渋谷区 様
IPKNOWLEDGE 文書管理システム
公文書管理の一連のプロセスをデジタル化し
迅速な意思決定とワークスタイル変革を推進
富士通Youtube公式チャンネルにインタビュー動画公開中
渋谷区様では、IPKNOWLEDGEをベースとした文書管理システムを構築し、2019年4月より本格運用しています。公文書の電子化を推進して99.8%の電子決裁率(注)を達成し、ペーパーレス、決裁履歴等の証跡管理、迅速な意思決定を実現しました。決裁を含めた公文書管理の一連のプロセスをデジタル化することにより、事務処理状況の随時把握と分析が可能になり、起案時間は体感で文書管理システム導入前の約半分に短縮されました。文書管理システムを含むICT環境の整備により、いつでもどこでも決裁ができるようになり、ワークスタイル改革を加速化させています。
- 課題決裁文書の滞留、決裁者不在時・退庁時の決裁書類の管理に課題があった。新庁舎では書類の保管スペースが半減されることになっており、ペーパーレスは必須だった
- 効果電子決裁率99.8%を達成し、処理状況が可視化され、迅速な意思決定と決裁履歴の管理が可能になった。また、決裁原議(稟議書)と約8割の添付書類が電子化され、ペーパーレスでの決裁がなされるようになり、紙使用量が削減された
- 課題文書の検索に時間と手間がかかっていた。旧来の文書分類や歴史的文書の扱いについても見直しが必要だった
- 効果決裁文書が電子化され、検索、参照起票が容易になり、起案時間は体感上導入前の約半分に短縮された。文書分類の整理、歴史的文書を見直す取り組み等で、公文書がより適切に管理されるようになった
- 課題政府や区が推進するワークスタイル改革への対応が求められていた
- 効果区の業務全体が効率化され、自宅、出張先、サテライトオフィス等でも決裁が可能となり、多様な働き方の環境が整備された
背景
新庁舎およびペーパーレスや文書管理システムの導入に取り組まれた
経緯についてお聞かせください
渋谷区では2019年1月から、ユニバーサルデザインとオープンスペースを取り入れた「お客様が利用しやすくて職員も働きやすい」がコンセプトの新庁舎で業務を行っています。2015年の新庁舎の計画段階において、新庁舎においては文書管理システムを導入し、電子決裁を実施するという方向性が決定されました。その後、新庁舎のコンセプトや新しい働き方を検討するプロジェクトチームが発足し、そこでの検討もあり、迅速な意思決定とペーパーレスを実現し、働く場所が庁舎に限定されない職員の多様な働き方をサポートするためにも、文書管理システムを導入し、電子決裁を実施することが不可欠であるという結論に至りました。
各課に背の高いキャビネットがない見通しの良い開かれたオフィスとなった新庁舎には、プロジェクター付きの会議室や打ち合わせスペースが数多く設けられました。また、職員1人1台のタブレットPCの配布、無線LAN・文書管理システム等の導入により、ICT基盤が整いました。東京オリンピック・パラリンピックの期間の職員の勤務も視野に入れ、タブレットPC・ポケットWi-Fiを活用したテレワーク、在宅勤務の取り組みも推進しています。
最終的に富士通のシステムを選定された理由は何ですか
富士通の提案には、今までの導入実績を踏まえたコンサルティングサービスがありました。構築時の電子決裁の加速化についての具体的なアドバイス、稼働後の分析と改善のためのアドバイスなど、長期にわたってアドバイスをいただきながら運用できることが選定の大きな決め手となりました。また、デモンストレーションや説明を受ける中で、渋谷区が必要としている文書管理システムの機能が備わっていると感じたことも選定に至った理由でした。
導入時の工夫
システム化にあたり、工夫された点を教えてください
機能面だけではなく、運用面の検討に時間をかけたことです。運用面の検討では、まず、文書管理システムの適用範囲を定めました。次に、電子決裁を基本とするにあたり、添付書類をどこまで電子化するべきか、定形外文書や機密文書の取り扱いはどうするかなどの運用ルールを定めました。富士通からは、国の指針や他自治体様の事例などの情報提供を受け、運用ルールの策定にあたり参考にさせていただきました。また、富士通の協力を得て、運用ルールを簡略化してA3判1枚におさめた「電子化マップ」も作成しました。事前にトップダウンで「100%電子決裁」の方針が示されていたこと、そして、このような運用ルールを定めたことが、99.8%という高い電子決裁率を維持している要因と考えます。
導入はスケジュール通りにできましたか
文書管理システムの構築においては、パッケージ標準の公文書管理の流れが渋谷区の運用と概ね同じであったため、ほぼノンカスタマイズで短期間での運用準備が整いました。他事業者様の財務会計システムなどとの連携部分についてのみ、財務部門等の協力を得てカスタマイズしました。導入時の一番の懸念は、事務の媒体が紙から電子へ大きく変わることによる運用面の混乱でした。そのため文書管理システムの構築と並行して、早い段階から特別職を含む全職員を対象に、システム概要と運用方針を説明する会の実施を複数回重ね、紙ベースの事務が変わることを周知する取り組みを行いました。一般職を対象とした9回の説明会では、事前アンケートで寄せられた頻出課題への対応策を示し、職員の不安や各課固有の課題を解消することで、電子化への理解を求めました。こういった取り組みを経て、スケジュール通り、2019年2月より一部財務文書について先行運用し、2019年4月より全面運用しています。運用開始当初は、職員からの問い合わせが多くあり、苦労しましたが、1か月ほどで問い合わせは減り、今では1日に数件程度です。
