製造現場の課題を解決する働き方改革とは

現在、国をあげて取り組みが進む「働き方改革」。製造業においても、従業員のワークライフバランスの向上や多様な人材が活躍し続けられる魅力的な職場の実現、そして少子高齢化に伴う技術者や作業員不足といった切実な課題解消の観点からも、働き方改革は喫緊のテーマです。自らが製造業である富士通の三位一体の働き方改革とともに、その経験を踏まえた、製造業が抱える課題を解決するための「働き方改革」ソリューションを紹介します。

三位一体の取り組み推進により「働き方改革」が大きく前進

様々な角度から働き方改革の施策を展開している富士通。これを先導する執行役員常務 CHRO/CHO 人事本部長の林博司は、「制度・ルール」「ICT・ファシリティ」「意識改革」を三位一体で推進することが重要としました。

グローバル規模でのコミュニケーション基盤の構築に始まり、仮想デスクトップやシンクライアントPCの展開、サテライトオフィスや子育て世代の従業員のための事業所内保育所などの「ICT・ファシリティ」とテレワークやフレックスといった「制度・ルール」を整備。これにより、富士通は時間や場所、従業員の事情にとらわれず柔軟にセキュアに働ける環境を実現しました。

そして、こうした推進を加速させるために、なにより重要なのが「意識改革」なのです。トップの強力なリーダーシップに加えて、現場での主体的な取り組みを進めていくために、各部門/本部では部門長の下にワーキンググループを設置。自部門での具体的な実行計画の検討やその実践を図る体制面をまず整え、課題の解決を目指しています。

「働き方改革を組織風土改革と捉えて、マネジメントと社員一人ひとりの意識を変えながら、制度や環境、ITインフラなどのハード面を整備することが必要です」と林は強調します。また、「改革推進のハードルが高い場面もある職場でも、トップのリーダーシップのもとに相応の進展が見られています。特に大きな成果をあげているのが営業部門です。管理職から若手までが混在したWGを立ち上げ、働き方改革に積極的に取り組んでいます。トップの強い意志のもとで職場が主体となった動きに、改革推進に向けた大きな手応えを感じています」と、三位一体の推進を続ける富士通の現状についても話しました。

富士通株式会社 執行役員常務
CHRO/CHO 人事本部長
林 博司

  • 富士通が取り組む働き方改革の全体像

  • 営業部門の取り組みによる効果

    紙の使用量44%削減、会議の準備時間50%削減、印刷コスト33%削減、顧客対応の時間30%増加

    (注)2016年11月-2017年11月の比較値

富士通では、自らの経験とノウハウを踏まえながら、製造業の顧客へ働き方改革を支援する各種ソリューションを提案しています。ここでは3つのソリューションを紹介します。

バイタル情報も活用したIoTの仕組みで作業効率化とモチベーション向上を実現

1つめは、富士通の提供するIoTデータ利活用サービスを情報基盤とした工場向け働き方改革ソリューションです。バイタルセンシングバンドやロケーションバッジといった、作業者が身につけたユビキタスウェアのデバイスを通じて、一人ひとりがどの場所でどういう状況で働いているかといったデータを富士通のクラウド基盤上に収集。作業員ごとの作業時間や移動距離、動線などを可視化することができます。
さらに、それらデータをもとに、作業効率の平均値を算出。業務システムで管理している業務指示データや実績データと合わせて、各人の作業効率の比較などを行います。同時に、各作業員や工程などが抱える課題などを洗い出し、シミュレーション等を実施して改善策を立案していくことも可能です。
各作業員の作業効率を定量化して把握できるという利点は、働き方改革における1つの重要な眼目「従業員各自のモチベーション向上を支援する」運用に貢献します。バイタルセンシングバンドを装着することで、従業員の身体負荷状態を数値化。慣れていない作業ではムダな動きも多く、身体的な負荷も高い状態ですが、工程にかかわる習熟度が高まるにつれてムダな動きもなくなり、身体的負荷も下がっていきます。そうした状態を定量的に捉え、作業効率をポイント化して明示すれば、各作業員が自分たちの日々のパフォーマンスを知ることができるわけです。この可視化が、作業員のモチベーションアップにつながると富士通では考えています。ひいてはラインなど工程の効率的な操業や直行率の改善にも役立つでしょう。

