「銅=清潔」をデザインで訴求!古河電気工業×富士通エクスペリエンスデザイン部が仕掛ける「銅の普及」いかに実現するか(後編)

「銅=清潔」をデザインで訴求!
古河電気工業×富士通エクスペリエンスデザイン部が
仕掛ける「銅の普及」いかに実現するか(後編)



掲載日 2021年9月28日
2021年11月4日追記

富士通製品のデザインを担うエクスペリエンスデザイン部が、社外のお客様へのデザインサービス提供を開始した。単なるデザイン制作ではない。これまでの製品開発で培ってきた経験を活かした、UXを起点とする総合デザインサービスだ。
その第一弾となるプロジェクトが、古河電気工業株式会社様の主要製品の一つである「銅箔」の認知度向上を目指したノベルティのデザイン。銅が持つ抗菌性能を活かした「抗菌箸袋」「抗菌シール(アルコールボトル用)」「銅箔をパッケージにした菓子」などのアイテムを製作、すでに一部配布も行っている。
古河電気工業様にとっても、またエクスペリエンスデザイン部にとっても前例の無い取り組みの舞台裏を、銅箔営業部長の森井様、プロジェクトリーダーの玉岡様、エクスペリエンスデザイン部 部長の吉橋、担当デザイナー小池の4人が語った。

後編のポイント

  • アイデアベースで終わらせずに、アイテムを試作。実用と量産に耐えうる作りを追求。
  • 完成したアイテムは、古河電気工業様社内だけでなく、お客様先でも好評を博した。
  • エクスペリエンスデザイン部へ、銅箔事業部以外の部門からもデザイン提案要望の声がかかっている。


インタビュイープロフィール

  • 森井 暁 様 :
    古河電気工業株式会社 機能製品統括部門 銅箔事業部門 銅箔営業部 部長(プロジェクト当時)
  • 玉岡 弘行 様 :
    古河電気工業株式会社 研究開発本部 コア技術融合研究所 先行開発センター第一課 課長(プロジェクト当時)
  • 吉橋 健太郎 :
    デザインセンター エクスペリエンスデザイン部 部長
  • 小池 峻 :
    デザインセンター エクスペリエンスデザイン部 デザイナー

部署名・肩書は取材当時のものになります。

「絵」で得られた共感を具現化――量産化も視野に試作を実施

——— プロジェクトの開始から試作品の完成まで約4ヶ月弱とのことですが、特に印象に残っている事柄やエピソードをお聞かせください。

森井: 社内のメンバーだけで検討していたら絶対に出てこなかったであろうアイデアをいただきながら、エクスペリエンスデザイン部の皆さんと一緒に練り上げていくプロセスは本当に楽しい経験でした。また、やはり「デザイン」の力は大きいなと。当社は、扱っている製品の大部分がBtoBだということもあり、ごく一般の人が目にした時に「あ、いいね」と思うような発信をするための機能が十分ではありません。ただ、今回のご依頼の発端にもなった認知度の壁を乗り越えるには、やはり見た目は重要。そのことを再認識しました。

古河電気工業株式会社 森井様

玉岡: 私は、試作品の作り込みにかける皆さんの情熱にも感動しました。形状のほんのわずかな違いを吟味するために、型をいくつも作ってこんなにこだわり抜くのか…と。

小池: 型は、3Dプリンターで製作しています。今後量産するとなった場合に想定通りの成型ができるか、箔に対して印刷は可能なのか、強度や質感の面で実際の使用に耐えうるものになるのか、といったことを念頭に置きながら試作を行っていました。提案でどんなに喜んでいただけても、形にならないと説得力がありませんから。絵に描いた餅をちゃんと餅にする、と言いますか…。

デザインセンタ― 小池

森井: 実を言うと私は、ここまでのモノを実際に作っていただけるとは思っていませんでした。現物を目にすると、やはり感動が大きいし「ぜひ使ってみたい!」という想いも高まります。その熱意に触発されて、私たちの方でも厚さの異なる銅箔のサンプルを数種類ご用意させていただいたりもしました。

