優れた管理機能の提供で
自治体のネットワーク運用を支援
「ネットワーク機器」部門で1位に輝いたのは、エフサステクノロジーズである。「運用性」「コスト」「サポート」の項目で平均を上回り、「性能・機能」「信頼性」においてもほぼ平均と同等の結果で、総合的に評価された。同社は、ネットワーク機器事業で3つのテーマを掲げて取り組みを進めている。その実直な姿勢が、年々ネットワーク構成が複雑化する自治体から高い評価を得た。
※調査結果の1位企業は富士通ですが、回答・集計期間中に事業主体がエフサステクノロジーズに移管されました
ネットワーク運用を効率化する
「運用性」を重視
今回の調査において、エフサステクノロジーズは「運用性」「サポート」などの評価項目で高い支持を集め、堂々1位の座を獲得した。同社の櫻井秀志氏は、これまでネットワーク機器事業において取り組んできた様々な施策が実を結んだものと考察する。
エフサステクノロジーズは富士通のハードウエア事業を分社化する形で、旧富士通エフサスを母体として2024年4月に発足した。ルーターからスイッチ、ファイアウォール、無線LANに至るまで、通信インフラにかかわるすべての製品をワンストップで提供できることを強みにしている。

コネクトインフラストラクチャ事業部 シニアディレクター
櫻井 秀志氏
「現在弊社のネットワーク機器事業では、『快適』『安全』『運用性』という3つのテーマを掲げています。快適という面では、製品の性能はもちろんのこと、ローカルブレークアウトをはじめとするネットワークのアーキテクチャ設計も含めて、お客様の利便性向上を追求してきました。また安全面では、例えばLANに接続された端末のセキュリティ関連情報を可視化する機能など、ネットワーク機器に様々なセキュリティ機能の搭載を進めています」
そして、残るもう1つの「運用性」が、近年多くの自治体ユーザーに高く評価されているという。これまで大半の自治体は国が打ち出す「三層分離」の方針に則り、インターネットアクセスに厳しい制限を課してきた。しかし、近年では国の政策にも変化が見られるようになり、業務効率の観点からインターネットアクセスを認める方向に転じている。また、庁内ネットワークも有線LANにデスクトップPCを接続する形から、無線LANにモバイルPCを接続して機動性の高い働き方を志向する自治体が増える傾向にある。
このように自治体のネットワーク構成が徐々に複雑化してきたため、ネットワークにトラブルが発生した際、障害ポイントやボトルネックを切り分けて特定する作業も、次第に難易度が高くなってきた。特に、庁内にネットワーク管理の専任者を置くことができない多くの自治体にとって、ネットワークトラブルへの対応は非常に骨の折れる作業になっている。
エフサステクノロジーズのネットワーク機器は、運用作業をできる限りシンプル化し、ネットワーク管理者の負担を軽減するための機能を数多く備えているという。
「ネットワークのどの部分でトラブルが発生しているのかを分かりやすく可視化する機能を備えています。ネットワーク運用を効率化するための機能は、多くの自治体のお客様に高く評価していただいています」(櫻井氏)
無線LANネットワークの
可視化とトラブル対応を効率化
自治体から運用性のメリットを特に評価されているのが、無線LAN製品の分野だ。エフサステクノロジーズの最新製品には、「スマートワイヤレスマネージャ」という管理機能が備わっている。これを活用すると1台の無線LANアクセスポイントから、周辺のアクセスポイントも含めた無線LANネットワーク全体を管理できる。また、幾つかの点で他社製品にない大きな特徴を持つと櫻井氏は語る。
「他社製品の多くは、管理機能を実現するために、アクセスポイントとは別にコントローラ機器を導入する必要があります。しかし、弊社のスマートワイヤレスマネージャはアクセスポイント製品に機能が内蔵されているので、追加の機器導入やコスト負担は不要です。また、インターネットに出ることなくオンプレミス環境に閉じた形で管理機能を利用できるため、インターネットアクセスに制約を設けている自治体での利用に適しているのです」
さらに、単にネットワークの状態を可視化するだけでなく、トラブル調査の手順をガイドしてくれる「障害診断機能」も提供する。これまで様々な環境でネットワークトラブルを調査してきた経験とノウハウを生かして、発生している事象ごとに考え得るトラブル要因を提示し、それらを調査する手順をナビゲートしてくれる。
こうした機能は、ネットワーク運用に多くの人手やコストを割くことができない自治体において、重宝されているという。例えば、ある自治体では、エフサステクノロジーズ製の無線LANアクセスポイントを約40台導入し、スマートワイヤレスマネージャ機能を活用することで、無線LANネットワークのトラブルを職員が自ら調査・対応できるようになった。

豊富な実績をもとに
「標準パターン」を確立
エフサステクノロジーズでは、これまで富士通が長年取り組んできた自治体向けネットワークソリューションの提供実績をもとに、自治体向けネットワークの「標準パターン」を確立している。この標準パターンに基づいて、自社製のルーターやスイッチ、無線LAN、ファイアウォールなどでネットワークを構築することで、信頼性の高いネットワークを低コスト、短期間で自治体に提供できるようになった。
また近年では、災害時に自治体が住民向けに無料開放する公衆無線LANサービス「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」の活動にも協力している。
「平時は庁内向けに利用しているアクセスポイントを、災害発生時にはワンクリックで00000JAPANのアクセスポイントとして住民に即座に開放できます。こうした自治体向けの機能を実装できるのは、長い実績のある国産製品ならではの強みです」(櫻井氏)
なお、エフサステクノロジーズは現在、PBXをIPネットワーク化することでスマートフォンを内線電話として利用できるテレフォニーソリューションにも力を入れており、今後は自治体向けにも積極的に提案していくという。
「最近では、役所内のフリーアドレス化を進める自治体が増えてきました。弊社は国内メーカーとしていち早くPBXのIPネットワーク化に取り組んできましたので、そうしたニーズにも確実にお応えできると自負しています。もちろん、各種ネットワーク製品の運用性にも磨きをかけて、自治体のお客様にとっての利便性をさらに高めていきたいと考えています」(櫻井氏)

転載元:日経BP 「日経クロステック Special 自治体ITシステム満足度No.1企業に訊く エフサステクノロジーズ」より転載
本記事は日経BPより許諾を得て掲載しています