喜多方市様 ーIPKNOWLEDGE庶務事務・電子決裁システム
庶務事務システムの導入で紙ベースで運用されていた出退勤管理、休暇申請などを電子化。
電子決裁による業務の効率化やペーパーレス化を一気に実現
喜多方市様では、出退勤管理、休暇申請、時間外勤務命令などの勤怠管理は紙ベースでの管理でした。職員が作成した時間外勤務届を各課の課長補佐が集計、表計算ソフトに入力して総務課に提出、総務課では内容をチェックしてシステムに再入力するというプロセスが毎月行われていました。手間や時間がかかるだけでなく、入力ミスや細かく規定された手当の計算などで間違いも発生していました。内部事務のデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れの中で、2022(令和4)年 1月にIPKNOWLEDGE 庶務事務システムを導入。電子化によって申請から決裁までがオンラインで完了し、業務が効率化されると同時にペーパーレス化も進みました。今後、電子決裁のさらなる活用も期待されています。
背景
喜多方市では、2021(令和3)年に「喜多方市カーボンニュートラル宣言」を発表し、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロをめざし、省エネルギーや市全体での再生可能エネルギーの利用拡大などに取り組んでいます。
内部事務のシステムに関しては、財務会計はIPKNOWLEDGEを利用している一方で、勤怠管理などの庶務事務システムは未導入で、残業や休暇届は各職員が手書きで作成し、それを各課の庶務担当の課長補佐が表計算ソフトで集計、それを再度総務課職員がシステムに入力するという紙ベースの運用でした。非常に手間のかかる作業が毎月繰り返され、計算間違いや転記ミス、計算結果の再入力など無駄が多く、さらに昨今のデジタル化の流れの中で時代に乗り遅れてはいけないという危機感もあって庶務事務システム導入に向けてスタートを切りました。
課題
- 勤怠管理が紙ベースで運用されており、手書きによる時間外勤務命令の作成、担当課での集計、総務課での再計算と再入力が必要で時間と手間がかかっていた
- 初めての庶務事務システムの導入であり、システム上で運用するために必要な機能の要件設定や導入プロセスに不安があった
- 文書管理などで仕組みは導入済みだった電子決裁の利用率が上がっていなかった
効果
- IPKNOWLEDGE 庶務事務システムの導入によって、時間外勤務命令や休暇申請がシステム上で可能になり、計算間違いがなくなり、確認の手間や時間が大幅に削減された。申請や集計のための紙がなくなりペーパーレス化も進んだ
- 地元企業のエフコムのサポートによって、地方自治体の複雑な制度への対応、市独自の運用や制度への対応などきめの細かい支援でスムーズに導入できた
- 全職員が利用する庶務事務システムが電子決裁となったことで、電子決裁のメリットが浸透し文書管理などへの波及効果を期待している
喜多方市様のご紹介
喜多方市は、福島県の北西部、会津盆地の北部に位置する「蔵とラーメンのまち」です。北西には飯豊連峰、東には雄国山麓が広がり、南は阿賀野川が流れる自然豊かなまちです。国鉄廃線跡に植えられたしだれ桜並木が美しい日中線記念自転車歩行者道や新宮熊野神社長床の大イチョウ、三ノ倉高原のひまわり畑など季節ごとに多くの観光客が訪れます。また、バルーンやレガッタ、パラグライダー、トレッキングなど体験型の観光スポットも多く、豊富な観光資源と豊かな自然、産業が調和した豊かな環境が喜多方市の特徴です。
- 業種: 自治体
- 場所: 福島県喜多方市字御清水東7244番地2
- 職員数: 511人(2023年4月1日現在)
- https://www.city.kitakata.fukushima.jp
喜多方市様の概要と取り組み
喜多方市は福島県会津地方にあり、2006(平成18)年に1市2町2村(喜多方市、熱塩加納村、塩川町、山都町、高郷村)が合併して新「喜多方市」が誕生しました。人口は現在約4万3000人ですが、全国の自治体と同様に人口減少の波が押し寄せています。コロナ禍などで厳しい状況の中ではありますが、これをチャンスととらえて限られた資源・財源・人材を効率的に最大限活用し、持続可能(Sustainable Development Goals:SDGs)な循環型社会の構築に軸足をシフトしようとしているところです。
喜多方市様では、2022(令和4)年1月からIPKNOWLEDGE庶務事務システムが稼働しました。紙ベースで運用されていた休暇申請、時間外勤務命令などの勤怠管理を電子化するもので、調達から導入、稼働まで不安もありましたが、豊富な実績を持つIPKNOWLEDGEのノウハウと地元企業である株式会社エフコムのサポートもあって順調に稼働に至りました。導入プロセスでは、クラウドを利用した実運用に近いテスト環境の構築などを大きく評価されています。
IPKNOWLEDGE庶務事務システムの稼働で業務の効率化、ペーパーレス化が進み、さらに電子決裁の文書管理などへの波及効果も期待されています。
導入時の工夫
導入についてはどのように進められましたか
調達は公募型プロポーザルで行いましたが、公正な選定のためのルールの作成や、地方自治体独自の複雑な時間外手当の算定など、勤務時間の取り扱いに対応したシステムを選定するための要求機能がうまく設定できるかは不安材料でした。また、運用面でこちらの希望がそのままシステムに反映できるのか、あるいは運用や制度そのものを見直す必要が出てくるのかは心配したところです。
IPKNOWLEDGE庶務事務システム選定の理由を教えてください
