無人店舗が担うリテール業界の今後。海外事例に見るAIレジレスの可能性

キャッシュレス リテールDX

最近話題になっている無人店舗。海外で一足お先に浸透しつつある無人店舗は、いま日本でも少しずつ導入が始まっています。無人店舗、特にウォークスルー型の店舗では、商品を持って退店するだけで買い物が完了。最先端の技術を駆使しており、顧客とスタッフ双方の利便性向上や安全性に貢献している無人店舗のメリットと実際の海外事例などについてご紹介します。

無人店舗とは?

無人店舗とは、文字通り販売員や接客スタッフなどの店員が配置されていない店舗のことを指します。キャッシュレス決済やAIカメラ、スマホ、各種センサーなどの最先端技術を駆使し、無人決済を行うことで人的なオベレーションを最小限にしています。2018年にAmazon GOからスタートして広まっていきました。

特に日本では無人コンビニから広まっており、主にウォークスルー型、セルフレジ型、自動販売機型の3つの方式があります。

● ウォークスルー型・・・Amazon GOに代表される無人店舗の方式で、店舗内の多数のカメラとセンサーにより購入した商品を感知するので、レジを通らなくても商品を持って出るだけでアカウントに紐付けられたクレジットカードによる自動決済が可能です。
● セルフレジ型・・・店内に多数設置されたカメラやセンサーで顧客の取った商品を認識するのはウォークスルー型と同じですが、セルフレジを通過する必要があります。パネルに購入した商品と金額が表示され、間違いなければ決済をして完了です。
● 自動販売機型・・・オフィスやマンションなど限定した商圏に特化した商品構成で、コンビニよりさらに近くで買い物ができるというものです。専用アプリで扉の二次元コードを読み取り、商品を選んで商品の二次元コードを読み込むと、登録したクレジットカードで決済されます。

また、無人店舗のシステムも「TOUCH TO GO」「Cloudpick」「AiFi」「Zippin」などさまざまなものがあります。今回は、特に「Zippin」に代表される、ウォークスルー型の無人店舗について詳しくご紹介します。

無人店舗が注目される理由

無人店舗が注目される理由について3つご紹介します。

レジ待ちの解消

無人店舗、特にウォークスルー型の店舗では、レジを通過するという概念自体がなくなります。そのため、レジ待ちの時間というものも存在しません。レジ待ち時間は有人店舗において大きな課題であり、顧客にとってストレスな時間になってしまいます。そのため、レジ待ち時間が完全になくなるということは画期的な課題解決法になるとして期待されているのです。

プライバシー保護

無人店舗において、アカウント確認やクレジットカードなどによるキャッシュレス決済はバックエンド側で行われます。そのため、有人店舗での決済のようにクレジットカードやキャッシュレス決済画面を店舗スタッフに見せる必要がなく、顧客のプライバシーの保護に役立ちます。

コンタクトレスな買い物

商品を持って店舗を出るだけで決済が完了するウォークスルー店舗なら、特にコンタクトレスな買い物が行えます。近年の感染症対策はもちろん、レジでは商品を店舗スタッフに触れられることなく購入が済ませられるため、衛生的に買い物が行えます。

無人店舗のメリット

無人店舗には、企業側と利用者側にそれぞれ以下のようなメリットが考えられます。

企業側のメリット

無人店舗の企業側のメリットとして挙げられるのは、以下の3つです。

● 人件費の削減・人材不足の緩和(リソースの有効活用)
● 利用客の蓄積データの有効活用
● 万引き等の犯罪抑止

第一に、店舗業務で最も負荷の掛かるレジスタッフを必要としないことで人件費の削減や人材不足の緩和に役立ちます。特に日本では今後も人口減少や高齢化社会が進むと考えられており、生産年齢人口の減少は早急に対策すべき課題の一つです。無人店舗は、人材の不足を解消してくれるとともに、少ない人的リソースの有効活用に役立つと考えられています。

また、利用者の蓄積データをマーケティングに有効活用したり、アカウントとの紐づけなどにより万引きなどの犯罪抑止に役立てたりすることが期待されます。

利用者側のメリット

無人店舗の利用者側のメリットとして挙げられるのは、以下の3つです。

● ストレス解消
● シームレスな買い物体験
● 非接触による安全性の確保

利用者にとって、無人店舗の最も大きなメリットとして挙げられるのが、レジ待ちのストレス解消です。有人店舗の大きな課題の一つであるレジ待ち時間が存在しないことで、無人店舗ではストレスフリーな買い物が可能になります。

また、商品を持って店舗を出るだけというシームレスな買い物体験ができたり、非接触による感染症対策や衛生対策など安全性の確保ができたりするのも大きなメリットと言えるでしょう。

海外に見る無人店舗の成功事例

ここでは、海外で既に導入されている「Zippin」の事例を3つご紹介します。

Case1: Tenesse Titans 日産スタジアム

Tenesse Titans 日産スタジアムでは、プレシーズンに合わせて5店舗目を2022年7月にオープンしました。レジ業務での商品登録と決済の両方が自動化されたことにより、完全シームレスな顧客体験の提供を実施。加えて買い物にかかる時間を平均20分から20秒に劇的に短縮することを可能にしました。

