シモハナ物流株式会社様

中長期的な成長予測を含めてシステムの稼働状況を“見える化”し
将来的な拡張も見据えたシステム基盤としてHCIを導入

シモハナ物流株式会社様外観

シモハナ物流株式会社様は、広島を本拠に全国にネットワークを広げる物流会社です。「日々収支に根差した考える物流」を追求し、全拠点の収支管理を支援する基幹システムを構築していましたが、システムの老朽化とともに、事業規模の拡大に伴うユーザー数の増加により、レスポンスの低下が懸念されていました。そこで、将来的な成長も見据えて富士通のHCI「Fujitsu Integrated System PRIMEFLEX for VMware vSAN(以下、PRIMEFLEX)」を導入。将来にわたって確かなパフォーマンスを維持するとともに、データの有効活用による物流最適化にも取り組んでいます。

業種物流
ソリューション垂直統合型 仮想化基盤(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー:HCI)
Fujitsu Integrated System PRIMEFLEX for VMware vSAN
課題
効果
課題基幹システムの老朽化とユーザー数の増加による運用負荷の増加。
効果HCIによる基盤刷新に伴いパフォーマンス向上
課題将来的な成長シナリオに沿った継続的なリソースの確保
効果優れた拡張性と、インフラ運用管理ソフトウェアによる稼働状況の把握で、成長に応じて最適なリソースを維持
課題現行システムの利用状況の把握が困難なため必要なリソースを判断できない
効果「アセスメントサービス」により、現行システムの利用状況を分析・見える化し、最適なサイジングで導入
課題事業運営に不可欠なシステムのため短期間でのシステム更新が必須
効果仮想化基盤を自社工場で構築・設定した上で出荷する「スタートアップサービス」により短期間で導入

サービスレベルを下げることなく、むしろ向上させながら規模の拡大を実現するためには、システムによる業務の効率化が不可欠です。その中心を担う基幹システムの性能を高めるのはもちろん、将来の成長にも柔軟に対応できる基盤をHCIで実現できたことは、大きな意義があると評価しています。

常務取締役 管理本部長 兼 企画部長 藤田 弘 氏

シモハナ物流株式会社
常務取締役 管理本部長 兼 企画部長
藤田 弘 氏

導入の背景

全国ネットワークを活かした3PL物流サービスで「食品物流、日本No.1」を目指す

シモハナ物流株式会社様は、昭和6年(1931年)創業、昭和30年(1955年)設立という歴史ある物流企業です。創業の地である広島を皮切りに、関西、中京、四国・九州と地盤を広げ、2011年には首都圏にも進出。国内各地で培ってきた全国的な物流ネットワークを原動力に、「食品物流で日本No.1」を目指して成長を続けています。

「当社が提供するのは、単に荷物を運ぶだけの物流ではなく、3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)と呼ばれる物流サービスです」と語るのは、常務取締役として管理本部長と企画部長を兼務する藤田 弘 氏です。「3PLとは、効率的な物流計画の立案から在庫管理、仕分け、配送まで、物流に関わる一連の業務をトータルに請け負うサービスのこと。当社はこの3PLに早くから取り組み、食品業界をはじめとした企業の物流最適化をサポートすることで成長を果たしてきました」と藤田氏は同社の歩みを語ります。

将来的な規模拡大を踏まえ、安定稼働を維持できる仕組みが必要

同社は事業方針として「日々収支に根差した考える物流」を掲げており、2009年に全拠点の収支管理を支援する基幹システムを独自に構築しました。「5~6年おきのサーバ更改を計画し、2019年には2度目の更改時期を迎えましたが、今後の事業規模拡大に対応するためには、単なるシステム増強にとどまらず、抜本的な刷新が必要ではないかと考えました」と藤田氏は振り返ります。

「ハードウェアの老朽化に加え、既存システムで稼働していたOSのサポート終了への対応もありましたが、より深刻なのが負荷の増大によるパフォーマンスの低下でした。事業規模の拡大に加え、基幹システムの役割も広がったことで、ユーザー数やデータ量が急増。さらにグループ最適化に向けて、グループ各社も基幹システムを利用することになったため、システムの負荷はさらに増大していました。また、新たに策定した中長期事業計画では2025年までに売上高倍増を計画しており、これに対応するにはシステムのユーザー数が現状の564名から900名にまで拡大することが想定されました」(藤田氏)。

「検討を始めた時点では、日常的な処理に支障をきたすほどでなかったものの、今後の業務量の増加を考えれば、処理効率の向上が必要なのは明らかでした。こうした課題を踏まえ、将来的にも安定かつ効率的な稼働を保証できる基盤づくりが必要ではないかと考え、長年、システム面を支えてもらってきた富士通に相談したのです」(藤田氏)。

導入のポイント

将来的な成長を見据えた基幹システムとしてHCIを導入

「富士通とは長きにわたる付き合いなので、当社の業務やシステムに対する要望も詳しく理解してもらえているという信頼感がありました」と語るのは、システム更改の指揮を執った管理本部 企画部の大島 慎介 課長です。

「富士通との付き合いが始まったのは、リアルタイム運行管理システムを導入した2005年のこと。導入コストや運用負担を抑えるための提案をはじめ、導入後の安定した性能や密接なコミュニケーションにも感心させられました。そうした安心感があったため、2009年の基幹システム導入や今回の刷新にあたっても、富士通の提案を全面的に受け入れました」と大島氏は語ります。

同社の要請を受けて、富士通は中長期計画に基づく将来の事業規模予測や、各拠点からの要望などをきめ細かにヒアリング。それらをもとに課題を整理した結果、パフォーマンスの向上や、将来的なサーバ増強も含めた管理負荷・コストの低減に寄与するシステム基盤として提案されたのが、富士通のPRIMEFLEXでした。

