BOPIS(ボピス)で小売の未来を創る!導入に必要なことやメリットを解説

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2019年末以降、自宅にいながら商品を検討し、注文できるネットショッピング市場は大きな拡大をみせました。その中でいま、新たな購買スタイルのBOPISが多くの事業者の関心を集めています。これまでは諦めていたビジネスチャンスの復活が期待されるBOPISの今をみてみましょう。

BOPIS(ボピス=Buy Online Pick-up In Store)とは?

2019年末から始まったコロナ禍で、自宅にいながら商品を検討し、注文できるネットショッピング市場は大きな拡大をみせました。その中でいま、新たな購買スタイルのBOPISが多くの事業者の関心を集めています。新たなビジネスチャンスの創出を期待されるBOPISの今をみてみましょう。

ネットで買って、店舗で受け取るBOPIS

BOPIS(ボピス)とは、「Buy Online Pick-up In Store」の頭文字を取った言葉です。日本語に訳せば「ネットで買って、店舗で受け取る」といえます。インターネット上にあるECサイトで購入した商品を、自宅への配送ではなく店舗で取る仕組みです。

例えば全国に広く展開するブランドの店舗でほしい商品の在庫がなかったとき、自宅に戻ってからECサイトで在庫を確認して購入し、近くにある店舗で受け取るというようなケースは、まさにBOPISといえます。

日本に先んじて、BOPISが普及したのは米国です。その背景には新型コロナウィルスのパンデミックに加え、米国特有の「国土の広さ」がありました。沖縄や離島以外はほぼ翌日配送に対応できる日本と比べると、米国では安く早く自宅に荷物が届く物流網が脆弱といえます。

米国の宅配業者の中には、費用が高かったり荷物の扱いが雑だったりするところもあり、荷物が届かない、遅れる、破損というトラブルも少なくありません。また、置き配を狙う犯罪も多く発生しているため、店舗が商品を安全に預かり好きなときに受け取れるBOPISは米国の消費者のニーズに合致した購買スタイルとして広まったととらえることができます。
ではなぜ今日本でBOPISが注目されているのでしょうか?

今、BOPISが注目されている理由とは

近年、あらゆる業種でDXの推進が進む中、多くの店舗を展開する事業者の中でBOPISが注目を集めています。
BOPISに期待が集まる背景には、下記のような理由が考えられます。

ネットショッピング市場の急成長

総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯)-2021年(令和3年)7月分結果-」によると、過去3年でネットショッピングの支出額は順調に増加。コロナ禍に自宅で過ごす時間が増えたことも、ネットショッピングのニーズを押し上げていると考えられています。

また同じく総務省統計局によれば、コロナ禍以降は65歳以上の高齢世帯でも3割がネットショッピングを利用するように変化。幅広い世代でネットを利用した購買行動が、当たり前になっています。

コロナ禍で失った来店顧客の復活

多くの店舗では、コロナ禍によって来店する顧客が大きく減りました。店舗に足を運び、商品に直接触れて購入するというこれまでのスタイルと異なる売り方に、ビジネスチャンスを模索している事業者が増えています。

店舗スタッフの省人化

来店客の減少や感染防止対策もあって、省人化を進める店舗が増えています。セルフレジなども、これまで人が対応していた部分をITが肩代わりすることで店舗スタッフを減らす試みのひとつといえます。商品を受け取るだけのBOPISでは、商品をすすめる接客が必要なくなります。

BOPISを導入することで消費者・事業者が得られるメリット

BOPISの導入は事業者だけでなく、商品を購入する消費者にも大きなメリットをもたらします。消費者には新しい買い方の選択肢を、事業者にはこれまで諦めていたビジネスチャンスを提供するBOPISについてみていきましょう。

消費者に「買い方」の幅広い選択肢を提供

一見「自宅に届けてもらう方が楽なのでは…?」と思われがちなBOPISですが、そこには様々な顧客ニーズに応える、いくつかのメリットがあります。

① 店舗滞在時間の短縮
商品の検討は自宅のネットでじっくり行い、店舗では受け取るだけというスタイルは、コロナ禍で外出を控えたい、人との接触を避けたい消費者にとって安心。商品購入と店舗の滞在時間の短縮を両立するBOPISは、大きなメリットとなる。