スタジアム観戦に訪れた顧客は観戦中に素早く飲み物や食べ物の購入ができるようになりました。レジ待ちでゲーム中の大事なシーンを見逃すことも少なくなり、飲食も楽しめる、こうした利便性やファンエクスペリエンスの提供によって、スタジアム利用の満足度向上に寄与できています。

さらに、スタッフをより収益性の高いタスクに転換することで、在庫管理を改善したり、1平方フィートあたりの収益を最適化したりすることにもつながりました。

Case2: ブラジルRiodeJanero空港国内線内の店舗

航空業界では、新型コロナウイルス感染症の流行により、前例のない打撃を受けることになったと同時に、感染防止対策を余儀なくされました。顧客向けに品揃えを充実させている同店舗は、年間1,400万人が利用するため、顧客や従業員への安全性と安心の確保が急務でした。

そのため、無人店舗の導入を実施。非接触での衛生的な買い物体験は、ビジネスおよびレジャーが目的で空港を利用する顧客に安心感を与えてくれます。同時に従業員が安全かつ快適に仕事ができる環境を取り戻すことにもつながり、従業員の満足度向上にも貢献しています。

Case3: Dave & Busters Hollywood. FL

ハリウッドのゲームセンターに2022年7月にオープンしたDave & Busters Hollywood. FLでは、ゲームを楽しみながら簡単に軽食をつまんだり、飲み物を飲んだりしたい人に向けて無人店舗を展開しています。

レストランで座って食事をする時間を短縮したい顧客に向けて、店内ではでパッケージ済のスナックや飲料、市販薬などを用意。ウォークスルー型のチェックアウトによって食事だけでなく決済の時間まで短縮でき、より多くの時間をゲーム等に費やすことができるようになりました。シームレスかつストレスフリーな買い物体験により、顧客の満足度向上と利用増加を図れています。

無人店舗の真の価値- 顧客体験を創る

無人店舗ではどうしても人材不足の解消や人件費の削減などのメリットに焦点が当てられがちですが、非接触での買い物体験は顧客にとっても従業員にとっても衛生面で安心感があり、双方の満足度アップにもつながります。

前述のスタジアムやゲームセンターなどでは、ストレスフリーかつシームレスな買い物体験ができることで、施設利用における顧客満足度アップが期待できるでしょう。すると、今まで「時間がかかるから買い物するのはやめておこう」などと考えていた顧客層を取り込むことができ、結果的に従来型の有人店舗と比較して売り上げアップにもつながっていくと考えられます。


無人店舗を実現、合理性も兼ね備えたソリューション「Flexible Commerce(Brainforce)」

富士通の「Flexible Commerce(Brainforce)」なら、前述の「Zippin」と連携し、ウォークスルーチェックアウトを実現できます。

商品登録と決済の両方が自動化できる

これまで、有人店舗ではどうしてもレジでの商品登録や決済の自動化が難しい面がありました。これはセルフレジを導入している店舗であっても、商品登録や決済を店舗スタッフまたは顧客自身のどちらかが行わなくてはならず、レジ待ち時間が生じる大きな原因の一つになっていたのです。しかし、ウォークスルーチェックアウトなら商品登録と決済の両方が自動化できるため、商品登録に関する時間や決済に関する時間がかからなくなります。

AIの判定精度をあげるため必要に応じて人の目でも再確認

無人店舗では多くのカメラやセンサーを用いて顧客の手に取った商品とその数量の自動認識を行っていますが、AIによる取りこぼしや認識不足を補うために人の目で確認できるサポートセンターが備えてあります。AI の判断が定かでない場合はデータを飛ばしてビデオ判定をすることで精度を担保できるようになっています。

コストを抑えた設計が可能

AIカメラやゲートは、無人店舗専用のものではなく、既製品を使用しています。また棚センサーは既存の店舗設備に設置できるため、新しく店舗設備を一から購入する必要がありません。そのため、コストを抑えて無人店舗に必要な設備を導入でき、顧客にストレスフリーかつシームレスな買い物体験を提供できます。 

無人店舗でストレスフリーかつシームレスな顧客体験を提供しよう

国内における無人店舗は、現在のところ、ごく限られた店舗や施設でしか導入されていません。また導入にはオペレーションや人の流れなど大きな改革を伴います。しかし、技術の革新によって、今後は国内でも海外のように、大型のスタジアムや空港などを始め、施設の規模や利用者ニーズに合わせた形で導入が進んで行くことが予測されます。

そうなれば、将来的には量販店のような業態での導入にも繋がっていくでしょう。無人店舗の導入により、ストレスフリーでシームレスな顧客体験を提供できるようになれば、これまでアプローチできていなかった層にもアプローチできるようになるのではないでしょうか。

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