  • ダッシュボード画面(イメージ)
    ユビキタスウェアのデバイスから収集したデータを数値化し、現場の状況を可視化

会議の実施にまつわる非効率な作業をペーパーレス化・デジタル化により排除

働き方改革を支援するソリューションの2つめは、「FUJITSU Workplace Innovation ペーパーレス会議システム」です。製造業に限らず、一般に企業では、従業員が会議用資料に関する印刷や配布といった準備、あるいは保管を含む一連の作業に多大な時間を費やしています。製造現場では、従業員はPCを持ち歩かないことが多い上に、会議や屋外で様々な図面が必要になります。また、それらの紙に出力した資料が機密情報であることが少なくないため、回収作業や書き込み文書の保管も必須です。ここにペーパーレス化・デジタル化を持ち込めば、非効率で手間の掛かる作業を一掃した上で、セキュリティを確保することができます。
ペーパーレス会議システムではA4サイズの大学ノートとほぼ同じ大きさ、薄さ、重さの電子ペーパー端末を紙代わりに使います。社内ネットワーク経由で必要な書類の電子ファイルを端末に送信。表示されるコンテンツに付属のペンを使って、ディスプレイ上で資料に対し必要なメモをとることができます。さらに、ファイルサーバー等にメモを付記した資料の内容を保存すれば、後ほどパソコンで参照したり、社内で共有することも可能です。

紙と変わらない使用感の電子ペーパー

富士通では、機密情報を扱う役員会議などでこのペーパーレス会議システムを活用しています。その結果、セキュリティを確保した上で、資料の印刷コストを大幅に削減。加えて、会議の準備に費やす時間と労力がほぼ半減するといった成果を得ています。
会議参加者が何も携行することなく、会議室に備え付けられた端末を使って、即座に会議が行えるという点がこのソリューションの大きなアドバンテージです。また、液晶画面ではないので反射せず、屋外でも均一の明るさで使用できるので、製造現場での活用にも適しています。

高度なAI技術が実現する高精度の機械翻訳が製造業の生産性向上、コスト削減に貢献

最後は、今後の製造業における働き方改革の推進に寄与する技術として、大きな期待が寄せられているAI技術を活用したソリューションです。IoTとAIのディープラーニングの技術を組み合わせ、製造設備の稼働状況の可視化や予防保全に役立てる取り組みは、すでに多くの製造現場で進んでいます。
富士通では、AIの黎明期であるおよそ30年前からAIについての研究・開発を進めており、長年にわたる取り組みで培ったAI技術を「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、Zinrai)として集約。製造業をはじめ、広範な産業領域でのAIをめぐるニーズに応えていこうとしています。
なかでも期待が大きいのは、ビジネス文書の翻訳にかかわる領域です。製造業においては製品のマニュアルが必須で、グローバルな市場に製品を供給する際には、日本語のコンテンツを翻訳する作業が発生します。ところが、従来の機械翻訳では、製造業のような専門的分野のビジネス文書となると、文脈に合わない訳語が使われたり、ぎこちない翻訳になるなど、十分な品質が得られませんでした。
Zinraプラットフォームサービス 文書翻訳API」は、この課題解決に貢献します。ニューラル機械翻訳によって専門分野のビジネス文書でも高度な翻訳結果を得ることができます。さらに、各専門分野の翻訳データを学習した分野ごとの翻訳モデルと、例えば社内用語など、業務に応じて学習した個別の翻訳モデルを提供することで、最適なビジネス文書の翻訳を、しかも短時間で可能とします。こうした高精度の機械翻訳は、製造業の生産性向上に多大な効果をもたらし、ひいては働き方改革の推進に大きく貢献できると考えています。

Zinraiプラットフォームサービス文書翻訳APIの特長

Zinraiプラットフォームサービス文書翻訳APIの特長

(注)ビジネスコミュニケーション(メール)・インバウンド会話・専門文書を対象として、翻訳の正確さ流暢さといった指標で翻訳性能を評価

ここで紹介した富士通の経験とノウハウを踏まえた働き方改革を支援するソリューションは、個人と組織のモチベーションやパフォーマンス、生産性を高めるものです。それは企業のさらなる成長を実現するために必要なものでもあります。
様々な課題解消に向けた取り組みに寄与する富士通は、製造業の未来に向けた重要な一歩である働き方改革においても、あらゆる形で支援します。

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