それぞれの個性や意志を尊重してくれる最適な環境

それぞれの個性や意志を尊重してくれる最適な環境

掲載日 2023年11月28日

小池 峻

2010年 新卒入社
ICTサービスのUXデザインから、スマホやデータセンターなどの自社プロダクトのデザインまで幅広い業務を経験。現在は、クライアント企業のビジネスを支援する「外販プロジェクト」で活躍。クリエイティブの力で、顧客が抱えるさまざまな課題解決に取り組んでいる。

情報端末のデザインを手がけてみたかったことが志望のきっかけ

Q 小池さんが富士通を志望した理由について教えてください。

私が就職活動をしていた2009年当時は「ガラケー」の全盛期で、当時の花形製品である情報端末のデザインを手がけてみたかったというのが、富士通に興味を持ったきっかけです。

もともと、ATMやレジなど生活インフラの分野でも強みを持つ富士通なら、生活に身近な製品に携わることができるのではという期待もありました。
実際にプロダクトデザインを担当した業務端末が、瞬く間に国内各所で使用されるようになるなど、自分が関わったものが暮らしの中で活用される様子を直接目にできることが、富士通の魅力のひとつだと思っています。

Q 入社前はどんな会社をイメージしていましたか?また、入社後に変化はありましたか?

入社前の印象は、IT関連分野で活躍している会社のひとつという程度でした。
学生時代は、ITがビジネスにどう活用されているのかはよく知らなくて、富士通についても「堅い仕事をしている会社」というイメージ。働いているのは真面目な人ばかりだろうなと考えていました。

入社後にそのイメージは全く変わりました(笑)。仕事はもちろん、デザインに関する興味や志向などもバラバラで、個性的な人が多かったです。ふんわりとした雰囲気の人や、人あたりの優しい人が多くて、堅苦しさとはほど遠い職場でしたね。

きちんと使ってもらえる製品を形にできたときの達成感は格別

Q 現在、小池さんはどのような業務を担当されていますか?

外部のクライアントに必要なデザインサービスを提供する「外販プロジェクト」を担当しています。

例えば、電線などに使用される銅素材を扱われている金属系素材メーカーさんと一緒に、素材の新たな用途を探したり、さまざまなリサーチを行ったりしながら、新たなサービスの芽を見つけていくのが主なミッションです。具体的な製品案が固まった後は、実際のプロダクトのデザインもします。

Q それ以前は、どのような業務に携わってこられたのでしょうか。

入社直後に担当したのは、ICTサービスの企画や環境デザインでした。

空間とデジタルを掛け合わせた新しいコミュニケーション体験をつくるというミッションのもと、円柱に巻く曲面状のデジタルサイネージに投影するコンテンツや、社内年表のデジタルな見せ方を提案するといった仕事を3年くらいやっていました。
その後は、ハードウェアのデザインを5年ほど担当しました。最初はデータセンターで使用されるプロダクトのデザイン、その後はスマホやタブレットなど、さまざまな自社製品のデザインにも携わりました。

※プラズマチューブアレイ 『2050 EARTH CATALOGUE』出展 (2011)
Q デザインセンターでは、みなさんが多様な業務を経験されるのでしょうか?

人それぞれで、私はさまざまな部署をわたり歩いていますが、10年以上同じ部署で働き続けている人もいます。

私はプロダクトデザインをやりたくて入社しましたが、その一方で「いろんなことをやってみたい」という思いもありました。「若いうちにいろんな経験をしたほうがいい」という上司のアドバイスもあって、どの業務にも前向きに取り組んできました。
プロダクトデザインからサービスデザインまで、さまざまな業務を経験したのち、今の自分の力を開かれた市場の中で試したいという気持ちが生まれました。そこで自ら希望して現在の外販プロジェクトに参加することを決めました。

Q さまざまなプロジェクトの中で、小池さんがとくに印象に残っているものはありますか現在、どんな仕事に携わっていらっしゃいますか?

