【イベントレポート】
富士通 × ヤフー
デザイナー交流会に密着

掲載日 2022年5月24日

2022年2月7日(月曜日)に、ヤフー株式会社(以下:ヤフー)と業種を超えたデザイナー同士の交流会を開催しました。参加者は、ヤフーからクリエイティブ企画チームに所属するディレクター、デザイナー計8名、富士通からデザインセンターのデザイナー等6名の総勢14名。オンラインでの開催でしたが、和気藹々とした雰囲気の中、お互いの仕事内容やデザインに対する想いなどの意見交換を行い、有意義な交流会となりました。



ヤフーからデザインセンターへ交流会の提案

きっかけとなったのは、ヤフーの担当者からデザインセンター廣澤梓への連絡でした。「デザイナーの交流会をしませんか」と前職の先輩から話を持ち掛けられた廣澤は、二つ返事で承諾。社内調整や参加者募集を行い、開催の運びとなりました。

オンライン交流会の様子。右上はヤフーの窓口となったご担当者

まずヤフークリエイティブ企画のマネージャーより、「社内外のデザイン組織との交流を通して今後の仕事への向き合い方を整理し、視野を広げキャリアビジョンを考えるきっかけとしたい」とこの会の目的を改めて伝える挨拶があり、交流会がスタートしました。



ヤフーのクリエイティブ企画の面白いカルチャー「勝手アワード」

ヤフーからは、マーケティングソリューションズ統括本部 営業推進本部 販売推進部 クリエイティブ企画の8名が参加されました。ヤフーの皆さんのバーチャル背景は、赤い企業ロゴや公式キャラクター「けんさくとえんじん」など一目で会社名が分かるのが印象的。
初回ということで、まずはデザインチームの仕事内容の紹介から始まりました。

ヤフーのクリエイティブ企画にはディレクターとデザイナーが在籍しており、「クリエイティブを通して広告事業に貢献する」ことをミッションに掲げ、様々な種類の広告制作を手掛けています。Yahoo JAPANが持っているデータを活用したクリエイティブの勝ちパターンの研究や蓄積されたノウハウを活かした制作サポート、広告テンプレートの開発などを行っているとのことです。当チームが制作した広告には、警視庁などと協業し広告賞を受賞した「TEHAI|AIで指名手配被疑者の今の姿を予測する」(現在広告ページは公開終了、関連動画)や、デザイナー主導で企画したコロナ危機意識の啓発広告「#ようせいです」(関連記事)など社会的にインパクトの大きい広告も多くあります。

ヤフーのクリエイティブ企画チームが手掛けた広告の例

ヤフーのチーム紹介を一通り終えた後、事前に富士通から渡してあった質問に対する回答がありました。

Q:ヤフーのデザイン部門って、スキル別ですか、それとも領域別ですか
A : サービス領域別にデザイン部門が分かれています。サービス領域とは、Yahoo!JAPAN トップページ 、Yahoo!知恵袋、Yahoo!ショッピング、Yahoo!広告などのことで、それぞれの領域ごとに求められるスキルが異なるため、サービス領域ごとのデザイン組織になっています。また全社を横断したデザイン組織や、全体を俯瞰して横連携を強化した施策などを行う組織も存在します。

Q:みなさんのデザインは広く世に公開されるものが多いと思いますが、それゆえの喜びと悩みはありますか
A : 反響が分かりやすいので、『バズった』ときの喜びはあります。ただ広告なので、必ずしもユーザーの関心のある内容とは限らないというジレンマも感じます。また短期間で掲載が終わってしまう性質のものなので、寂しさを感じることもあります。

Q:デザインチームの面白いカルチャーがあれば教えてください
A : チーム内で『勝手アワード』を開催しています。隔週で自分の関心のあるデザインをシェアしたり、最近のメンバーの制作物から勝手にアワードを開催して表彰するもので、楽しみながら視野を広げるのに一役買っていると思います。そのほか会社推進でお茶会、ランチ会を開催し仕事以外の話をする場を設けたり、ハッカソンイベントが催されたりします。

