他職種から転職したノンデザイナーが生み出す新しい価値とは

他職種から転職したノンデザイナーが
生み出す新しい価値とは



掲載日 2022年7月25日

富士通株式会社が富士通デザインを吸収合併し、富士通デザインセンターとして再スタートを切ったのは2020年7月のこと。その後はキャリア採用を積極的に行い、現在のデザインセンターではデザイナー・ノンデザイナー合わせて182名が所属しています。ビジネスデザイン部に所属する管ミッシェル檀、玉川 洋祐、福元 涼介の3名は2021年の中途入社。デザイン思考を駆使して富士通の様々な事業部門と連携し、事業・サービスの立ち上げから拡大まで、一気通貫で事業部門の変革を支援しています。そんなビジネスデザイン部の3名のお話を通して、デザインセンターのカルチャーに迫りました。
2022年6月時点。

記事のポイント

  • 稼働時間の10%を自由に使える「イニシアチブ活動」でイノベーションのきっかけを生む
  • ワークライフバランスや福利厚生が整っており働きやすい環境。中途入社でも馴染みやすい雰囲気
  • デザインセンターには、柔軟な思考を持って日々学び続ける魅力的な同僚がたくさんいる

プロフィール

  • 管ミッシェル檀:ビジネスデザイン部所属。2021年入社。前職では大手コンサルティング会社で先端技術領域における戦略立案などを支援。現在では主に、工場などの製造現場にデジタル変革をもたらす富士通の製造業DXサービスにおいて、サブスクリプションモデルでのサービス提供を目的としたプロモーション戦略に携わる。
  • 玉川 洋祐:ビジネスデザイン部所属。2021年入社。SIerでのエンジニア、コンサル企業で業務改善に係るシステム企画やデザイン会社での大手企業の新規事業開発など多様な経験を経たのち富士通へ。現在は主にクライアントの営業部門に向けて、業務効率化のサービス企画を担当する。
  • 福元 涼介:ビジネスデザイン部所属。2021年入社。前職の大手総合電機メーカーでは、エンジニアを経たのち商品企画・マーケティングに従事。富士通では全社へのデザイン思考浸透の業務等に携わる。

(注)部署名・肩書は取材当時のものになります。

緩やかな集まりからイノベーションを狙う富士通の「イニシアチブ活動」

——— 3人は2021年の中途入社で、みなさん同じビジネスデザイン部に所属されています。日頃の業務はどのようなチーム編成で行われることが多いですか?

福元: ビジネスデザイン部では様々な案件に携わっており、富士通の事業部や別部門とチームを組んで活動します。プロジェクトや案件ごとにチームが立ち上がるので、僕らがそこに参画するようなかたちですね。そして事業部と並走しながら、デザイン思考を生かして顧客目線のサービス設計を考えたり、プロモーション支援やUI/UXデザイン設計を行ったりなど、業務内容は多岐に渡っています。

一方で、デザインセンターのメンバーだけで行うプロジェクトもあります。デザインセンターでは各自の稼働時間の「10%」を実業務とは切り離すかたちで活動する「イニシアチブ活動」が推奨されていて、このイニシアチブ活動で私たち3名は同じチームに所属しているんです。

管: こういった緩やかな活動にこそイノベーションが起きるきっかけが潜んでいるんじゃないかと考えています。イニシアチブ活動でどんなことをするのかは組織によって異なりますが、独自のテーマを各チームが設定していますね。


玉川: 僕らの場合は、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けた観光業をテーマに、新たな旅のスタイルを考案するプロジェクトを推進しています。活動としては週1回くらいの頻度で集まって、事前に各自で行ったリサーチやヒアリングをもとに、毎回数時間議論するというもの。最終的にはここからデザインセンター発のビジネスが生まれるかもしれないとわくわくしています。

左から、管ミッシェル檀、福元 涼介、玉川 洋祐左から、管ミッシェル檀、福元 涼介、玉川 洋祐

——— 中途入社のほぼ同期同士、しかも同プロジェクトチームということですが、3名でよく交流されているんですか?

玉川: コロナ禍での制限はありましたが、結構飲みにも行っていますよね。僕が困ったときには2人がいつも助けてくれるし、同期の絆は強いかも知れません。この3人に限らず、もとからデザインセンターにいる社員・デザイナーの方たちも誘えば気軽に来てくれるので「転職先の会社に馴染めないかも」みたいな不安はまったくありませんでした。

管: あと飲み会と言えば、デザインセンターでは定期的に社員が店主を務めるオンラインスナックが開店され、そこに参加することもあります。

——— オンラインスナックですか?

管: ビデオ会議を使った「オンライン飲み会」ではなく、パソコン画面に座席表が表示され、来店客の動きもわかるようになっていて、バーチャルなスナックがちゃんと表現されているんです。社内コミュニケーションのためというのはもちろんでしょうが、デザインセンターの社員であるアプリ開発者本人は、実際に社内で活用することでユーザーテストもしているのだと思います。そこはさすが富士通ですよね(笑)。

菅


デザインセンターは「チーム面でも制度面でも働きやすい」

——— 転職時にワークライフバランスは意識されましたか?

玉川: 僕はこれまでエンジニアやコンサルなどそれなりに忙しい職種に就いてきたので、もう少しプライベートの時間を大事にできればと思っていました。だからワークライフバランスは意識しましたね。

福元: 僕は特別重視したわけではないですが、結果的にはワークライフバランスのとれた職場に巡り会えたと思います。デザインセンターではマネージャー1名あたりが管轄する部下の数がそれほど多くなく、ビジネスデザイン部でも1チーム10名くらい。メンバーの業務内容や業務状況をマネージャーがいつも把握してくれているので、業務過多になることがめったにありません。

福元

——— これまでデザインセンターで働いてきたなかで「便利」だと思った制度はありますか?