2015年にリーダーを務めた、高齢者向けスマートフォンの開発プロジェクトです。

実は最終的に製品化はされなかったのですが、開発プロセスの中で実際のユーザーさんの生活を見せていただく調査を実施したんです。

どういうことかというと「過疎地域では高齢者のスマホ使用率が低い」というデータがあり、彼らの課題を探るべくチームで全国4か所の過疎地域を実際に回りました。ご年配のユーザーさんのお宅にお邪魔して、お話を聞かせていただいたり、通信機器の使用状況を現地で確認したりしました。
みなさん、調査には協力的だったものの、やはりスマートフォンへの反応にはネガティブなものが多かったですね。
調査の結果から「お家で使うスマートフォン」という、逆説的なコンセプトを提案しました。製品化はされなかったものの、そのプロジェクトで提案したアイデアや機能のいくつかは後継機で実装されています。
実際のユーザーの暮らしから製品の機能やデザインを1から考えたこの経験は、まさにデザインのアプローチの原点であり、その後の仕事でもさまざまな場面で活用できている気がします。
Q小池さんが、仕事で感じるやりがいとは、そして達成感があるのはどんなできでしょうか?

デザイナーと仕事をした経験がほとんどない方に、自分のデザインや提案で貢献できた時にやりがいを感じます。

それまでデザインやデザイナーとは縁遠かったお客様から、クリエイティブの力を体感してもらい、「すごいですね」といっていただけるのはうれしいものです。
また、多くのユーザーにきちんと使ってもらえる製品を形にできたときの達成感は格別です。
私たちの仕事は、さまざまな製品やデザインに関してアイデアを生み出していくことですが、その全てを世の中に出せるわけではなく、手がけたものが製品化まで至らないケースも珍しくありません。それだけに製品を形にできた時は特別な気持ちになります。

自分の「やりたい」を起点に、未来を考えられる職場

Q デザインセンターで活躍する方には、どんなタイプの人が多いですか?

いろんな人が集まっている組織ですので、活躍のタイプもさまざまです。

例えば、ハードウェアのデザインひとつをとっても、設計や色や質感の専門家まで、さまざまなスペシャリティを持つ人がいて、それぞれのキャリアも多様です。家具やジュエリーのデザインを手がけてきた人、サービスデザインやリサーチ領域から転身した人など、バックボーンもさまざまなので、話を聞いているだけでも楽しいものです。
新しい領域の仕事を担当する場合も、周囲を探せば、必ずその分野について自分より詳しい人がいるので、気軽に質問することも、アドバイスをもらうこともできます。勉強にもなりますし、何よりも刺激があります。

Q デザインセンター独自の文化や風土はありますか?

それぞれの個性や意志を尊重してくれる風土です。

私も若いころから、上司や先輩から意見や提案を求められてきました。それは、幅広いデザインを手がけるチャンスがある中で、できるだけそれぞれの興味や好奇心に合った仕事で力を発揮できるようにしたいとの思いを、多くの人が共有できている証拠なのかもしれません。
また、勤務時間の10%を勉強や関心のある活動に費やすことができる「インサイト活動」が認められているので、「自分が何をやりたいのか」を起点に未来を考えていくことができます。

さきほど銅素材を扱うメーカー様向けのプロジェクトについてお話ししましたが、私自身もそこから派生した取り組みをインサイト活動として行っています。

ハイエンドキーボードブランドであるHHKBを開発・販売をしている株式会社PFU様と連携し、経年劣化を楽しむ価値観のある銅の利点を活かし、銅のCMFをあしらったキーボードのコンセプトモデルをデザインしました。銅は酸化することで色味も渋くなっていくので、使い続けることで新しい魅力が生まれるのでは?という仮説もあります。

※HHKBコンセプトモデル(2023)
Q インサイト活動での試作品の作成コストはどうされているのですか?

もちろん予算は会社から出ています。

インサイト活動でも「こんなものをつくりたい」という提案をし、理解が得られれば予算がつきます。こうした環境を利用し、ベンチャー企業とコラボして新たなサービスを立ち上げているデザイナーもいます。

Q 最後に、小池さんご自身のキャリアプランをお聞かせください

これまでもいろんな仕事や役割を経験してきましたが、あくまでも製品デザインに軸足を置きつつ、そこに新たな強みを加えていくのが私の理想です。

現在担当している外販プロジェクトでは、クライアント企業の経営者や役員の方々と直接お話しさせていただく機会もあります。あくまでいちデザイナーですので、踏み込んだ経営の話は完璧にはできませんが、デザインから生じる発想がビジネスにどのように役立つか、今よりもっとスマートに伝えられれば、デザイナーの貢献できる範囲も広がっていくのではないかと思っています。
事業に対するデザインの貢献度などを数値化する取り組みなども進めているところですので、それらも交えて、デザインの有用性をうまく伝えていけるようにしたいですね。

  • プラズマチューブアレイ(2011)『2050 EARTH CATALOGUE』出展:Design with Takefumi Horie
  • HHKBコンセプトモデル(2023):Design with Keisuke Doi
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