映像分析とは?監視カメラ映像による顧客行動分析やデータ活用の技術

データドリブン

カメラで記録された映像から得られるさまざまなデータを収集・計測して分析する映像分析。主にスポーツでプレイスタイルなどを確認するために使われることが多かったのですが、近年のAI技術の進歩により、膨大な映像データから顧客の行動分析や店舗計画に映像分析を活かす手法が開発されました。店舗DXの一環として映像分析を利用する手法、富士通の映像分析システム“Citywide Surveillance”ができることを紹介します。

映像分析とは?店舗DXの一環として

店舗DXの一環として映像分析を利用するにあたり、基本的な考え方を解説します。

映像分析とは

店舗DXにおける映像分析では、監視カメラに記録される映像からリアル空間の人物行動や属性情報をデジタルデータとして収集し、収集されたデータを必要に応じて分析を行います。

これにより、経験や勘だけに頼ることのない、実地的かつ定量的なデータに基づくさまざまな施策を打ち出し、実行することができます。データ取得や解析・分析は1回だけにとどまらず、定期的にデータを取得して分析し、施策にフィードバックしていくことで継続的に施設・店舗運営を改善し、収益アップにつなげていくことができます。

プライバシーへの配慮

監視カメラ映像を用いてデータを収集するとなると、プライバシーへの配慮が問題となります。そこで、顧客行動分析など店舗DXに用いるためのデータとしては、個人情報が含まれないよう慎重に取得しなくてはなりません。

個人の特定につながるような、例えば顔の特徴などはデータ化せず「女性」「40代」「化粧品に興味がある」など、あくまでも属性としてのデータや、行動のデータだけを抽出することで、プライバシー面の配慮ができます。

店舗DXの一環としての映像分析

映像分析では、これまでのPOSデータや登録顧客のデータでは十分に得られなかった「来店顧客がどのような行動をしたか」「来店顧客の属性割合」などのデータを、個人情報と紐づけることなく取得できます。

来店する顧客の行動や属性割合は日々変化していきます。これらのデータを蓄積して分析することで、より店舗に来店する顧客に合わせた施策や店内レイアウトを検討・実行することができるようになります。このように、映像分析はデジタル技術で店舗運営のあり方を変える「店舗DX」の一環と言えるでしょう。

Citywide Surveillanceでできること

店舗DXをよりスムーズに進めるために外せない映像分析。
富士通の映像分析システム“Citywide Surveillance”(以下CWS)は、撮影した映像を防犯対策や店舗運営の業務効率化、売上向上などに幅広く活用できる、AIリアル空間解析サービスです。既存のカメラが使える、プライバシーに配慮しているなど、今あるものを上手に活用できるCWSを使って、映像分析についてみていきましょう。

カメラ映像をデジタルデータとして取得

CWSでは、カメラ映像から読み取れるさまざまな情報を、個人の特定につながらないような形でデジタルデータとして取得します。
例えば、以下のようなデータが取得できます。

  • 店舗の混雑状況
  • 来店した顧客の属性
  • 来店した顧客が店内をどう移動したか(動線)
  • サイネージの視聴情報、視聴率
  • 入退店の人数、入店率
  • 通過人数、通過率

映像分析システムのために新しいカメラを導入する必要はなく、既存のネットワークカメラも映像分析に使うことができます。設置場所や画角も柔軟に対応でき、既存のカメラを有効活用することで初期導入コストを抑えられます。

施設・店舗分析

取得した定量的なデジタルデータは、オフラインとリアルタイムの両方で解析します。デジタルデータから顧客行動を可視化し、売り場における顧客行動を分析することで、店内行動パターンを把握し、施設や店舗に訪れる顧客の現状を理解します。

オフライン解析では、数ヶ月〜半年に1回など、定期的にお客様から富士通のデータ解析環境に映像データを送っていただき、データ分析を行います。リアルタイム解析では、入店状況などのデータを日々の施設・店舗運営に即時反映できます。ただし、リアルタイム解析を行う場合は施設や店舗に解析用パソコンなどの導入が必要です。

課題改善に向けたデータ活用

データの分析が終わったら、課題の改善を目指します。例えば、以下のような課題と改善方法が考えられます。

  • 顧客が通らない道がある → 棚、レイアウトの見直し
  • サイネージを見ても購入につながらない → 広告コンテンツの見直し
  • 立ち寄っているが、購入につながらない → 商品ラインナップの見直し

このように、映像分析から得られるデータを活かせば、より効果的なマーケティングができ、その結果を効率的な店舗運営に繋げることができます。

映像分析を活用してできる「スマートストア化」

様々なデジタル技術を用いて売場の最適化を図る店舗のことを「スマートストア」と言いますが、この「スマートストア」づくりでは、映像分析によるデジタルデータを活用して、どのようなことができるのでしょうか。

定量的なデータから、効率的な店舗計画

顧客が購買前にどのような動きをしたか、サイネージ前や商品の棚にどのくらい立ち寄ったかなど、これまでPOSデータや登録データだけではわからなかった顧客行動がわかります。購買した顧客だけでなく、購買に至らなかった顧客の行動もデジタルデータ化することで、棚割やレイアウトを最適化し、購入率アップにつながる効率的な店舗計画が行えます。

来店した顧客の人数や属性だけでなく、回遊特性(店舗内をどう移動したか)をAIで分析・学習することで得られるデータから、より買い物をしやすい店内レイアウトを考えたり、品揃え計画を立てたりすることが可能です。

ニューノーマルな施設・店舗運営

混雑状況や入店状況などのデータをリアルタイムに把握し、店舗運営に即時活用・反映することで、密を避けたニューノーマルな施設・店舗運営が可能になります。混雑を避けてサポートを必要とする顧客をいち早くフォローすることで、顧客満足度向上にも寄与でき、安全で快適な施設・店舗運営につながります。

例えば、人物行動検知技術で取得された「手伸ばし行動」や、滞在時間データなどをリアルタイムに把握できれば、購買意欲が高いと考えられる顧客を重点的にフォローできます。接客を必要とされる顧客を中心にフォローすることで、業務効率をアップし、店舗運営と接客の両立がしやすくなります。

PR効果の分析・改善による売上アップ

店内サイネージの視聴率や、どんな属性の人がどんな商品を手に取ったのかのデータも、映像分析で得ることができます。PR効果をよりわかりやすく、実態に沿った形で把握できるため、これらのデータを分析することで、時間・ターゲット属性などに応じたデジタルサイネージを打ち出すなど、効率的な商品PRにつなげ、売上アップの実現を目指すことが可能になります。

PR、すなわち広告効果の測定には「どれだけ実際にターゲットに見られたか」が重要ですが、これまで正確に計測する手法がなかったのが大きな課題でした。CWSでは視認測定でこの課題を解決し、広告を実際に視認している人の人数、視聴時間、視聴率などを測定できますので、より効果的な広告がどれなのかわかります。

映像分析で顧客データを取得し、店舗課題を改善しよう

店舗DXにおける映像分析では、顧客のプライバシーに配慮し、個人につながるデータを避けながらも、これまでのPOSデータや登録顧客データからはわからない顧客の属性や行動データを取得し、分析できます。

分析した顧客データからは、リアルタイムと中長期的な店舗運営の改善につながる課題を見つけることができます。買い物しやすい店内レイアウトを作ったり、購買意欲の高い顧客を優先的にフォローしたり、より効果的な広告を打ち出したりすることが可能です。店舗課題を改善するために、映像分析の利用を検討してはいかがでしょうか。

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