吉橋: コンマ何ミリの世界で、厚さの違う銅箔を支給していただきましたよね。技術をお持ちであればこそ、と感じました。我々も、絵で終わらせずに、形にしたものを見ていただくことでさらにその先の展開にもつながりやすくなれば、という想いがありました。小判型お菓子の試作を担当したメンバーは、夜な夜な会議室にこもって楕円形の型に銅箔を巻きつける工程を反復していました(笑)。

森井: なんと!そうでしたか(笑)。

何度も試作を繰り返した型。製作工程もイメージしてデザインできるのはエクスペリエンスデザイン部ならではの強みだ


反応は上々! さらに新たなプロジェクトも始動

——— 完成したサンプルへの、社内外からの反響はいかがですか?

森井: 関連部門の統括本部長からは、「これはいいね」というコメントをもらっています。また、ちょうど昨日、取引先のトップにお会いする機会があり、今回試作したアイテムをセットでお渡ししてきました。非常に好評で、こちらとしてもねらい通りといったところです。また次回お伺いする際に、いろいろと話を広げられると思うと今から楽しみですね。

玉岡: 社内のほかの部門からも、エクスペリエンスデザイン部さんに新規のご相談をさせていただいていると聞いています。やはり、今回製作したもののインパクトが大きかったようです。

古河電気工業株式会社 玉岡様

吉橋: 「こういった困りごとがあって、ブレイクスルーが欲しい」という感じで、複数お声がけをいただいていて、とても嬉しく思っているところです。

小池: 実は、当社の組織内でも今回のプロジェクトは大きな反響がありました。エクスペリエンスデザイン部以外のチームからも、「楽しそう」「自分もやりたい」といった声が若手のデザイナーを中心に上がっています。涙ぐましい試行錯誤の部分を明かせば、また違った反応になるのかもしれませんが(笑)。



ノベルティ製作は序章、協業で感じた確かな手応え

——— 最後に、今後に向けた期待や展望をお聞かせください!

森井: 今回のような取り組みを、ぜひ第二弾、第三弾とつなげていきたいです。例えば、お客様のもとへ銅箔を納めるために使用している木箱が全く冴えない代物なので、そんなところも改善していけたらなと。銅箔を変えることはできませんが、パッケージを工夫することで、当社のイメージもより良いものに変えていくことができるはず。また、これを機に富士通グループとの交流をより深めていくことができれば、大変嬉しく思います。

玉岡: 無茶ぶりの感のあるリクエストも多かったと思いますが、最終的に、こちらの期待を超えるモノを作っていただきました。今後も、デザインの力で突破するべき壁にぶつかった時は、エクスペリエンスデザイン部の皆さんにご相談させていただきたいです。

第一弾として製作が決まったノベルティ、 ブラック×銅のカラーは高級感も醸し出す

小池: 今日は、実際にサンプルをお渡ししたお客様先でのエピソードも伺うことができて、大変嬉しかったです。形あるものにコンセプトを込め、しかもそれをより良く見せることができるのが我々プロダクトデザイナーの強みだと思っているので、古河電気工業様のお客様やエンドユーザーの目に触れる幅広いデザインで、今後もぜひお手伝いさせていただけたらと思います。

吉橋: エクスペリエンスデザイン部として、本格的に社外のお客様と一緒に取り組むプロジェクトの第一弾のテーマが、古河電気工業様の「銅箔」だったのは、運命の出会いという気がしています。加工の難度は高かったものの、まずは自力で形にするところまでやり切ることができる素材だったからこそ、提案から試作まで断絶なくプロジェクトを進めることができました。今後は、様々な経験を積む中で自分たちの得意・不得意が明確になると思うので、不得意を穴埋めしつつ、いろいろな可能性にチャレンジしていきたいです。いずれ、古河電気工業様と富士通、さらに我々にはない強みを持つ別の会社も仲間に加えて、エコシステムを構築できたら。そんな夢もふくらみます。

デザインセンタ― 吉橋

プロジェクトメンバー
デザインセンター

  •  
  • 小池 峻
  • 岩田 永太郎
  • 南澤 沙良
  • 村島 琴美
デザインに関するお問い合わせ
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