福元: 福利厚生で社員が自由に使える社内外のシェアオフィスが充実していて、リモートワークが進んだ現在、便利だと感じています。拠点は全国で1,000か所を超えます。そのため、訪問先で打ち合わせしたあとそのまま近くのシェアオフィスで仕事を進めて、終わったらプライベートの用事を行う……といった動きも取りやすい。制度面でもワークライフバランスをとりやすい会社だと思いますね。



デザイナーとノンデザイナーのコミュニケーションのあり方とは?

——— 業務でデザイナーと協働する機会も多いと思いますが、管さんはコンサル出身、福元さんはマーケター出身、玉川さんもファーストキャリアはエンジニアですよね。そこで、ノンデザイナーとしてデザイナーと仕事をするときに心がけていることはありますか?

管: あまりロジカルに考えすぎないことでしょうか。コンサルというこれまでの仕事柄、私は「なんでもロジックを立てる」癖があります。しかし顧客起点のデザインアプローチでは、ロジカルに考えても答えにたどり着けるとは限りません。後から修正すればよいので「まずはやってみる」ことが求められているような気がしています。

福元: そこはかなり共感しますね。僕の場合は商品企画・マーケティングの仕事に就いていたから「なにかと数字を追いかける」癖があって。でも数字やロジックで考え続けると議論や業務のスピード感が落ちるし、何より管さんが言うようにその先に正解があるとは限りません。

もちろん根拠をもとに動かなければいけないケースもあるけれど、最初はある程度“直感”に頼ってもよいと思っています。論理的思考と直感を状況に応じて使いこなすことが大切だと考えています。そういう意味では、「イニシアチブ活動」もその直感を鍛えるひとつの手段になっていますね。

玉川: 僕の場合は、デザイナーとのコミュニケーションに限った話ではありませんが、「ぼんやりとしたことをクリアにして伝える」ことを意識しています。やっぱりコミュニケーションは相手に伝わらないと始まりません。伝わりやすいよう言葉を分解したり、相手の理解の度合いをその都度確認することを大事にしていますね。

特にコロナ禍ではオンラインの会議が増えたので、現場で話せば伝わるニュアンスがどうしても伝わりにくいこともあります。オンラインでホワイトボードアプリを使って議論することもありますが、やっぱりオフラインで実際のホワイトボードを使ってワイワイガヤガヤ話すのが一番だと思うことも……。日々試行錯誤ですね。

玉川 洋祐


デザインセンターで得られるキャリアとは?転職前の自分に向けて

——— みなさんがデザインセンターでこれから目指したいことを教えてください。

福元: デザイン思考は顧客起点で考えるアプローチですが、顧客課題が解決できてもそれがビジネスとして成立するかどうかはわかりません。ときとして数値的判断が必要なこともあります。私はデザインセンターのなかで、商品企画やマーケティングで培った数値的判断力を生かし、ビジネスについても語ることができる人材を目指したいです。世の中的にデザイナーとの共通言語を持ちながら、ビジネスについても考えることのできる人材はまだまだ少ないと思っています。

菅: 私はコンサル時代の経験を生かして、ビジネスモデルの構築だけでなく、事業を成り立たせる市場の仕組み設計まで実現できるようになりたいと考えています。どんなにビジネスモデルがよくできていても、市場や社会の状況によってはビジネスが軌道に乗らないことがあります。例えば、もし社会のルールが追いついていなければ省庁・行政などへの提言まで含めてビジネスを成立させなければいけません。俯瞰的な視点からものごとを捉えて、事業を推進できる人でありたいなと思っています。

玉川: 僕の場合はシンプルで、使う人が喜ぶサービスを作りたいという、ただそれだけなんです。売上アップやコストカット等の組織の事情を解決するシステムやサービスではなく、システムやサービスを実際に使う人の立場に立った、“これしかない”と思われるサービスを作りたい。SIやコンサルで培ったスキルとデザインのスキルを掛け合わせて、そんなサービスを実現できる人でありたいですね。

——— 最後に、デザインセンターで働く以前の自分に宛てた、メッセージをお聞かせいただけますか?

福元: 正直、以前の会社で着実にキャリアを積んでいたので、転職すべきか迷うところもありました。でも今確実に言えるのは、転職してよかったということ。自分とは異なるスキルを持つ人と一緒に仕事をすることで、日々自分の成長を感じています。自分のなりたい姿に近づくためには、勇気を持って環境を変える決断も必要だと伝えたいです。

管: 以前の私はコンサルとして「顧客のことを理解していないかもしれない」というジレンマを抱えていたと思います。富士通に入社して分かったのは、その思いは「その通り」だったということです。

デザインセンターは他に類を見ないデザイン組織で、プロダクトもUI/UXもサービスデザインもコンサルティングもすべてひと通りやっています。かつ、お客様課題を発掘する上流から、サービスローンチ・改修の下流までずっと伴走をしている。そして働く人たちは、自分のなかの尖った部分は残しつつも、吸収する部分は吸収し、人の意見を傾聴して成長していく素晴らしい人たちです。日本特有の縦割り組織にはない、柔軟性を持った会社で働くことができるので、安心してほしいです。

玉川: 転職は間違っていなかったということを伝えたいですね。真にユーザーに寄り添った使いやすいサービスを作りたいという僕自身の願いが、デザインセンターで叶いそうだなという気がしています。「このまま安心して道を突き進んでください!」と伝えたいです。

管ミッシェル檀、福元 涼介、玉川 洋祐


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