クラウドネイティブシフトで、ビジネスのアジリティーとスピードを手に入れ2025年の崖を乗り越えろ!(前編)
クラウドネイティブNow

ビジネスを取り巻く環境変化は年々激しさを増し、そのスピードも加速しています。少子高齢化が進む日本では、労働者不足、中でもIT人材の不足が懸念されております。このような厳しい環境の中で企業が生き残っていくためには、アジリティーを高め、新しいビジネスを創造していくことが求められます。そしてシステムにはビジネスの変化に即応できるアジリティーや柔軟性が必要になります。それを実現するソリューションの一つが、クラウドネイティブシフトです。クラウドネイティブシフトとは何か。クラウドリフトやクラウドシフトとは何が異なり、企業経営にどんなメリットをもたらすのか。クラウドネイティブシフトを成功に導く上で、課題となることなどについて、前編、後編と2回に分けて解説いたします。

クラウド移行を今、進める理由

クラウド活用があたり前となりつつあるいま、多くの企業でオンプレミスからクラウド移行を進めようとしています。なぜ、今、クラウド移行が必要なのでしょうか。
理由の第一は、企業をとりまく環境が激しく変化し、そのスピードも増していること。このような変化の激しいビジネス環境に対応し、企業が生き残っていくには、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、ビジネスアジリティーを高めることが求められており、それを可能にするには、ビジネスを支えるシステムも同様にアジリティーを高めることが必要だからです。
第二にIT人材の不足が懸念されていること。経済産業省が2019年に発表した「IT 人材需給に関する調査」によると、2030年には最悪のケースだとIT人材が79万人不足すると報告されています。IT人材の不足によって、システムの保守・運用が難しくなるというリスクの懸念があります。クラウドを活用することで、ハードウェアに関する仕事は不要となりますし、専用ツールが提供されているので、運用や保守がより容易になります。

IT人材需給に関する主な試算結果
IT人材需給に関する主な試算結果(生産性上昇率0.7%、IT需要の伸び「低位」「中位」「高位」)

  • 出典
    2015年は総務省「平成27年国勢調査」によるもの、2016年以降は試算結果を基にみずほ情報総研が作成したもの

第三に複雑化したシステムではビジネスの変化に柔軟に対応することが難しく、維持管理に高額なコストがかかってしまうこと。IT関連投資の内訳は2対8の法則と言われているように、2割が新規システム導入に向けた投資で、8割が既存システム(レガシーシステム)の保守運用に使われていると言われています。つまりレガシーシステムのままでは、これからもIT投資の大半そのレガシーシステムの保守・運用に使われていくわけです。しかも先述したようにIT人材の不足リスクもあります。効率の悪い、高コストのレガシーシステムのままでは、システムが足手まといになってしまい、「2025年の崖」を乗り越えることが難しいことは明らかとも言えます。
第四に多様な働き方ができる環境の構築が求められていること。国では2018年に働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)が成立し、2019年より順次、法が施行されました。働き方改革の目的は複数ありますが、その一つが多様な働き方の実現だからです。多様な働き方ができる環境が求められる理由は、働き方改革だけではありません。日本では毎年と言ってもよいぐらい、大きな自然災害に見舞われています。2021年7月には静岡県や神奈川県で、その1カ月後の2021年8月には長崎県や佐賀県で集中豪雨が発生し、大きな被害をもたらしました。またコロナ禍のようなパンデミックが今後も起こらないとは限りません。つまり事業継続するためには、たとえオフィスに集まれない状況に陥ったとしても、どんな場所からでも社内システムにアクセスできるような仕組みを作ることが重要になるのです。
官公庁システムでは「クラウド・バイ・デフォルト原則」が提唱されていることからも、今は自社システムにどうクラウドを生かしていくのか、考える時期にきていると言えるでしょう。

クラウド化のメリットとクラウドネイティブへのアプローチ

ここで改めてクラウド化のメリットを整理します。クラウド化のメリットの第一は、クラウドサービスに切り替えるなど新たな運用管理スキームを確立することで、維持コストや管理の負担が軽減できること。第二に障害対応時における自社での復旧作業が大幅に削減されることです。第三にIT人材の不足もリスクを軽減できること。第四に多様な働き方ができる環境が実現できること。第五に事業継続対策にもなることです。
その一方で、気になるのがセキュリティ対策です。移行をなかなか決意できない大きな理由に、セキュリティへの不安を挙げる企業がまだまだ後を立ちません。
ではその不安をいかに払拭できるのか。そこで大事になるのが、事業者選定をきちんとすること。クラウド事業者はさまざまなセキュリティ対策を施しているからです。とはいえ、クラウドサービスでも情報漏えいのインシデントが発生しているのは事実です。ですが、これらのインシデントのほとんどが、利用者側の設定が不適切だったことに端を発しているという報告があります。つまり信頼できる事業者を選ぶことでこそ、セキュリティへの不安を払拭するポイントと言えるでしょう。
またセキュリティの考え方を変えることも必要です。これまで社内にある情報システムを守るという考え方でしたが、クラウドを活用するようになると、そのような境界型のセキュリティ対策ではうまくいきません。そこで、昨今、クラウド時代のセキュリティの考え方として、注目を集めているのが「ゼロトラストセキュリティ」です。ゼロトラストとは、すべてのアクセス・端末・操作を疑うべきという考え方を基にしています。具体的なソリューションとしては、「CASB(Cloud Access Security Broker:クラウドアクセスセキュリティ仲介者:キャスビー)」、「CSPM(Cloud Security Posture Management:クラウドセキュリティ設定管理)」、「CWPP(Cloud Workload Protection Platform:クラウドワークロード保護プラットフォーム)」などが挙げられます。これらを活用することで、クラウドサービス利用時の不適切な設定を基にしたセキュリティリスクが軽減できるでしょう。

クラウド化だけではクラウドの恩恵は受けられない。クラウドネイティブシフトが必要な理由

先に挙げたクラウド化のメリットを、すべて享受するには単なるクラウド化(クラウドリフトやクラウドシフト)だけでは難しいのが実情です。そこで必要になるのが、ネイティブシフトです。
ここで簡単にクラウドネイティブについて説明しましょう。CNCF(Cloud Native Computing Foundation)ではクラウドネイティブを、「スケーラブルなアプリケーションを実行するための能力を組織にもたらすためのもの」と定義しています。クラウドネイティブとは、組織規模の大小によらず、ビジネスを最も効率的に回す仕組みをつくるための技術なのです。
とはいえ、一足飛びにオンプレミスからクラウドネイティブシフトへ移行するのは容易ではありません。まずはオンプレミスをクラウドリフトする。その上でアジリティーが必要なシステムからクラウドシフトを検討していくのです。クラウドシフトでアプリケーションをモダナイゼーションします。そして最終的にアプリケーションをマイクロサービス化し、クラウドネイティブにシフトしていく。もちろん、クラウドリフトをすることなく、オンプレミスのアプリケーションが更改の時期にある場合は、直接、クラウドシフトするという手もあります。いずれにおいても、2025年の崖を超え、企業が生き続けるためにはクラウドネイティブシフトすることが得策と言えるでしょう。

クラウドリフトからクラウドシフトへ、最終的にクラウドネイティブシフトへ

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