2024年問題「ISDNサービス廃止」に向けて企業がとるべき対策とは?
2024年、固定電話網のIP化に伴い、ISDNサービス「INSネットディジタル通信モード」が終了します。ISDNを利用している企業は多く、受発注や決済といった重要なデータの転送に利用しています。ISDN終了によって発生しうる課題とその対策についてご紹介いたします。
- 1. そもそもISDNサービスとは
- 2. なぜISDNサービスは終了するのか
- 3. ISDNサービス終了までのスケジュール
- 4. ISDNサービス終了に伴う企業への影響
- 5. サービス終了に向けて、今やるべきこととは
- 6. Fujitsu リテールソリューション「ChainFlow/I」ができること
1. そもそもISDNサービスとは
2024年1月の終了が決定している「INSネットディジタル通信モード」は、NTTが長年提供してきたISDN回線サービスです。アナログ電話回線を使ったデジタル通信網であるISDN回線は、1つの回線契約で電話回線2つ分の働きをすることから電話とFAXやデータ通信を同時利用が可能で、個人・法人ともに活発に利用されてきました。
2. なぜISDNサービスは終了するのか
交換機などISDNに使用されている設備の老朽化により2025年頃には機能の維持が困難になると言われています。そのため、NTT東西は、既存の設備をIP網へ切り替える作業を進めており、電話のアナログ回線やISDN回線はサービスを終了することになりました。
ISDNのサービスが終了する要因としては、固定電話やISDNの利用者が減少していることも要因にあります。契約者数減少の主な理由としては、光回線をはじめとしたISDNよりも回線速度が速く、料金が安いサービスが登場していることがあります。
3. ISDNサービス終了までのスケジュール
ISDNサービス廃止に向けたスケジュールは、2024年1月の「固定電話(のIP接続への)切替開始」のタイミングで、従来の加入電話やINSネットがメタルIP電話に「契約引継ぎ」となります。同時にINSネット ディジタル通信モードが提供終了されます。そのため、INSネットを使用しているEDIを始めとする通信システムは、早急に見直しを行い、2023年12月までに対応が完了している事が求められています。
ISDNの終了時期は、以前に2020年から2024年1月に後ろ倒しされています。それでも企業のビジネスに与える影響が大きいと判断して、NTT東西が補完サービスを2027年まで提供することを発表しました。
しかし、補完サービスは、従来とまったく同じ通信の安定性・サービス内容が提供されるわけではありません。そのためISDNを利用中の企業は、早急に回線の切り替えを検討しましょう。
4. ISDNサービス終了に伴う企業への影響
ISDN回線終了にあたって特に懸念されるのは「EDI」を利用している場合です。EDIとは、Electronic Data Interchangeのことを指します。企業間の受発注をメールやFAXではなく、専用の回線(ISDN回線など)やインターネットを介して行うシステムです。国内全体でおよそ50万社が導入しているとされていると言われています。
実は、自社のEDIにISDN回線が利用されていると知らずに利用している企業は少なくありません。こうしたシステムの多くはISDNの提供が始まった1988年から1990年代にかけて導入され、長い時間が経過しています。そのため組織や担当者が変わった際に引継ぎができておらず、ISDN回線だと知らずに使っているケースや、本社ではなく一部の拠点でのみ使われているため、システム部門が管理しきれていないケースも発生しています。自社の通信に思わぬ影響が出ないのか、改めて総点検することが必要です。
実際の業務への影響として、例えばPOSレジなどで利用していた場合、商品の発注ができなくなります。他にも企業間で受発注のデータ連携を取っている場合は、生産ラインの停止等の深刻な影響が発生する可能性があります。
ISDN回線はEDI以外にも、
- 小売店で利用されるPOSレジやPOSシステム
- 銀行ATMでの利用
- 警備分野の監視カメラの映像伝送
- ラジオ放送で番組の素材配信
- 医療現場で診療報酬等のデータ転送
など、多くの現場で使用されており、抜本的な対策を進めることが必要です。
5. ISDNサービス終了に向けて、今やるべきこととは
