富士通研究所は、中長期的な視点で社会・経済・産業の発展に貢献する技術開発を行う研究組織として、1968年に富士通100%出資の子会社として設立されました。富士通グループ内には多くの子会社がありますが、親会社の短期的な業績に左右されず、中長期の視点で研究開発を続け、富士通グループの事業を半世紀にわたってテクノロジーで支えてきたことは誇るべきことです。「富士通の将来の発展のため、研究開発のあるべき姿を広く考察し、研究者が自律的に自由な環境で世界最高峰の技術開発を行う」という創立の精神に則り、研究員には今後も引き続き、挑戦を続けてほしいと思います。
私は2019年1月に富士通研究所の社長に就任しましたが、富士通の事業部門全体の責任者でもあります。これは当社の歴史を振り返ると異例なことで、富士通グループの将来に向けた変革への決意の表れだと思ってください。私は、研究開発と事業の両方を担当することで、先を見据えた研究開発の成果をビジネスに確実かつ持続的につないでいくためのマネジメントに努めたいと考えています。
富士通は、通信機に始まりコンピュータ、ソフトウェア、サービスまで、長い歴史の中で事業戦略やポートフォリオを市場変化に応じて変えてきました。デジタル革新が加速する今日においては、当社が手がける研究開発の優先度や資源配分も、その変化に応じて見極めていく必要があり、そこで大事なことは、意思決定のスピードです。
私自身は、SEとして長く製造・流通業のお客様のシステム開発に携わり、国内のそれらの業界のお客様を誰よりも知り尽くしている自負があります。その後、海外部門も含め様々な部門を率いてきましたが、ほぼ一貫して「サービス」の視点で長くお客様と向き合ってきたバックグラウンドがあります。このような視点も活かしながら、富士通グループ全体のビジネスに寄与する優れた技術を、事業部門と連携しながらスピーディーに生み出していきたいと考えています。