Q:どうやってデザインスキルを磨いていますか
A : 定期的に広告賞のコンペに応募しています。副業しているメンバーもいます。

このほか予定にない質問が出たり、チャットでも盛り上がりました。富士通から「リサーチとデータアナリティクスの専門家ですか?」と質問した時は、「データに強くなろうとはしていますが専門家ではなく、別の部門と連携しながらデータを解釈してデザインに落とし込む仕事が多いです。データ、ロジカルとクリエイティブは相反する部分もあり難しい」と回答があり、さらにそれに対して両社の参加者から「どこの業界でも求められている重要なスキル」「データだけでも心を動かせない」「右脳と左脳のキャッチボールがうまくできるデザイナーが求められているのかも」といった意見がありました。

クリエイティブ企画チームではHTMLやCSSのコーディングも行うことも多く、JavaScriptを書くデザイナーもいると聞いて、富士通から「素晴らしい!尊敬します」という声が上がりました。

富士通では大規模な商談にかかわる機会がある

次に富士通から、まずはパワーポイント各自1ページの資料で自己紹介を行いました。内容は、「ふだんのデザイン業務に使うツール」「業務で達成感を覚えるとき」「好きなフォント」などというデザイナーらしいもの。
富士通の参加者は、デザインセンターから廣澤梓、飯嶋亮平、早川裕彦、板野一郎、経営デザイン部から在家加奈子、近藤真太郎(順不同)の計6名でした。

富士通側の自己紹介シートを紹介する様子

自己紹介では「大規模な商談に関わる機会は、ドーパミンが出る」「自分のデザインに対して好きと言われたときに達成感を感じる」「涙が出るほど喜ばれる仕事がしたい」等の話が出ました。
好きなフォントに対してもチャットを通して、「話題になってましたね!」「素敵なフォントですよね」等とヤフーからたくさんの書き込みがありました。Uvanceのサイトを紹介すると、「きれいなサイト!」との意見も。

この後、同様にヤフーからの事前質問に回答しました。

Q:デザイナーの評価はどのように行われていますか
A:会社として評価の仕組みを変えようとしていて、ジョブディスクリプションが導入される予定ですが、デザインセンター独自の取り組みとして、360°評価のフィードバックを行っています。 人事の評価とは別で、自身のスキルアップのための取り組みです。

Q:デザインにおいてチーム全体で意識していること、重視していることは何ですか
A:組織変更でデザインチームが富士通本体に戻り、デザインだけでなく、以前に増してどうやってビジネスに貢献するか、お客様の課題を解決するか、という上流の視点が求められています。例えばデザインの前にインタビューをする、アンケートを取る、データを解析するといった仕事をすることもあります。デザイン制作の仕事が減った人は、自由に活動できる時間の中で、日本酒体験のリデザイン活動などに取り組んで、バランスを取ったりしています。

富士通グループは従業員13万人のうち、デザイナーは約150人。一方のヤフーは従業員7,167人(2021年3月31日現在)にデザイナーが約400人と比率が大きく異なるため、キャリアパスに違いがある点も話題に上りました。またヤフーと比較した富士通のカルチャーとして、「Office(M365)を多用する」「使っているデザインツールは個人の裁量に任されていて幅広い」という意見も出ました。

文化交流に手ごたえ

スタート時は遠慮がちの意見交換でしたが、最終的には時間を大幅にオーバーしてしまうほど 盛り上がりました。社外の交流会はヤフーのクリエイティブ企画では初の試みとのこと。富士通デザインセンターにとってもめったにない良い機会となりました。
結びにヤフーの方が、「同じデザイナー職でも、会社によって文化も業務内容も視点もかなり違うと勉強になりました。デザイナーのスキルを上げていくために、こういった文化交流が有効だと手ごたえを感じています。今回、お互いの会社を知ることができたので、今後はワークショップや勉強会のようなこともできるといいですね」と挨拶を述べてお開きとなりました。

今回富士通側の調整を担当したデザインセンターの廣澤は、「オンラインの小規模な会だったのでそれほど負担もなく実施できた」と振り返っています。最近はコロナ禍のため、イベントが中止になったり在宅勤務が増えたりして視野が狭くなりがちです。皆さんもぜひ、他部門や他社、他業種の会社との交流を企画してみてはいかがでしょうか。



参加メンバー
デザインセンター ビジネスデザイン部

  •  
  • 廣澤 梓
  • 飯嶋 亮平
  • 早川 裕彦
  • 板野 一郎

(注)部署名・肩書は取材当時のものになります。

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