日新電機株式会社 様

依頼分析業務ワークフローを構築し業務の効率化と進捗状況の見える化を実現
報告書のデータベース化、分析データの一元管理で装置の稼働率向上

日新電機株式会社 様 外観写真

グローバルに活躍する電力エネルギー関連の設備メーカー、日新電機株式会社様。同社の品質管理の根幹を担う解析検証センターは富士通の化学研究情報管理ソリューションFUJITSU Technical Computing Solution ACD/Labsをベースとした「依頼分析業務管理システム」を導入し、依頼分析業務で発生する様々な情報の一元管理、ワークフローのシステム化を実現しました。報告書のデータベース化により検索性を高め、研究開発本部や事業部に必要な情報を迅速に提供することで、研究開発の効率化、トラブル対応の迅速化を図っています。また見積・依頼から報告書作成まで進捗状況の見える化も実現。さらに各分析装置のデータの一元管理により分析と解析の業務を分離し装置の稼働率向上を目指します。

導入事例概要

業種 産業用装置・重電設備
ソリューション 化学研究情報管理ソリューション
FUJITSU Technical Computing Solution ACD/Labs
課題
効果
課題過去の報告書の情報を研究開発や品質管理に活かしたい
効果紙と電子データが混在していた過去の報告書をPDFデータに統一しデータベースで一元管理。研究開発本部や事業部からの問い合わせに対し迅速に情報を提供
課題見積・依頼から実績まで全工程の進捗を把握したい
効果ワークフローを構築し進捗状況の見える化を実現。作業工程の遅延に対し的確かつタイムリーな指示が可能に
課題分析と解析の業務を分離し装置の稼働率を高めたい
効果主要な分析装置メーカーに対応したACD/Labsにより分析データの一元管理を実現。また豊富な解析機能を利用し分析装置の稼働率向上を図る

「ACD/Labsをベースとする『依頼分析業務管理システム』は、主要な分析機器メーカーのデータファイルフォーマットに対応しており、手法や分析機器に依存することなく簡単にデータベースを構築できます。また当社の要望に応える富士通の技術力とサポート力も評価しました」。

日新電機株式会社 研究開発本部 解析検証センター 主査
河合 智広 氏

導入の背景

情報の一元管理とワークフローのシステム化で品質管理を強化

1910年、電気の時代の黎明期に電気計器の国産化を目指し創業した日新電機は、電力エネルギー関連の設備メーカーとして100年以上にわたり社会と産業の基盤を支え続けています。現在、電力の安全かつ効率的な供給に貢献する電力機器を中心に、新エネルギー・環境、ビーム・真空応用、ライフサイクルエンジニアリングの4つの事業を展開。同社が長年培ってきた高電圧技術、真空技術、監視制御技術などのオンリーワン技術を結集した製品は市場占有率が高く、国内外で幅広く活用されています。
オンリーワン技術とともに高い品質が同社の大きな強みです。グローバルで同社の品質管理の根幹を担う解析検証センターには分析と検証の2つの役割があります。研究開発本部 解析検証センター 主幹 宇都宮 里佐 氏は次のように説明します。
「分析評価では樹脂、めっき、絶縁油など当社製品で使用している材料の物性や微細構造を様々な分析装置を用いて評価し、受入検査や品質管理にフィードバックします。また当社が開発した装置で作った薄膜などの品質評価も実施しています。検証試験では規格適合の確認試験はもとより加熱、塩害、紫外線など製品の使用環境に対する耐久試験を行っています。よりお客様に満足いただける品質を実現するために事業部と連携し品質向上に取り組んでいます」。
2013年、最新設備の整った解析検証センターでは、業務改革により品質管理の強化を図るべく依頼分析業務で発生する様々な情報の一元管理とワークフローのシステム化に着手することになりました。

宇都宮 里佐 氏 日新電機株式会社
研究開発本部
解析検証センター
主幹
宇都宮 里佐 氏
河合 智広 氏 日新電機株式会社
研究開発本部
解析検証センター
主査
河合 智広 氏

導入のポイント

見積・依頼から分析、解析、報告書作成、実績までの進捗状況の見える化

同社がこれまで実施してきた分析や検証に関する膨大な報告書は、同社の研究開発や品質管理における課題解決や気づきを得るための重要な情報源です。しかし、これまで研究開発や品質管理の情報を活かしきれていませんでした。「1990年代から報告書を電子化しファイルサーバに保存してきましたが、品質問題が生じたときに過去の情報から類似案件の情報を探すのに1つ1つファイルを開かなければならず手間と時間を要していました。1990年代以前の紙の報告書も含めてデータの一元化を図り、検索性に優れたデータベースを構築したいというのがプロジェクトの出発点でした」と研究開発本部 解析検証センター 主査 河合 智広 氏は振り返ります。
ワークフローの観点では従来、工程管理、実績管理は表計算ソフトウェア、ならびにデータベースソフトウェアで行っており分断されていることが課題となっていました。見積・依頼から分析、解析、報告書作成、実績までのワークフローのシステム化と、進捗状況の見える化も同プロジェクトの重要なテーマとなりました。また分析装置で分析と解析の両方を行っていますが、装置の稼働率を向上するべく分析と解析の業務を分けるため、分析データの一元管理を実現し分析装置から独立した解析環境の構築も求められていました。

