データドリブンとは?
DXが導く、ニューノーマル時代におけるビジネス成功のキー
「データドリブン企業」への変革を目指す企業が増えています。これまでの経験や勘ではなく、データに基づき意思決定を行うデータドリブン。一見無味乾燥な数字でも、大きな集合体として分析されると企業にとって大きな価値を生む、注目のキーワード「データドリブン」の今をみていきましょう。
- データドリブンとは?
- なぜ今、データドリブンなのか? 求められている4つの理由とは
- データドリブン経営における課題。企業が変革を行う上で必要なステップとは
- データドリブンが期待される領域
- データドリブンを成功に導くために
データドリブンとは?
国を挙げたDX推進が叫ばれる中、データドリブンへの注目も高まっています。データドリブンとは、収集・蓄積したデータをビジネスの意思決定や経営に活かすこと。データドリブンの「driven」には、「何かに突き動かされる」という意味があります。データが持つ価値に気づき、データが示す根拠に基づいて意思決定を行うことがデータドリブンです。
これまでも企業ではデータをもとにした意思決定を行ってきましたが、それらの多くは特定の組織や担当者といった限定された領域でした。店舗や倉庫、製造現場などでは個別にデータを収集・活用してはいるものの、組織の垣根を超えた活用には至っていないところがほとんどです。
今注目されているデータドリブンは、わかりやすくいうと企業の経営戦略にデータを活用するということです。例えば自社の商品やサービスは、それが流通する場面ごとに膨大なデータが発生しますが、それぞれの場所で蓄積されたデータから重要なものを選び取り、セールスやマーケティング、経営に活かすことができる分析結果に磨き上げます。企業の未来を創って行く重要な経営戦略に、データという明確な根拠を活用しようという取り組みがデータドリブンといえます。
なぜ今、データドリブンなのか? 求められている4つの理由とは
いま多くの企業が「データドリブン企業」への変革を模索しています。なぜ今、データドリブンが注目されているのでしょうか。その理由をみていきましょう。
デジタル化の加速
世界中を覆ったコロナ禍の影響で、私たちの生活は大きく変化しました。人々がソーシャルディスタンスを意識する中、テレワークによる在宅勤務やオンラインショッピングが急激に増加しました。
今では幅広い世代の人たちがスマホをはじめとした様々なデバイスでネットに接続し、消費や購買を行うようになっています。人と接触しない手段として、デジタル化が加速したということができるでしょう。
オンラインでの行動は、行動履歴データを生みます。デジタル化で蓄積されたデータを分析し、新たなビジネスチャンスに活かそうとする企業が増えています。
AIの進化とビッグデータの活用
IT化が進んだ今、多くの企業には様々なデータが蓄積されています。ひとつひとつは単なる数字やテキストであっても、その集合体であるビッグデータを分析することで、ビジネスチャンスにつながる新たな価値がみえてきます。
以前はデータの分析はデータサイエンティストに依頼することで、分析ロジックがブラックボックス化していたり、自ら分析をしようとしてツールを導入しても、なかなか使いこなせないことがありましたが、AIが自ら学び、進化するディープラーニングの登場により、以前よりも企業が自らデータ分析を行える環境になりました。
購買顧客の多様化
ネットショッピングの拡大は、顧客の多様化を生みました。リアルな店舗では到達できなかった顧客を獲得する一方で、国境の無いネット環境では海外勢を含む思いがけない競合に直面するケースも少なくありません。
市場の変化がスピードを増す中では、顧客の真のニーズをつかみ、ベストなタイミングで確実に商品を届けることができなければ生き残ることはできません。そのビジネス判断の根拠に、経験や勘ではない「データ」を選ぶ企業が増えています。
社内業務の複雑化
IT化は進めたものの各部署が独立して業務を推進し、データの連携が取れていないという企業は少なくありません。顧客の多様化に伴って社内業務も複雑化しており、企業にとって価値のあるデータが埋もれてしまうといった可能性もでてきます。
新たな時代を迎える取り組みとして、自社が保有する「データの価値」を見直し、企業戦略にデータを活用する仕組みから組織を再編成しようとする企業が増えています。
データドリブン経営における課題。企業が変革を行う上で必要なステップとは
では、データを経営判断に活かす「データドリブン企業」になるには、どのようなステップが必要でしょうか。最も大切なのは、目的を達成するために何が必要なのかということ。データドリブンの目的からぶれないよう、1つ1つのステップをしっかりと意識して進めましょう。
データドリブンの目的を改めて考える
