八尾市様
ーIPKNOWLEDGE文書管理・電子決裁・財務情報システム
電子決裁を基盤とした文書管理・財務会計システムの連携により内部事務を最適化
起案・起票の時間短縮、ペーパーレス化を実現し、事務処理を大幅に改善
八尾市様では、コロナ禍を機に文書管理・電子決裁システムの導入が決まり、ほぼ同時期に財務会計システムが更新時期を迎えていたことから、それぞれのシステムを連携させることで業務を効率化することをめざし、IPKNOWLEDGE内部情報ソリューションを導入しました。2022年(令和4年)4月から文書管理・電子決裁システムが、2023年(令和5年)4月から財務会計システムが稼働しています。現在はほぼ100%の電子決裁率を達成し、起案・起票の迅速化や事務処理の効率化、ペーパーレス化を実現しています。システム導入を担当した総務課、財政課、行政改革課の担当者にお話を伺いました。
課題
- ■ 以前より財務会計システムが稼働していたが、起票の際に根拠となる起案文書を探す、決裁は紙で回すなど、業務を効率化できていなかった
- ■ パッケージシステムに合わせて運用を変える必要があり、約100ある課にできるだけ負担を掛けずに円滑にシステム運用に移行できるか懸念していた
- ■ 紙文書の保管場所の確保が難しくなってきた
効果
- ■ 文書管理・電子決裁・財務会計が連携する統合システムの導入により、パソコン上で根拠となる起案文書の確認や伝票の回付が行え、作業のスピードアップ・効率化を実現できた。事務の効率化で生まれた時間をほかの業務に充てることで残業時間の削減につながった
- ■ 新システム導入前後を比較した事務処理方法を説明する独自運用マニュアルの作成や、各課に検証環境で実際にシステムを触ってもらうことで、システムへの理解と課題の洗い出しが進み、本稼働に向けて準備することができた。また、パッケージシステムのEUC(End User Computing)機能を活用することで、必要なデータの抽出ができ、カスタマイズを抑制できた
- ■ ほぼ100%の電子決裁率を実現することで、例として当該システムによる効果だけではないものの総務課では紙文書が従来の約1/5、複合機使用料が約半分となり、市全体でペーパーレス化、費用削減が進んでおり、課題解決につながっている
八尾市様のご紹介
【八尾市様のご紹介】
八尾市は大阪平野の中心、大阪市の東南部に位置する中核市で、東には高安山などの生駒山系を臨み、一級河川の大和川や桜並木が美しい玉串川が流れる温暖な地域です。古くから、高度な技術力と製品開発力を持つ中小企業を中心とした産業が盛んな「ものづくりのまち」であり、オンリーワンの技術を有する企業も多く存在します。夏には市内各所でさまざまな祭りが行われる活気あふれる街です。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、自治体としては唯一ヘルスケアパビリオンに出展することが決まっており、万博期間中に開催される大阪ウィークへの出展も含め、その波及効果を市の成長につなげることをめざして各課が連携して取組を進めています。
- 業種: 自治体
- 場所: 大阪府八尾市本町一丁目1番1号
- 職員数: 2,385人(2023年4月1日現在)
- https://www.city.yao.osaka.jp/index.html
背景
八尾市様におけるデジタル化の取組についてお聞かせください
市民向けの取組としては、行政手続きの利便性向上などのために2021年(令和3年)10月から電子申請システムを導入しています。また、庁内では職員間で使用するコミュニケーションツールやRPA(Robotic Process Automation)などの試験導入を進めています。その他、さまざまな行政のデジタル化やデジタル化による業務の見直しを全庁的に取り組めるよう、組織としてデジタル戦略課を新たに設置し、生成AIや新たなデジタル技術といった最新技術の行政への活用手法の検討、行政DXの推進を全市的に進めています。
IPKNOWLEDGE内部情報ソリューション導入の経緯についてお伺いします
文書管理・電子決裁システムの導入については、紙文書の保管場所の問題などから課題意識はあったものの、正式には検討されていませんでした。そこにコロナ禍においてリモートワークが必要となり、一気に導入に向けて動き出しました。それと同時期に、既に稼働していた財務会計システムが更新のタイミングを迎えていました。それまでは財務会計システムで起票する場合、根拠となる紙の起案文書を探し、決裁では紙への出力が必要で、デジタル化の恩恵を十分に受けられていませんでした。そのため、文書管理・電子決裁・財務会計が連携する統合システムの導入が不可欠と考え、入札によりIPKNOWLEDGEを採用しました。文書管理・電子決裁システムは2022年(令和4年)4月から、財務会計システムは2023年(令和5年)4月から稼働を開始しています。
導入時の工夫
システム導入・更新に当たって懸念はありましたか
文書管理や決裁の電子化は、約100ある課に影響するため大きな負担を掛けずに円滑にシステム運用に移行できるかや、パッケージシステムに運用を合わせるため事務処理のルールをどうするかといった点が懸念されました。また、システムの稼働開始が年度替わりに重なり、4月1日に紙から電子に置き換わることを短い期間で十分に周知できるかも心配でした。財務会計システムは文書管理・電子決裁システムから1年遅れての稼働だったため、操作に不安はありませんでしたが、予算・決算など期間が限られた中で処理が必要な事務については、システムに事務を当てはめていく難しさを感じました。ただ、IPKNOWLEDGEはカスタマイズをしなくてもEUC機能などの実用性の高い機能が備わっていることは安心材料となりました。
