新学習指導要領を見据えたシステム刷新で学習面と校務面の双方で変革を実現
時代変化に柔軟な対応ができる「教育サービス」としてのICT環境を目指す
八千代市教育センター 様、八千代市立大和田小学校 様
導入事例
千葉県八千代市では、文部科学省の教育情報セキュリティガイドラインと新学習指導要領に同時に対応することを目指し、 校務系と学習系のシステムを2018年夏に一斉入れ替えを実施しました。新しいICT環境によって、子どもたちの学習意欲向上と教員の 業務効率化を同時に実現するなどの成果が表れています。
[ 2019年7月掲載 ]
文部科学省教育情報セキュリティガイドラインに準拠した校務系ネットワークシステムの導入 | → |
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2020年度新学習指導要領に対応する学習系システムの整備 |
導入の背景
教育情報セキュリティガイドラインと新学習指導要領への対応が急務に
黒飛 雅樹
氏
八千代市教育センター
主任指導主事
八千代市は、2016年3月に策定した八千代市教育大綱で学校・家庭・地域社会が一体となって、健康で心豊かな人間性を育む教育環境づくりの推進を提唱しています。第2期八千代市教育振興基本計画(2017年3月策定)では、「子どもたちの可能性を引き出す教育」と「教育を核とした地域社会の構築」を重点目標に掲げ、教育の充実に向けた取り組みの一環として、英語や国際理解教育に力を注ぐ一方、教育環境の整備やICT活用を推進しています。
整備にあたり、文部科学省が掲げる教育情報セキュリティガイドラインや、2020年度新学習指導要領への対応が極めて重要な指標となりました。八千代市はいくつも抱えていた喫緊の課題に対応するために、市内全小中学校(小学校22校と中学校11校)のICT環境の整備を一気に進める決断をしました。八千代市教育センター主任指導主事の黒飛雅樹氏は「セキュリティの強靭化、英語やプログラミング教育、合理的配慮などすべての課題への対応を包括的に検討することに価値がある」と決断に至った理由を語ります。
導入のポイント
実現可能性と安心感の高い提案内容が決め手
ICT環境の刷新にあたり八千代市では、老朽化などの課題を抱えていたサーバ室の機器をデータセンターに集約するとともに、教育委員会や学校内にサーバ類を保有せずにサービスとして提供を受けることをベンダー各社への提案条件に盛り込みました。黒飛氏は当時を「費用を平準化しながら今後の業務内容の変化にも対応し、さらに充実したICT環境を実現するための最善策だと考えました。ですから、ベンダーを選ぶ際には、公立学校の教育業界に知見のあるエンジニアがいて安定したシステム稼働を6年間支援してくださるかどうかを判断要素に入れました」と振り返ります。
八千代市で構想していた「サービス利用型」への全面的な入れ替えは当時、全国的にも類を見ないケースでした。そのため、市長部局の情報システム部門の職員にも頻繁に相談しながら具体的な要件や仕様を作成し、ベンダーの選定に臨みました。
富士通の提案を採用した理由について、黒飛氏は「当時の本市が既に実現できていることを踏まえた提案内容でした。類似ケースが少ないサービス利用型でのICT環境の入れ替えをするので、既存システムからのつながりをイメージしやすい提案内容は、選考委員にとって大きな安心要素となったのではないでしょうか」と語ります。
導入のプロセス
学校現場の活用を見据えた環境整備
2018年の2学期から使い始められるよう、ネットワークシステムの整備は夏休み期間に一気に進められました。システムは、約1100台の校務用PC、約5000台のタブレット端末、約40台のサーバによって構成されました。
校務系システムには校務用端末や校務支援ソフト、Web会議システム、グループウェア、CMSなどを整備。学習系には無線環境をはじめ新学習指導要領への対応を支援するためにタブレット端末やさまざまなアプリケーションを整備しました。富士通製品では、授業記録の振り返りとエビデンスに基づいた評価、授業支援やポートフォリオ機能などを持つ「知恵たま」、協働学習を後押しする「マーナビケーション」、自動採点可能な手書き電子ドリル「ペンまーる」、配慮や特別な支援が必要な学習者のための「きもち日記」、「キッズタッチ」などが採用されました。中でも「知恵たま」は、学習者の成果物保存の仕組みがセキュリティガイドラインとの親和性が高いことや,保存された記録をポートフォリオのように活用しながら評価ができるとして,評価されています。また、全普通教室と各階の特別教室に大型提示装置や書画カメラを設置。PC教室は、より多目的な活動ができるよう、机と椅子を自由な学習形態がとれるようにしたICTルームとして生まれ変わりました。
教育現場でのICT活用を促すために、八千代市ではICT支援員を配置し、市の教育ネットワークサイトに新たに導入した各種ICT機器の使い方やよくある悩みをFAQにまとめ、常に確認できる環境を整えました。「特によく質問を受ける項目については、富士通からのサポートを頂いたおかげで詳細な解説を掲載できています」と黒飛氏は話します。
導入の効果
つながりを大切にした夢のある授業を実現
ICT環境刷新による効果は、早速さまざまな場面で表れています。八千代市立大和田小学校3年生の担任(当時) 冨田雄介氏は、ICT環境刷新による変化について「今までは授業で使う挿絵や写真を拡大コピーするなど加工する必要がありましたが、今は大画面で写真や動画をすぐに共有できるようになったので、授業の準備にかかる手間が大幅に減りました。子どもたちも、実物を見る方が興味関心を持ちやすいようです。授業中にわからないことが出てきたらすぐにタブレット端末で調べたりしていて、学習に向き合う姿勢が意欲的に変わったと感じています」と語ります。
黒飛氏は、富士通の企業向けネットワークサービス「FENICS」の性能を高く評価しています。「高速かつ安定したネットワークのおかげで、タブレット端末で動画を流しても途切れることはありません。20学級を同時接続したWeb会議システムでもネットワークへの影響はありませんでした」(黒飛氏)
冨田 雄介
氏
八千代市立大和田小学校
教諭(情報教育主任)
八千代市では今後、新学習指導要領に則った学習を進めながら、新たなICT環境の活用方法などをさらに模索していく構えです。「我々は教員なので、ICTをどう活用するか以前に『どのような授業を目指すのか』という理想を描くことが大事だと考えています。富士通には、理想を実現するために効果的なICT活用ノウハウやナレッジをこれからも提供していただけることを期待しています」と黒飛氏は笑顔で語りました。
[ 2019年2月取材 ]
概要 | 千葉県北西部に位置する八千代市の総人口は19万8950人(2019年1月31日現在)。教育委員会では、関係諸機関の協力を得ながら「未来を拓き、豊かに生きる人間の育成」に取り組んでいます。 |
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