どのような意思決定や経営判断があるのか、そのときにどのデータを根拠としたいのかを整理しましょう。「せっかく貯まっているから」「使いやすく整理されているから」というデータありきで活用法を模索するのではなく、「経営に必要なデータは何か」という視点で考え、取捨選択することがポイントです。
「意思決定に必要なデータ」を決定する
ここで役立つデータとは、どのようなものでしょうか。データドリブンでは社内に蓄積されたデータを分析し、意思決定の根拠となるアウトプットデータに加工します。下記の観点に基づき、最適なデータを集め、どういったアウトプットにするのかを決定します。
- 基となるデータ:種類、量、精度、取得方法、タイミング など
- データ加工:分析手法、ツール、求められる精度 など
- アウトプットデータ:収益、コスト、需要、アクセス数 など
データの収集
アウトプットの基となるデータを収集します。店舗、工場、拠点、本社など、様々な場所に固有のデータが存在します。企業によっては複数の部署からデータを抽出する必要もあるでしょう。大きな変革を求め、経営層レベルから全社を巻き込んで進めるプロジェクトもあれば、スモールスタートで小さな成功体験をもとにまわりを巻き込んでいく方法もあります。
データの加工、可視化
収集したデータを加工し、可視化します。スピード感を重視した意思決定には、一目で分析結果がわかるよう、グラフなどをまとめた「BIツールのダッシュボード機能」などを活用して、わかりやすく整理しておくことが必要です。大切なのは「このデータで判断できるのか」という視点です。
意思決定とPDCA
アウトプットデータを基に、意思決定を行います。データドリブンの各ステップは、よりよいものを目指すことを目的として常にチェックし、PDCAを回します。企業によってデータドリブンの解は異なります。もし効果がでなければ仮説の間違いを検証できたからよしとし、新たな方向を模索する柔軟性が成功への道となります。
データドリブンが期待される領域
データドリブンは、どのような領域に多くの恩恵をもたらすでしょうか。埋もれていたデータに価値を与え、新たな体験を生み出す。その取り組みが活きる場を考えてみましょう。
業務の変革
組織の垣根を超えてより多くのデータを活用し、業務を効率的に変革します。業務プロセスごとに蓄積されているデータや、商品の製造・配送・販売といったサプライチェーンを構成するデータなど、業務には様々なデータが存在します。複数の組織が保有するデータを繋げることで、その価値を再確認し、さらに活用することで新たなチャンスにつなげていきます。
業界や社会の変革
企業や国を超えたデータ、事業に関係する全てのステークホルダーのデータに目を向けることで、新たな価値を発掘できるかもしれません。また製品や素材リサイクルなど、これまで追跡が困難だったデータを分析することは、SDGsの実現にもつながる可能性があります。データドリブンはビジネスの成功だけではない、業界や社会を大きく変える可能性も同時に持ち合わせています。
データドリブンを成功に導くために
データを基に意思決定を行うデータドリブンに着手すると、社内のどこにどのようなデータが存在するのかが見えてきます。大きな価値をもたらすデータを発見する一方で、活用されることなく保有コストだけが増大していく価値のないデータにも気づくことでしょう。 様々なシーンでITが当たり前になった現在、サーバーに日々蓄積されるデータは膨大なものとなっています。データドリブンを契機とし、必要のないデータが負債化しない仕組みづくりも必要となっていくでしょう。
データドリブンに取り組む際は、データを資産としてマネジメントする「データガバナンス」の観点も必要です。自社はどのようなデータを保有し、その価値はどれくらいなのか。またその資産を守るために必要な仕組みは何か。不動産、有価証券、機械、特許技術などと同じように、データも価値ある資産としてとらえることが、これからの時代の経営といえるでしょう。
業務の変革
組織の垣根を超えてより多くのデータを活用し、業務を効率的に変革します。業務プロセスごとに蓄積されているデータや、商品の製造・配送・販売といったサプライチェーンを構成するデータなど、業務には様々なデータが存在します。複数の組織が保有するデータを繋げることで、その価値を再確認し、さらに活用することで新たなチャンスにつなげていきます。
業界や社会の変革
企業や国を超えたデータ、事業に関係する全てのステークホルダーのデータに目を向けることで、新たな価値を発掘できるかもしれません。また製品や素材リサイクルなど、これまで追跡が困難だったデータを分析することは、SDGsの実現にもつながる可能性があります。データドリブンはビジネスの成功だけではない、業界や社会を大きく変える可能性も同時に持ち合わせています。