② 在庫の確認、確保
ある店舗でほしい商品の在庫が切れていても、BOPISに対応したブランドであれば他の店舗に足を運んで商品を探すことなく、ECサイト上でいち早く在庫を確認して注文、入手できる。確実に手に入るのは、消費者にとって大きな魅力。

③ 好きなタイミングで受け取れる
在宅して到着を待たなくてはならない自宅への配送と異なり、自分が好きなタイミングで商品を受け取ることができる。出荷から到着までの配送状況も、細かく気にする必要がない。

④ 返品が簡単
商品に不備があった際、配送業者による自宅への配送では返品交換の手続きに手間と時間がかかる。店舗がBOPISに対応していれば、受け取ったその場で商品を確認した上で、返品や交換がしやすい。

⑤ 送料がかからない
自宅ではなく店舗で受け取るBOPISでは、送料がかからないことがほとんど。送料無料は他社との差別化にもつながる。

事業者には需要予測だけでなく、コスト削減も

BOPISの利便性は、事業者にもこれまで得られなかった様々なビジネスチャンスをもたらします。

① 消費者のニーズを需要予測に活かす
ECサイト等で蓄積された情報をもとに、消費者のニーズを細かく把握し、それを需要予測に活かすことができる。

② 来店機会の増加による購買増
商品の受け取りをきっかけに来店機会を増やし、足を運んだ店舗での「ついで買い」につなげる。店舗で実際に商品に触れる機会を増やし、次回の購買意欲を醸成する。

③ 店舗引き渡しによる物流・梱包コストの削減
自宅への配送ではなく店舗で商品を引き渡すことにより、物流や梱包コストの削減につながる。

④ 販売商品数の拡大
リアルな店舗では陳列スペースが限られているため、店舗で販売できる商品数はある程度絞られる。そのためシーズンごと、あるいは一定期間ごとに商品の入れ替えなどを行うが、ECサイトではそうした制限がないため、販売する商品数を拡大することができる。同時にECサイトの情報をもとに需要予測を行うことで効率的な販売も実現化できる。

⑤ 店舗在庫の効率化
消費者の注文によって在庫を店舗間で移動させることにより、仕入れた商品の滞留と、在庫切れによる購買機会の損失を防ぐことができる。

BOPIS導入で行うべき準備とは?

多くの事業者がその可能性を検討しているBOPISは、どこから手をつければよいのでしょうか。ここで必要となる準備をチェックしてみましょう。

EC・実店舗の整備

BOPISはECと実店舗がスムーズに連携することで成り立ちます。すでにECサイトを構築しているのであれば、そこに集まった注文情報を処理し、実店舗に商品を届ける新たなルールや仕組みの構築が必要となるでしょう。
また店舗にはこれまでと異なる在庫管理、売り方、顧客への対応が求められます。BOPISはECだけでも、店舗だけでもうまくいきません。ECと店舗で働くスタッフ、その双方がシームレスに動ける環境の整備が必要です。

新たな在庫管理

ECと店舗がつながるBOPISでは、在庫管理に新たな視点が必要になるでしょう。一例を挙げればこれまで店舗ごとに管理していた在庫情報を本部が一元管理することで、初めて必要な商品を必要なタイミングで店舗に振り分けることが可能になります。
事業者が仕入れた商品1つひとつがいまどこでどのようなステータスにあるのか、詳細な情報をリアルタイムに把握できる在庫管理が必要です。

BOPISに対応したロケーション管理

注文に応じて効率的に商品を店舗に届けるためには、無駄のないロケーション管理が必要です。商品を店舗に送る際、どこからどのタイミングで送れば物流コストが無駄にならないかという観点が求められます。膨大な注文情報を処理する手法として、ビッグデータやAIの活用も視野に入れる必要があるでしょう。

BOPISを成功に導くために

ECと店舗を連携させる新しい購買のかたちであるBOPISは、DXのひとつの解ということができます。事業者が扱う商品情報を一元管理し、需要に合わせて消費者に届けることを可能にする新たなデジタルテクノロジーは、これまで失っていた購買のチャンスを掘り起こすきっかけになるかもしれません。また消費者にとってもBOPISは欲しい商品が安心して手に入る、便利な仕組みです。DXはこれからも、私たちの消費生活をより便利に無駄なく変えていくことでしょう。

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