導入作業ではどのような苦労がありましたか
システム導入に合わせた文書取扱規程の改定が大きな作業の一つで、担当者で議論を重ねました。自治体によってはシステム導入後も紙文書を原本としているところもあるようですが、それではペーパーレス化の問題を解決できないため、八尾市では電子文書を原本とする大きな変更を行いました。システム構築においては、総務課と行政改革課が文書管理・電子決裁システムを、財政課、会計課、契約検査課が財務会計システムを担当しました。導入作業ではさまざまな項目や設定を選択する必要がありますが、担当者は管理部門所属のため、現場での運用や事務処理への影響を一つ一つイメージしながら進めました。また、課ごとの事務処理ルールもあるため擦り合わせも大変な作業でした。
庁内への周知や研修ではどのような工夫をされましたか
検証環境を用意して、起案や決裁の操作を試す期間を1か月ほど設け、庶務担当や文書管理主任を中心に各課で実際にシステムを触ってもらい動作を確認してもらいました。その中で気になる点やわからないこと、支障がある点を報告してもらい、設定の微修正を行い稼働に向けて準備しました。また、パッケージシステムを使った事務処理は運用でカバーする部分も多いため、これまでの事務フローを新システムではどのように運用するのか、事務処理の手順変更が大きかった総務課や契約検査課、会計課では、独自の運用マニュアルを作成しました。マニュアルの作成は負荷の大きい作業ですが、作り込んでおくことで稼働後の問い合わせを減らすことにもつながります。
導入効果
電子決裁システムの導入によりどのような効果が出ていますか
決裁ルートに行政委員会委員長など市の職員ではない方が入っている場合などは例外的に紙での決裁を可としていますが、それ以外は電子決裁を原則とし、現在の電子決裁率はほぼ100%となっています。リモートワーク環境においても決裁処理が可能なことはもちろん、複数の部署に決裁を取るときには同時並行で進めることができることや、出先機関まで起案文書を持ち運ぶ手間もないため、決裁に要する時間が大幅に短縮しています。また、事務処理の詳細がシステムに記録されるため、不適切な処理がないかを決裁の段階からチェックでき、内部統制の観点からも効果があると評価しています。さらに、システム導入を機に決裁をどの役職まで上げるべきかといった決裁区分の見直しも行いました。
文書管理システムの導入および財務会計システムとの連携についてはいかがでしょうか
起案においては、自席で過去の文書を検索し、添付ファイルも含めて画面上で確認できるため、作業が簡略化し起案作成が迅速化しました。また、システム導入前後で比較したところ、当該システムによる効果だけではないものの総務課では紙文書の量が約1/5に削減、複合機使用料も約半分になりました。文書事務の効率化で生まれた時間をほかの業務に充てることができ、超過勤務の削減にもつながっています。
文書管理と財務会計がシステム連携したことで、事務処理が非常にスムーズになりました。以前は伝票を上げる際に、文書の保管場所から根拠となる起案を探し、コピーを取って会計伝票に貼付して会計課に回すという作業が必ず発生していましたが、それがなくなりシステム上で完結できるようになりました。確証書類などを添付することを意識して各自がデータの保存の仕方を工夫しており、効果を上げています。また、会計では支払日など期限があるものも多いため、電子決裁により伝票がどこにあるかわかるようになったことも非常に有用です。
今後の展開/富士通Japanへの期待
現時点での課題や今後の取組についてお聞かせください
紙文書が減少したため書庫に引き継ぐ際の管理方法の変更や、システム導入前から保管されている紙文書の電子化の検討、永年保存文書の見直しが必要だと考えています。また、決算統計などを国や府に提出する際には、財務会計システムから抽出したデータをExcelで加工して提出様式に落とし込んでいましたが、抽出データの配列が旧システムと異なるため従来のExcelシートにそのまま適用できないケースがあります。そこで、EUC機能を活用して使いやすいデータ抽出の仕組みを作っていきたいと思います。
2024年(令和6年)度からはIPKNOWLEDGEの人事給与システムが稼働予定で、文書管理・財務会計と統合されることで、さらに効率化できると期待しています。人事異動に伴うシステム上の人事情報の変更は、年度末に多くの職員が手作業で対応していましたが、人事給与システムと連携することで人事異動情報がシステム内部で共有されるため大変助かります。
富士通Japanへの期待や要望についてお伺いします
限られた人員で業務の効率化、市民の利便性向上に取り組むためには、RPAやAIなどの技術を積極的に活用していく必要があります。Excelなどを活用して業務効率化のための仕組みを内製するなどしていますが、バックアップやログ管理など安全で安定的に運用するためにはシステム化の必要性も感じており、ベンダーと共同開発ができたらと考えています。
また、IPKNOWLEDGEを導入した自治体同士で意見交換できる場を設けてもらえると、システムの利活用を自治体自ら進めていけますし、そこから見えてきたユーザーの困りごとを解決できる機能などをシステムに反映してもらえるとありがたいです。
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