「私たちは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていきます。」
2021年に富士通が発表したこのパーパスでは、私たち富士通の企業活動は経済的な成功に加え、社会の幸福の増大に貢献すべきだと述べられています。
ともすれば相反する概念として語られる「ビジネス」と「社会の幸福」。しかし、富士通のソーシャルデザイン事業本部デジタルタッチポイント事業部の生川 慎二氏は10年以上前から「ビジネスで社会課題を解決する」ことに取り組んできました。
その生川が2020年3月に立ち上げた「新型コロナウイルス感染症対策チーム」では、健康観察チャット「N-CHAT」をはじめ国や自治体に未知なる感染症の対策システムや地域医療を守るためのスマホアプリを感染症専門医と開発し、60を超える感染症現場の問題解決に貢献してきました。
「N-CHAT」は、2020年5月の長崎クルーズ船内クラスター対応において、状況把握の的確さと疾病災害の抱える複合的な課題への対策が評価され、2021年グッドデザイン賞を受賞しました。また、政府提言の症候群サーベイランスや多数の医療・介護・学校・企業等での採用など、大きな実績を残しています。
前編では「ビジネスで社会課題を解決する」ことを目指した経緯、また、それを実現するためのユニークなチーミングについてご紹介します。
- (注)本稿は前後編になります。後編はこちら >
前編のポイント
- 社会課題解決は長丁場。活動を継続するため「ビジネス」として成立させる必要がある。
- 「未知のモデル」は「破壊と創造」から生まれる。デザイン思考のアプローチが有効。
- メンバーの才能を引き出すチーミングで、「つくれるコンサル」としての優位性を確立。