文書を電子化するにあたり、新たに取り組まれたことはありますか
システム導入前は文書分類が体系的に作られていないという課題がありました。システム化に伴い、今回が従来の分類を見直す好機であると考え、他の自治体様の文書分類を参考に、階層構造の分類を再整備しました。この作業は大変でしたが、以前よりシンプルな分類となり、今では新しい文書分類で問題なく運用できています。
歴史的文書については、今まではその判断基準もなく、各課の判断で重要と思われるものを長期保存としていました。現在は、判断基準を定め、文書管理システムで管理できるようになりました。文書管理システムでは歴史的文書にフラグが立ち、明示されるため、誤って廃棄される心配もありません。昨年12月、「50年後には歴史的文書になる」と渋谷駅周辺整備の担当課とオリンピック・パラリンピックの担当課に改めて説明し、対象の洗い出しを依頼したところです。
導入効果
文書が電子化され電子決裁されるようになり、どのようなメリットがありましたか
紙の使用量は確実に減りました。今では、複合機は、コピーやプリントよりもスキャンのために使うことが多くなりました。
以前は、決裁者が会議や出張から戻ると未決裁箱に書類が溜まっていて、一つひとつ書類を確認しないとどれが至急の案件かが分からない状態でした。今では文書管理システムの決裁画面を開くと、自分が処理すべき文書の一覧が表示され、至急の案件が一目でわかります。机の上に書類を置かないので、セキュリティも向上しました。出張先、サテライトオフィス、自宅でも、電子で書類が添付されているものについては、問題なく決裁できています。
また、文書管理システムでは、検索機能が大変便利です。件名や起案理由で使用した用語による検索のほか、起案者名でも検索でき、起案理由や添付ファイルが閲覧できるので、よく利用しています。起案する際には、参照起票の機能が便利です。既に決裁を受けたものを参照して起票できるので、業務が効率化され、手戻り防止にも役立ちます。起案時間については、職員アンケートで、体感上ではありますが、文書管理システム導入前の約半分に短縮されたという結果が出ています。
電子決裁に関しては、システムで各書類の進捗が可視化され、どこまで決裁が終了したかが一目瞭然になったことが大きな効果です。以前は、起案者が書類を持って庁内を回ることや起案者からの書類の所在を尋ねる問い合わせが頻繁にありましたが、そうしたことがなくなりました。
稼働後初回の効果分析ヒアリングを実施されたと聞きました
IPKNOWLEDGEの「効果・分析」機能により、各所属の事務作業状況がグラフや数値で可視化され、紙で運用していたときには分からなかった傾向をつかむことができます。この分析結果を基に、本格導入から8か月ほどたった昨年12月、富士通立ち会いで、特定の処理件数が飛び抜けて多い課などを対象とした効果分析ヒアリングを実施し、改善のアドバイスを行いました。数か月後にあらためて分析し、数値をもとに改善されたかどうかを確認する機会を持つことも考えています。今後も、月に1回、富士通に効果の測定と利用状況の分析をしていただき、年に数回分析結果をもとにした庁内ヒアリングを実施する予定です。
今後の展開/富士通への期待
今後富士通に対してどのような期待をお持ちでしょうか
渋谷区では、添付文書も約8割が電子化されました。ただ、「添付文書が複数添付されている場合、一つひとつ開くと展開に時間がかかる」という決裁者の声(職員アンケート結果)を受け、複数の添付文書を1つのPDFにまとめる「PDFビューア機能」をシステムに追加登載することを決めました。今後もさらに事務効率を上げる新機能が開発されることを期待しています。
また、文書管理システムをより効果的に活用するための上級者向け研修会の実施、ワークスタイル改革をさらに推進するために必要な国の動向や他自治体の事例紹介など、今後ともこれまでと変わらない継続的で有効なサポートを期待しています。
渋谷区様 概要
所在地 | 東京都渋谷区宇田川町1番1号 |
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代表者 | 渋谷区長 長谷部 健 |
人口 | 229,671人(2020年1月1日) |
職員数 | 1,977人(2019年4月1日現在) |
ホームページ | https://www.city.shibuya.tokyo.jp/ |
渋谷区のご紹介 | 渋谷区は、基本構想に「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を掲げ、にぎわいを創出する魅力あるまちづくりや、ダイバーシティ&インクルージョンの推進等に取り組んでいます。2019年1月にオープンした新庁舎では、ICT基盤を整備した新たなオフィス環境で職員のワークスタイル改革を実現し、庁舎を訪れる皆さまへの一層のサービス向上を目指しています。さらには、職員のコミュニケーション環境の充実、文書管理システムの導入による意思決定の迅速化とペーパーレス化を推進するとともに、モバイルツールの活用によって、時間や場所にとらわれないワークスタイルを実現することで、行政としての機動力や業務の質を大きく向上させ、地域課題に迅速かつ的確に対応していきます。現在、渋谷駅周辺は100年に一度ともいわれる大規模な再開発が行われており、東京オリンピック・パラリンピックに向けてますます便利で活気のある街になります。
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[2020年5月20日掲載]
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