ベニックソリューション株式会社様
3Tier構成の仮想化基盤の運用・保守が抱える課題を一掃し、グループ企業のDXを支えるIT基盤としてHCIを選択

ベニックソリューション様は、川崎重工業グループのIT基盤・ITサービスを支える企業です。2015年には仮想化基盤「K-Hosting2」を構築し、グループ各社に提供してきました。ただし、3Tier構成が持つ運用保守の煩雑さが問題となり、機器更改のタイミングで次世代仮想化基盤として富士通のHCI「Fujitsu Integrated System PRIMEFLEX for Nutanix Enterprise Cloud」(以下、PRIMEFLEX for Nutanix)への刷新を行いました。
業種 | ITサービス |
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ソリューション | 垂直統合型 仮想化基盤(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー:HCI
Fujitsu Integrated System PRIMEFLEX for Nutanix Enterprise Cloud |
- 課題3Tier構成による運用・保守の煩雑さとコスト増大
- 効果HCIに変更することによる運用・保守の手間とコストを削減
- 課題機器ごとに異なるライフサイクルの管理
- 効果HCIに機器を集約することでシンプルになったライフサイクル管理
- 課題異なる機器・ソフトウェアの混在により時間がかかる人材教育
- 効果運用作業メンバーが習熟するまでの時間短縮
「グループ企業のDXでの取り組みでは、クラウド活用のニーズも高まっています。ただし、川崎重工業グループは高度な情報セキュリティが必要な事業も展開していますので、必ずオンプレミスのシステムは必要です。その意味でも、PRIMEFLEXによるオンプレミス環境の強化は非常に重要であり、今後はクラウドとオンプレミスの両方を柔軟に活用できる環境を整備したいと考えています」
ベニックソリューション株式会社
デジタル基盤本部 基盤サービス設計部 クラウドサービス設計グループ グループ長
梶木 俊孝 氏
導入の背景
川崎重工業グループを支えるホスティングサービスが抱えていた運用・保守の課題
ベニックソリューション様は、2001年、川崎重工業のIT部門が独立して設立されました。その役割は、川崎重工業グループ各社にIT基盤・ITサービスを提供することです。インターネットやメール、グループウェア、会計や人事などの共通システムはもちろん、最近ではデジタル・トランスフォーメーション(DX)の取り組みを支えるため、グループ会社のAIやIoTなどを活用したシステムの開発支援にも力を入れています。
同社の基盤サービス設計部は、中でも最も基本となるインフラ基盤を提供する部門です。2009年からWindows ServerのHyper-Vをベースとする仮想化基盤「K-Hosting」を構築して提供を開始。2015年にはVMwareのシステムで構築された「K-Hosting2」へと進化させて、グループ各社のITシステムを支えてきましたが、3Tier構成の環境にはいくつかの課題もあったと、デジタル基盤本部 基盤サービス設計部 クラウドサービス設計グループの浦部 峻紀 氏は次のように説明します。
「ハードウェア面ではサーバ、ネットワーク、ストレージといった機器が、ソフトウェア面では仮想環境の管理、ストレージの管理、バックアップのツールがそれぞれ分かれていたため、全体の運用・保守が非常に煩雑になっていました」(浦部氏)
たとえば、特定の機器やソフトウェアだけをバージョンアップすると、バックアップツールが新しいバージョンに対応していないためバックアップがとれないといった問題も発生していたといいます。
また、浦部氏は「機器やソフトウェアがバラバラのため、運用を担当するエンジニアが熟練者になるまでにも長い時間を要していました」と、人材教育面での課題も指摘します。
ベニックソリューション株式会社
デジタル基盤本部 基盤サービス設計部 クラウドサービス設計グループ
浦部 峻紀 氏
導入のポイント
煩雑な運用・保守をシンプルにする目的で複数台のHCIを比較・検討
「K-Hosting2」の運用が始まって約6年が経過し、ハードウェア更改のタイミングとなったことで、同社は従来の課題を解決することを目指して新しいインフラの検討を開始しました。そこで同社が注目したのが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)でした。
デジタル基盤本部 基盤サービス設計部 クラウドサービス設計グループ (兼)ワークプレース設計グループ 主事 福田 慎 氏は、その理由を「サーバ、ストレージ、スイッチを1つの機器に集約することで運用・保守がシンプルになり、運用メンバーが熟練者になる期間も短縮できると考えました」と説明します。
そこで同社は、数あるHCIソリューションの中からいくつかの候補を絞り込み、実機を用意してさまざまな項目でテストを繰り返しました。検証のポイントについて、福田氏は「最も重視したのは運用管理のパフォーマンスです。複数の実機で同じ管理機能を実行したり、自動アップデートを試したりして、そのパフォーマンスを比較しました」と述べます。