広範囲の分析装置メーカーへの対応、ワークフローの構築実績が決め手に

報告書のデータベース化、ワークフローの構築、進捗管理の見える化、分析データの一元管理など様々な要望に応える製品として同社は複数社から富士通を選択しました。採用の決め手として4つのポイントがあったと河合氏は話します。
「1つめは分析装置への対応です。他社は主にデータを変換して取り込むのに対し、ACD/Labsをベースとする『依頼分析業務管理システム』は、主要な分析機器メーカーのデータファイルフォーマットをサポートしており、手法や分析機器に依存することなく簡単にデータベースを構築できます。2つめは、他社では追加購入しなければならない解析機能の標準搭載。3つめは、ACD/Labsの優れたカスタマイズ性を活かす技術力。4つめは、データベースの構築だけでなくワークフローを構築できるSI技術。またサーバからシステムまで窓口が一本化されている点も評価しました」。

導入のプロセス

業務ニーズに応じて標準機能以外に外部システムを構築し連携

同社は2013年10月に富士通の採用を決定、2014年4月にプロトタイプシステムを導入し試行を開始しました。「担当者が使っていく中で気づいた改善点について富士通さんにいろいろご対応いただきました。また紙と電子データが混在していた過去の報告書のデータベース化も富士通さんにお願いしました」(河合氏)。
標準対応していない装置メーカーのデータの取り込みはもとより、分析装置の利用予定・実績・予約を行うスケジュール管理システム、報告書データ(PDF)の全文検索ができる報告書閲覧システム、Web依頼発生システムなど、同社の業務ニーズに応じて外部システムを構築し依頼分析業務管理システムと連携しました。
依頼分析業務管理システムによるワークフローの流れは、研究開発本部や事業部からの分析・検証の依頼に対し、担当者が作成した見積を管理者が承認して依頼者に送り、依頼者の承諾を受けて作業開始となります。担当者は分析、解析、報告書作成、実績入力といった作業手順の画面に入力することで作業状況の確認が行えると同時に、管理者は進捗状況をリアルタイムに把握することができます。また他社製Webデータベースとの連携によりセンター内でいつでもどこでも依頼分析業務管理システムを操作することができ、情報の登録や閲覧が行えることで業務の効率化と情報の共有を実現しています。

解析検証センターの様子 解析検証センターの様子
システム構成概要図 システム構成概要図

導入の効果と将来の展望

必要な情報を瞬時に検索して事業部に提供し、お客様サービスの向上に貢献

2014年6月に本稼働後、依頼分析業務管理システムは安定稼働を続けており、同社の品質管理業務になくてはならない存在となっています。「見積・依頼から実績まで全工程を追跡できるようになり管理面の大幅な強化が図れました。また進捗状況の見える化により報告書の作成も含め、遅れている場合は担当者にタイムリーかつ的確な指示が行えます」(宇都宮氏)。
情報活用の面でも飛躍的な向上が図れました。「紙の報告書を探したり、ファイルサーバで1つ1つのファイルを開いて確認したりする手間もなくなり、キーワードなどで瞬時に検索することが可能です。工程内の不良の発生やお客様先での製品のトラブルに対し、類似情報などを事業部にスピーディーに提供することにより、トラブルによる遅延の最小化、事業部の対応の迅速化によるお客様サービスの向上に貢献します。また有機系のデータベースの作成などACD/Labsの豊富な機能を使いこなしていきたいですね」(河合氏)。
今後の展望について宇都宮氏は次のように話します。「依頼分析業務管理システムは統計を出すこともできるので、データに基づく改善提案のフィードバックも積極的に行っていきたいと思います。また装置の稼働率向上を図るためにACD/Labsの解析機能を利用し分析と解析の業務の分離を進めることも重要なテーマです。富士通さんにはサポートに加え、品質管理の観点から経営に貢献する先進的な提案も期待しています」。
オンリーワンの技術と高い品質で「グローバル・エネルギー・環境・ソリューション企業」を目指す日新電機。富士通はこれからも先進技術と総合力を駆使し同社のさらなる成長を支援していきます。

担当営業、担当SEメッセージ

担当営業:槲田 寛志
数年間にわたるプロジェクトとして取り組ませていただきましたが、今後も日新電機様の目指すビジネス体制や業務体系に対応できるシステムとなるよう、ご支援できればと考えております。日新電機様のさらなるご発展に貢献できるよう努力してまいります。

担当SE: 市川 遼
本システム導入では、日新電機様のご協力の下、プロトタイプを稼働させ、そのご要望を本番システムへ反映する方法を採用しました。その結果、実業務を見据えた要求事項が反映でき、業務改善を実感できるシステムをご提供できました。引き続きACD/Labsの解析機能を利用したさらなる業務効率化の実現をご支援してまいります。

日新電機 宇都宮 里佐 氏、河合 智広 氏、富士通 市川 遼、古田 一匡、槲田 寛志、原澤 希美 前列左から 日新電機 宇都宮 里佐 氏、河合 智広 氏
後列左から 富士通 市川 遼、古田 一匡、槲田 寛志、原澤 希美

日新電機株式会社 様

創立 1917(大正6)年、創業 1910(明治43)年
代表取締役社長 齋藤成雄
本社所在地 〒615-8686 京都市右京区梅津高畝町47番地
資本金 102億5,284万円
従業員数 4,852人(2017年3月末現在、連結)
1,851人(2017年3月末現在、単独)
事業内容 電力機器事業、ビーム・真空応用事業、新エネルギー・環境事業、ライフサイクルエンジニアリング事業
ホームページ http://nissin.jp/新しいウィンドウで表示

[2018年2月26日掲載]

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材日時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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