当初は、商談管理システムとして営業部門のみでSalesforceの利用を開始したが、基幹系システムのリプレースを契機に生産管理システムと「原価情報」や「見込/受注情報」などを連携し、日々の商談活動において「利益」の意識付けを行うことで、「損益予測精度の向上」だけでなく、「受注業務の効率化」や「製品の需要予測」などのシナジー効果も生み出した。
[ 2014年3月31日掲載 ]
「売上だけではなく利益まで含めた将来予測を、セールスフォース・ドットコムと基幹システムを双方向に連携させることで実現しました。 営業情報のインプットをセールスフォース・ドットコムに一元化することで情報の精度と鮮度が大幅に向上しました。」
株式会社メディアグローバルリンクス
営業本部GM 石川 浩治氏
1 | 外出の多い営業担当者との商談情報共有
(商談情報の鮮度アップ) |
クラウドの活用によって、時間や場所を問わずリアルタイムに商談情報を共有。 | 俊敏性 | |
2 | 予測情報の精度向上
(受注見込から損益予測への転換) |
基幹システムから原価情報を取り込み、商談毎の粗利率を自動計算。年度や四半期など時間軸で集計することで、損益予測に貢献。 | 利便性 | |
3 | 業務要件の変化に対する迅速な対応
(システムのセルフ改修) |
自社の事業環境の変化に合わせて、入力が必要な項目の追加やワークフローの仕組みなどの改修を、自ら実施することで迅速な対応を図れた。 | 柔軟性 |
左より:営業本部 小原氏、本郷氏
メディアグローバルリンクス様は放送事業用の映像伝送装置を設計・開発し販売するメーカーです。
その主力製品となるMD8000シリーズは、FIFAワールドカップやオリンピックなど、様々な国際イベントでの採用実績があり、今日も世界各国の放送インフラとして稼働し続けています。
Salesforceは2007年から利用しており、当時は営業部門内で、商談案件毎に受注予定金額や受注予定時期などを中心に管理していました。運用の定着化も進み、受注見込みは把握できるようになったのですが、これだけでは会社の会計年度を通じての予測をするための情報としては不足していました。
2010年に、生産システム、会計システムなどの基幹系システムをリプレースするにあたり、Salesforceを基幹システムと連携させることにより達成すべき、いくつかの目標を設定しました。
商談案件毎に損益を把握するために、受注予定金額と製造原価情報をもとに粗利計算を行います。この製造原価情報を生産システムから連携することで、計算精度を高めることが可能になります。
従来は人手を介してやりとりをしていた、受注情報入力~承認処理~関係部門へ連絡といった業務をSalesforceの差込印刷やワークフローを活用することで、転記入力を不要とし効率化が可能になります。
受注案件だけでなく、見込の商談情報を生産システムに連携することで、製造管理部門に対する鮮度の高い需要情報を共有することが可能になります。
まず、Salesforceと基幹システムとの連携は、粗結合レベル(データの主管理元を取決めた日次でのデータ連携)としました。例えば、受注情報や商談情報は営業部門が利用するSalesforce側が主幹元となり、取引先や品目、製造原価などの情報は基幹系システムが主管元にしました。これは、連携元/連携先の双方で更新したり、リアルタイムに近い連携を行うと、双方のシステムに様々な制約を課す必要がでてきてしまい、それぞれのシステムの良いところが活用しにくくなってしまうからです。
新規の取引先は、与信の判断が行われ、新規品目や製造原価の情報と共に基幹系システムからSalesforceに連携されます。日々の商談活動の結果は、受注や見込情報として、基幹系システムに連携されて生産のための需要情報として取り込まれます。
基幹系システムとデータ連携をする上で、コード体系の見直しという課題がありましたが、受注残データと合わせて、新旧変換情報を作成し、取引先や品目などのコード体系を一本化しました。
新しいシステムでは、営業部門がSalesforce上で商談の案件管理から受注承認までを行い、それを取り込んだ基幹系システム側で製造管理部門が発注(ファブレスなので実際の生産活動は協力工場が行います)から出荷、売上処理を行います。
左より:管理本部 川人氏、林氏
基幹系システムからの製造原価情報をもとに商談毎の粗利情報を明確にし、チェックとフィードバックを継続する事で、各営業担当者の「損益を意識した営業活動」が浸透してきました。また、年度や四半期、月度など時間軸での集計結果も手間を掛けずに共有できるようになったので、受注見込から損益予測への転換が図れてきました。
現在はセールスフォース・ドットコムの柔軟なカスタマイズ機能を最大限に生かし、各営業マンが自らのパフォーマンスを高めるためのツールとして活用できることを目指しています。
クラウドサービスの良さは、サービス自体が日々進化していく点にあります。
今後さらなるグローバル化とサービスの拡大を目指しているメディアグローバルリンクス様にとって、これからもセールスフォース・ドットコムは強力なツールであり続けると考えています。
所在地 | 神奈川県川崎市幸区堀川町580-16川崎テックセンター18階 |
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事業内容 | 放送系機器ならびに通信系機器の設計・開発、販売を主たる業務とする研究・開発型ファブレスの機器メーカ。放送と通信という異なる技術分野の顧客の要求に応える独自の先進技術と高い信頼性を持つ製品を提供。 |
ホームページ | 株式会社メディアグローバルリンクス ホームページ |
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