その結果、最終的に選択されたのが富士通のPRIMEFLEX for Nutanixでした 。これは、NutanixのHCIソフトウェア「Acropolis」と管理ツール「Prism」を富士通のサーバ「PRIMERGY」にプレインストールし、ライセンス・サポートも富士通からご提供する製品です。ちなみに福田氏によれば「検証の結果、PRIMEFLEXがかなりの高得点となりました」とのことです。
「K-Hosting2」を支えた実績とサポート力、
国産メーカーとしての信頼と故障率の低さも高く評価
同社がPRIMEFLEXを選択した理由は、他にもありました。1つは富士通への信頼感です。じつは、2015年に実施した「K-Hosting」から「K-Hosting2」への仮想化基盤の移行では、富士通が全面的な支援を行いました。
「当時は富士通のエンジニア、営業の皆さんが一体となって支援していただけました。その結果、K-Hosting2ではすべての機器が富士通製品で統一されていますが、これまでサーバに障害が発生した記憶はありません。その信頼感があったことで、Nutanixという新しいソリュ―ションも安心して導入できました」(福田氏)
また、川崎重工業グループは鉄道や航空・宇宙、エネルギーなど、高いセキュリティが必要とされる事業も展開しています。このため、それを支えるITインフラは"信頼できる国産メーカーの製品"であることも重要な条件です。PRIMEFLEXが、その条件を満たしていたのは、いうまでもありません。
ベニックソリューション株式会社
デジタル基盤本部 基盤サービス設計部 クラウドサービス設計グループ
(兼)ワークプレース設計グループ 主事
福田 慎 氏
導入のプロセス
導入・構築は非常にスムーズ、仮想マシンの移行ツール「Nutanix Move」にも期待
製品検討は2019年からスタートし、2020年に実機を使った検証をへて3台のPRIMEFLEXの導入が決定しました。正式に稼働を開始したのは2022年4月からです。浦部氏は「半導体不足や世界情勢の変化による若干の遅れはありましたが、富士通の支援もあって導入・構築は非常にスムーズでした」と振り返ります。
なお、旧環境で稼働している仮想マシンの移行はこれからですが、その際、活躍が期待されているのが「Nutanix Move」です。これは、仮想マシンを1クリックでNutanix環境に移行できる移行ツールです。浦部氏は「現在、Nutanix Moveを使って移行の検証を行っていますが、非常に優秀かつ高速なので、工数もそれほどかからないと思います」と述べます。
導入のメリットと今後の展開
年間運用工数の約半分が削減できると試算
まだ仮想マシンの移行が完了していないため、PRIMEFLEXの成果が出るのはこれからです。ただし浦部氏は、年間の運用工数をほぼ半減できそうだと次のように説明します。
「管理対象の機器が1つに集約されたことで、ライフサイクル管理が容易になり、考慮すべき周辺機器の種類も減ります。さらに、運用作業メンバーが習熟するまでの期間も短縮できます。これらを総合すると、年間の運用工数の削減率は約50%になると試算しています」(浦部氏)
クラウド/オンプレミスの両方でグループのDX戦略を支える
PRIMEFLEXが安定稼働し、仮想サーバの移行も目処が立ったことで、今後はさらに台数を増やして、ほぼすべてのインフラを旧環境からPRIMEFLEXに移行する計画です。
PRIMEFLEXによって刷新された新しい仮想化基盤の役割について、デジタル基盤本部 基盤サービス設計部 クラウドサービス設計グループ グループ長 梶木 俊孝 氏は次のように説明します。
「グループ企業のDXの取り組みでは、クラウド活用のニーズも高まっています。ただし、すべてがクラウドになるわけではありません。高度な情報セキュリティが必要な事業も展開している以上、必ずオンプレミスのシステムは必要です。その意味でも、PRIMEFLEXによるオンプレミス環境の強化は非常に重要であり、今後はクラウドとオンプレミスの両方を柔軟に活用できる環境を整備したいと考えています」(梶木氏)
川崎重工業グループは「グループビジョン2030」を策定し、地球温暖化や労働人口減少などの社会課題の解決にチャレンジすることを宣言しています。今回導入したPRIMEFLEXは、その取り組みを支える重要なITインフラに位置付けられます。今後も富士通は、ITインフラの支援を通じて、川崎重工業グループのDXの推進に貢献しつづけます。
写真左から、ベニックソリューション株式会社 桑原 博哉 氏、梶木 俊孝 氏、浦部 峻紀 氏、福田 慎 氏
ベニックソリューション株式会社様
所在地 | 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業(株)明石工場内 |
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代表者 | 代表取締役社長 二之湯 秀幸 |
設立 | 2001年2月9日 |
従業員数 | 346人(2022年6月1日現在) |
事業内容 |
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ホームページ | https://www.benic.co.jp/![]() |
[ 2022年10月掲載 ]
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