EDIシステムへの切り替えを行う場合、EDIを利用してデータ通信を行っている取引先と切替タイミングや通信方式等を相談し、業務に影響が出ないように切替作業、テスト等を実施する必要があります。
EDIの利用企業がサービスの終了間際に駆け込みで対策しようとした場合、EDIに精通したベンダーのSEが不足し、切替作業まで時間がかかったり、開発作業が滞る事態が想定されます。そのため、新サービスへの切替検討は早めに始めるようにしましょう
そこでEDIシステム選定時の考慮事項についてご紹介します。
様々な通信手順に対応している
EDIシステムを選定する際は、どの通信プロトコルに対応しているか確認する必要があります。流通BMSや全銀協TCP/IP手順などの様々な通信プロトコルに対応しており、システム導入に向けてスムーズな移行ができることが重要です。
クラウド型(SaaS)のEDIである
IT化が進むこれからの時代では、インターネットと相性の良いEDIシステムを選ぶことが重要になります。基本的な部分として、インターネット回線を利用できるか、さらに「クラウド型」のサービスであれば外部サーバーを利用して費用や人材のリソースを削減できるため、コスト削減につながります。
取引先とのインターフェイス調整に柔軟に対応できる
新規取引先が発生した場合の取引先追加について柔軟に対応できることが重要です。その都度、基幹システムの個別開発が発生してしまうとコストおよび時間がかかってしまいます。開発作業によりシステムが複雑化したり属人化してしまう可能性が高くなり、今後の維持・メンテナンスへの業務負荷が高くなってしまいます。
運用面の効率化が可能である
WEB-EDIの手動オペレーションは、早朝/夜間問わず対応が必要になることがあります。そこでWEB-EDIの自動化など運用を効率化できることが重要です。また効率化に向けて、日々の運用について社内体制を有効活用したい場合は「自社運用」、社内の作業負担を下げたい場合は「業務委託」とお客様にあった運用形態を選べることもポイントとなります。
システムトラブル時のBCP対策
EDIシステム導入によって、商品の発注など重要な企業間のデータ連携に必須な業務がシステム化されることになるため、システムトラブルの可能性も考慮しておく必要があります。万が一EDIツールにトラブルが生じた場合、滞りなく業務が継続できるようにBCP対策(事業継続計画)を検討しておくことが大切です。
期日厳守が必要な取引先業務については、特にBCP対策が必須となっておきます。
6. Fujitsu リテールソリューション「ChainFlow/I」ができること
流通業界標準の通信手順に対応
流通業界で標準の流通BMSや全銀協TCP/IP手順などの様々な通信プロトコルに対応しています。流通BMSへの対応実績も豊富でありお客様業務の移行をスムーズできるようにサポート致します。
クラウド型(SaaS)のEDIサービス
ChainFlow/I 統合EDIサービスは、取引先との間のあらゆるデータ送受信にご利用いただけるクラウド型のEDIサービスです。オンプレミス型のEDIに比べて導入コストが安く、システム導入・開発を短期間で行うことが可能です。自社の環境にシステム環境を持たなくて済むため、システムのバージョンアップやセキュリティ対策などの運用も自社ごとに対応する必要がありません。
豊富な機能による業務効率化を実現
取引先追加時、Excel設定ツールを使用することで、お客様自身でマッピング定義を作成でき取引先要望への対応スピードが格段に向上します。取引先追加の都度のシステム改修が不要のため業務効率がアップします。更に、取引先指定WEB-EDIやメールEDIの自動化、簡易インターネット通信ツール (iCF通信)といった豊富なオプション機能を利用することで業務負荷を軽減します。
お客様自身による柔軟な運用を実現
運用監視機能のご提供により、お客様自身による柔軟な運用が可能です。運用業務を弊社へご委託いただくBPOサービスも提供しています。
お客様の状況に応じて、運用形態を「自社運用」、「業務運用代行」から選択することができます。
センター冗長化によるBCPを実現
センター、システムの冗長化による高い信頼性でサービスをご提供します。大規模災害や広域停電など、不測の事態が発生した場合でもサービスを継続し、お客様の事業継続をサポートします。