技術動向:CoMP(Coordinated Multi-Point)

LTEは、隣接する各セルで同じ周波数帯を利用するため、セル端では他セルからの干渉によってシステム容量が低下してしまう。LTE-Advancedでは高データレートのカバレッジ拡大や、セル端におけるスループット改善を目的に多地点協調(CoMP)送受信が検討されている。CoMPの目的は、特にセル端で発生する干渉を解消し、システム・パフォーマンスを改善することにある。そのために、複数の基地局からの共同送信のスケジューリングや、送信の動的な協調、受信した信号の協調的な処理が必要になる。ダウンリンク送信動作のためには端末から、ノイズ・干渉の測定値などのフィードバック情報が必要であり、詳細は3GPPにて議論中。

       

解説図:多地点協調(CoMP)送信法

多地点協調(CoMP)送信法(注1

注1 出典:総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 携帯電話等高度化委員会報告(案)

多地点協調(CoMP)のタイプ
CS/CB (Coordinated Scheduling / Coordinated Beam forming) DPS (Dynamic Point Selection) JT (Joint Transmission)
基地局間で協調してスケジューリングやビームフォーミングを実施。それぞれのセルに含まれる端末向けにデータ伝送することで干渉が軽減する仕組みとなる。 複数の基地局が協調動作するものの、データ伝送時はその中から最も条件の良い一つの基地局に高速で切り替える。 複数の基地局が協調動作し、それぞれが干渉とならず、ゲインを高め合うように1台の端末に対してコヒーレント伝送する。
データは通信中の基地局のみから送信可能 データは各基地局から送信可能 データは各基地局から送信可能
データは1つの送信ポイントから送信されるが、スケジューリング/ビームフォーミングの決定はセル間で協調して行われる データは1回に1つの基地局から送信される
Rel-11の標準化ではDSPが仕様化
データは複数の基地局から同時に送信される
Rel-12以降で更なる拡張が議論されている

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