プロポーザルには3社の応募があり、審査委員会の下で提出書類やプレゼンテーションの内容を審査し、機能面、提案内容、価格、拡張性をトータルに採点して、IPKNOWLEDGE庶務事務システムが採択されました。
IPKNOWLEDGEは、多くの導入実績を持つパッケージであり、全国の自治体での運用実績が製品に反映されており、機能面においてきめ細かい対応が可能なことが導入の決め手になったと考えております。また、IPKNOWLEDGEはすでに財務会計システムが稼働しておりましたので、導入後はなじみのある画面で操作についても戸惑うことなく使うことができました。
導入のプロセスは順調に進みましたか
庶務事務システムの稼働は2022(令和4)年1月でしたが、その1年前から準備をスタートし、ゴールデンウィーク明けにシステム選定、夏、秋と打ち合わせを重ねて初期設定を固めていきました。細かい運用面の打ち合わせでは、当市独自の運用ルールの説明に苦労しました。例えば、半日休の振替について平日午前(3時間30分)と午後(4時間15分)では時間が異なるのですが、同じ時間と見なして処理を行っておりました。手計算で行っているがための手間もあり慣例的に行われていたもので、条例の定めの通り半日休の振替は4時間で計算するように見直しました。一方で、運用ルールは改めて近隣自治体に問い合わせてみると「こんなやり方をしているのは喜多方市だけなのか」と気づかせていただいた部分もあり、運用そのものを見直すきっかけにもなりました。
職員への教育や研修はどのように進められましたか
紙ベースの運用からすべてをシステム上で行うようになりますので、職員への周知や教育は丁寧に進めるように心掛けました。稼働の約1か月前の11月にはテスト運用が可能になりました。クラウド上にテスト用と本番用の環境を用意していただき、データについても実際のデータをテスト環境に登録して本番と同じように使うことができました。職員は自分の端末からアイコンをクリックするだけでアクセスできるので、自由に試すことができました。また、テスト環境での試用をベースにして、問い合わせがありそうな項目について、事前にある程度細かいマニュアルを作成して周知を図ることができました。
導入効果
システム稼働後の効果についてはいかがですか
当然のことながら時間外手当の計算間違いはなくなりました。以前は、自分で表計算ソフトなどで計算をしても、基本的に所属長の勤務命令が必要なことから、その都度時間の記載と決裁(印鑑)が必要で、まとめて集計できないフローになっていました。時間外の計算も職員が自分の時間外勤務の単価から算出することが必要で、さらに時間帯での割増計算もあり非常に複雑でした。これがシステム上で申請から決裁、集計までが行えるようになり、業務の負担は大きく削減されました。総務課でもチェックする部分は勤務時間だけになりましたので、業務の負担は大きく減りました。実際の効果の計測は行っていませんが、導入前の試算では各部署での計算やチェックには2時間程度かかっていると想定していましたので、システム化によってほぼなくなったことは間違いありません。なにより、手入力や再入力、確認といった些末な事務作業から解放され、その時間を新たな業務に充てることができるのが大きなメリットだと感じています。時間外勤務の縮減というだけでなく、働きがいのある勤務時間を増やすという、働き方改革に貢献できたのではと考えております。また、カーボンニュートラルという意味では、ペーパーレス化も重要なポイントですが、導入前には届出や記録に1人の職員が1、2枚の紙を使っていましたので、それがなくなって大きく削減されています。
その他に効果を感じられているのはどういう点ですか
支所やこども園などの外部機関との移動がなくなったこともメリットです。広域合併の関係から支所が点在しており、以前は支所長が翌日の休暇届を出すために本庁の副市長を訪問して決裁をもらうという慣習がありましたが、それもなくなりました。また、当市では、文書管理システムで電子決裁が可能な環境は整っていたのですが、稼働率(利用率)が著しく低いことが課題でした。庶務事務システムでは全職員がシステムで決裁することになりましたので、これが通常業務(起案書など)の回議にも波及することを期待しています。
今後の展開/富士通Japanへの期待
サポートについてはいかがですか
富士通Japanは全国の多くの自治体で導入実績を持っていることもあって、自治体独自の複雑な制度に精通されていて、こちらからの問い合わせや依頼に的確に対応いただいて助かりました。また、地元企業でもあるエフコムには、IPKNOWLEDGE財務会計システムの導入、運用の時からいろいろな面でサポートをいただいています。今回の庶務事務システムのプロポーザルでは、プレゼンテーション担当が地元の熱塩加納町出身の方だったのも好印象でした。もちろん地元というだけでなく、高いスキルを持ちながら熱心にサポートいただけることが高い信頼感につながっていると感じています。
今後の内部事務のシステム化の展望をおうかがいします
複数のシステムを異なるベンダーで構築すると連携が大変になるという経験をしましたので、将来的には同じベンダーで統一する方がいいのかなと感じています。一方で、システム導入の経験から考えると、システムをトータルで更新したり導入したりするのは大変な体力を必要としますので、標準のシステムが実現できるのであれば、その方が無理なく構築できるのかもしれないと、国の進める施策を注目しているところです。
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