ネットスーパーとは?その概要とECやダークストアとの違いについて解説

リテールDX

新型コロナウイルス感染症の流行などにより、一気にオンライン購入の需要が加速しました。これまでは実店舗での購入が当たり前だった日用品や食料品をオンラインで購入したいと考える人も多く、かねてより大手スーパーなどが参入していたネットスーパーの需要が増加しています。本記事では、ネットスーパーの概要や注目される理由、ECやダークストアとの違いなどについてわかりやすく解説します。

ネットスーパーとは

ネットスーパーとは、生鮮食料品や日用品などをインターネット上で注文し、自宅に届けてもらうシステムのことです。日本では、2000年に西友が始めた「西友ネットスーパー」、2001年にイトーヨーカドーが始めた「アイワイネット」などが挙げられます。

その後、インターネット網の普及とともに需要も増加してきました。特に、新型コロナウイルス感染症などの影響で人との接触を避けた、オンラインでの買い物需要が増えたこともあり、さらにネットスーパーの需要は加速しています。

ネットスーパーの仕組み

ネットスーパーの仕組みは、以下となります。

  1. 利用者が専用サイトから、商品を注文する
  2. 注文内容がデータセンターへ送られ、近隣店舗や配送センターへ配送指示が出される
  3. 店舗やセンターの担当者が商品をピックアップ、梱包
  4. 配送エリアごとにトラックに積み込まれ、配達

注文の時点で、直接店舗に配送指示が送られるようになっているサービスや、配送業者と店舗運営会社は別になっているサービスもありますが、概ね上記のような仕組みで利用者の自宅まで届くようになっています。

ネットスーパーが注目されている理由

ネットスーパーが注目されている理由として、インターネット網が発達したことと、新型コロナウイルス感染症の流行により、密を避けて商品を購入するオンラインショッピングの需要が増したことが挙げられます。

さらにガソリンの高騰による外出控えや高齢者の買い物需要の変化(重いものが持てないなど)といった理由からも、ネットスーパーを利用した買い物への需要が高まったと考えられます。

特に、食料品や日用品の買い出しを行うスーパーには多くの人が集まるため、できればコロナ禍での外出を避けたいという消費者心理から、ネットスーパーの需要が高まったと考えられます。

ネットスーパーの市場規模

ネットスーパーの需要は高まっているものの、日本における食品通販市場の中ではまだそれほど大きい規模を占めているわけではありません。矢野経済研究所【※】によれば、食品通販の【2020年度の小売】市場規模4兆3,057億円のうち、ネットスーパーが占める割合は3.9%であり、いわゆる「グルメサイトのお取り寄せ」や「生協」と比べるとまだまだ市場規模は小さいと言えます。

【※出所:矢野経済研究所「食品通販市場に関する調査(2021年)」2021年9月22日発表】

一方で、コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増え、自炊する人も増えたことで、ネットスーパーの売上高は各社増加傾向にあります。伸び悩む小売業界の中で、売上高が軒並み伸びている市場は非常に珍しく、まだまだ増加の余地があると言えるでしょう。

ECサイトやダークストアとの違い

ネットスーパーはECサイトや、ECサイトからの注文における配送拠点として設置されるダークストアと一緒に語られることが多いですが、それぞれどのような特性や違いがあるのでしょうか。

ネットスーパーとECサイトの違い

ネットスーパーとECサイトの最も大きな違いは「生鮮食料品を取り扱うかどうか」です。ネットスーパーは主に生鮮食料品を取り扱っているため、近隣店舗から出荷されます。一方で、ECサイトは取り扱う商品が多岐にわたり、かつ配送拠点もさまざまなため、生鮮食料品を取り扱っているところはまだまだ少ないのが現状です。

ネットスーパーとダークストアの違い

ネットスーパーとダークストアはどちらも実店舗を持つ点で共通していますが、ネットスーパーは一般の消費者も入れる店舗なのに対し、ダークストアは一般の消費者が入れない店舗であることが大きく異なります。

ネットスーパーとダークストアのもう一つの違いとして、配送にかかる時間とコストが挙げられます。ダークストアでは注文から配達まで30分以内をうたうところもあるなどスピーディさを売りにしており、これを実現するためのコストを最初から織り込んだ利益構造になっていますが、ネットスーパーでは実店舗の運営に追加されたサービスであるという特性上、どうしてもダークストアと比べると配送に時間とコストがかかる傾向にあります。

ネットスーパーでも配送網への投資を増やして当日配送を可能にするなど、時間は改善傾向にありますが、小規模な店舗だと、店舗ごとにトラック1台を用意し、決まった配送枠をどう効率的に利用するかといったことを模索している店舗も多く、コスト面も含めて今後のネットスーパー展開における課題の一つと言えるでしょう。

時代と共に変化するネットスーパーの今後

ネットスーパーの現行ビジネスモデルでは、人件費や配送用車両の維持コスト、ガソリン代、スタッフや車両のリソースといった問題があります。これらの課題を解決する方法として、様々なECプラットフォームを利用する方法があり、こうしたネットスーパーの形態は「次世代ネットスーパー」と呼ばれています。

既に物流のインフラが整備されているという意味では、ラストワンマイルを担う物流業者と提携するのも良いでしょう。配送部分を専門の業者と提携できれば、実店舗で行うのはピッキングと梱包のみであり、リソース減を大幅に抑えられます。このように注文から配送までを一貫して提供するためには、DX化で基幹となるシステムを整えることも必要です。

ネットスーパーは次世代へ。加速するオンラインリテール競争

大手スーパーマーケットチェーンが実店舗での運営にプラスして行うサービスとして、あるいは店舗を持たない宅配の業者がネットで注文を受け付け、指定先まで配達するサービスとして、これまで発展してきたネットスーパー。
しかし、今後のネットスーパーは物流部分を専門業者へ委託したり、ECプラットフォームを構築したりするなど、次世代型の取り組みが注目されます。

コロナ禍で急速に高まったオンラインショッピング、デリバリーサービスの需要により、ダークストアというサービスも登場しました。今後も、オンラインリテール競争はますます加速していくことでしょう。

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