、そういった型化・仕組み化にも目を向けてもらうように働きかけています。

また、デザインと言っても、その対象やアプローチの仕方、専門性は、デザイナーによってバラバラです。それこそ今私が関わっているビジネスデザインやサービスデザインの領域は未経験の人もいます。なので、デザイナーのスキルセットがどこまで応用できるのかを考えるために個々のデザイナーの経歴や、それぞれの声をちゃんと聞くようにしています。私自身デザインの専門性があるわけではないので、デザイナー一人ひとりのことを知るのが大切だと感じています。



デザインの認知を高め、デザイナーの活躍の場を広げたい

——— デザイナー以外でも、どんな人ならデザインセンターで働くことに向いていますか?

藤村: デザイナーとのコミュニケーション以外にも、キャリアの違う人と会話を楽しめるコミュニケーション力や興味関心が高い人が向いていると思います。またザインセンターは、いろんな業界にお客様を持つSEや営業などとも協働しなければならないので、多様な業種や職種への知見は大切です。デザイナーを始め、様々な人たちの意見を吸い上げたり、すり合わせていくことが好きな人にはぴったりだと思います。さらに、他部署との交渉経験やプロジェクトマネジメントに慣れている人は、デザイナーが苦手な部分を補完できるのでいいと思いますね。

また、デザインセンターでは現在、外販系の仕事を強化する方向にシフトしているので、営業スキルが高い人を求めています。まずはビジネスの視点があると即戦力になりますし、そのうえでデザインの手法も学びながらでも実践できると良いと思います。

——— デザインセンターでチャレンジしていきたいことを教えてください。

藤村: デザインセンターは富士通という巨大な組織のなかで変化の起点になる可能性があると感じているので、富士通全体のビジネスに貢献し、他部署から頼りにされる組織にしていきたいです。デザインがそもそもどんな領域に貢献できるのかをもっと知ってもらい、その影響を定量的に示して、デザインセンターへの期待値を上げていきたい。

私の職種はデザイナーではないですが、デザイナーの活躍の場を広げてプレゼンスを高め、デザインセンターが組織として大きなことができる環境を作ることで貢献していきたいと考えています。そのためにはデザイナーが他の事業部の事情を知ることも大事だし、他の事業部がデザインセンターやデザイン思考を知って業務に取り入れることも重要だと感じています。同じ会社のなかでも、部署が変われば文化も違うので、他の事業部の方は異動というかたちでデザインセンターにがっつり関わってもらうのもいいと思いますね。

——— 今後のキャリアで目指していることを教えてください。

藤村: 様々な職種の人材が自然と協働し価値を高めるような仕組みづくり、組織運営ができるようになりたいと考えています。どんな会社でも、専門性の高い職種ほど、同じ職種だけでキャリアを積むと、自然と同じ文化のなかだけでコミュニケーションを取ってしまいがちです。なので、これまで一つの文化のなかにしかいなかった人たちの発想を変えられるような職種の混ぜ合わせができたらいいですね。デザインセンターには、いろんな事業に関わってきた多様なバックグラウンドのデザイナーが集まっているので、自分自身のキャリアにとっても研鑽を積むいい機会だと感じています。

■データ

  • 所 属
    デザインセンター 戦略企画部 (2022年7月時点)
  • 入 社
    2016年中途入社 21年6月に異動
  • 前 職
    コンサルティング会社にて、主にSIer/製造/流通顧客向けに、 ITを活用した新規事業/新規ソリューションの企画や、中期事業計画策定、 BCP策定などのプロジェクトを実施
  • 出身大学
    早稲田大学政治経済学部 国際政治経済学科 労働経済学を学ぶ
  • 趣 味
    アメフト観戦


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