将来予測も含めてシステム負荷を“見える化”し、最適なHCI構成を提案

PRIMEFLEXは、HCIの強みである「SDS(Software Defined Storage:ソフトウェア定義によるストレージ)」により、サーバのみのシンプルな仮想化基盤を実現します。このためパフォーマンスの向上はもちろん、運用管理の負荷低減や省スペース化、省電力化などのメリットがあり、加えて、サーバを増設するだけで柔軟かつスピーディーにリソースを拡充できます。HCIを構築するソフトウェア「VMware vSAN」は、この分野の先駆け的な存在として多数のベンダーに採用され、世界中に多くの実績を有しており、その信頼性が高く評価されています。

「将来的な企業成長を踏まえると、HCI導入はベストな選択と思えましたが、問題なのは、どの程度の規模で導入するかを見極めることでした」と大島氏は振り返ります。「既存システムはパフォーマンス低下が懸念されているとはいえ、稼働状況を正確に把握できてなく、現在、そして将来的に、どの程度のシステム規模が必要かの判断が困難でした。そこで、富士通が無償で提供する「アセスメントサービス」を実施し、既存システムのリソースの使用状況などを、中長期計画に基づく将来予測も含めて“見える化”してもらったのです。現状、そして将来的な事業規模の拡大に対応するために、どの程度の規模のシステムが必要か、分かりやすいレポートになっていて、社内決裁のための稟議書類としても役立ちました」(大島氏)。

シモハナ物流株式会社 管理本部 企画部 課長 大島 慎介 氏シモハナ物流株式会社
管理本部 企画部 課長
大島 慎介 氏

導入のプロセス

きめ細かな提案により納得感を持った導入へ

最終的な提案では、アセスメントサービスに基づく適切なシステム構成に加え、最新のOSをサポートすることでセキュリティリスクを回避でき、刷新への期待は高まったと言う。

「導入に先立ち、実際にサーバを管理するデータセンターを案内され、実機をもとに導入メリットを説明してもらいました。管理の容易さや拡張時の負担軽減などが具体的にイメージできるとともに、データセンターの堅牢性やセキュリティの万全さに感心し、BCP面でも安心できました。もともと富士通に任せるつもりでしたが、こうしたきめ細かな対応もあって、納得感を持って決裁を仰ぐことができました」と大島氏は富士通の対応を評価します。

適切な構成を短期間で導入構築、ネットワーク環境への繋ぎこみまでサポート

「導入に際しては、2020年1月の稼働開始に向けて、毎月の定例会議で報告を受けるだけで、実作業はすべて富士通にお任せでした」と大島氏は語ります。「もともと富士通製サーバには安心感を持っていましたが、そうした信頼性を支えているのが、設計から製造、構築まで、すべて自社対応できること。HCIの導入にあたっても、あらかじめ自社工場で仮想化基盤の構築・設定を行い出荷し、現地で複雑なネットワーク設定までを行う「スタートアップサービス」を適用され、納入先も当社内ではなく県内のデータセンターでしたので、こちらで準備することはほとんどありませんでした。作業の煩雑さが懸念された、当社内のネットワーク環境との接続についても、正確かつスピーディーに対応いただけ、結果として、予定通りに短期間での更新が実現できたことを高く評価しています」(大島氏)。

導入のメリットと今後の展開

管理ツールを活用して稼働状況を把握し、需要予測に基づく無駄のない拡張が可能に

「PRIMEFLEXによる新しい基幹システムは、現場のユーザーにストレスフリーな環境をもたらしています」と評価するのは、システムの運用管理を担う企画部の三浦 京子 氏です。「かつては単体の物理サーバ上で配車管理システムを利用していましたが、車両数の増加に伴い処理速度が遅くなっていました。今回、PRIMEFLEX上に配車管理システムを移行させたことで、各段に処理速度が速くなり、現場からも喜びの声が上がっています」。

また運用管理面では、インフラ運用管理ソフトウェア Fujitsu Software Infrastructure Manager for PRIMEFLEX(ISM)の使い勝手が高く評価されています。「システムの稼働状況などを容易に、かつリアルタイムで監視できるのはもちろん、HCI以外のIT機器も含めた統合管理が可能なのが嬉しいですね。また、稼働状況をきめ細かく把握し、そのデータをもとに増設に向けた検討を適切なタイミングで開始できるので、将来的な負荷増大にも安心です」と三浦氏は語ります。

シモハナ物流株式会社 企画部 三浦 京子 氏シモハナ物流株式会社
企画部
三浦 京子 氏

こうした現場の声を踏まえて、藤田取締役がPRIMEFLEXの導入成果を次のように評価します。「サービスレベルを下げることなく、むしろ向上させながら規模の拡大を実現するためには、システムによる業務の効率化が不可欠です。その中心を担う基幹システムの性能を高めるのはもちろん、将来の成長にも柔軟に対応できる基盤をHCIで実現できたことは、大きな意義があると評価しています。」

成長し続ける業界最先端企業として、DXに向けたシステム構想

「デジタル技術の活用によってビジネスモデルを改善し、お客様に提供する価値を高めるDX(デジタル・トランスフォーメーション)が注目されるなか、当社も基幹システムに収集・蓄積されたデータを有効活用して、物流サービスのさらなる価値向上を図っています。今回のHCIによるシステム更改は、そのための基盤づくりという側面もあり、効率改善だけで満足することなく、幅広い視点からデータ活用に取り組んでいきたい」と、大島氏は今後の戦略を語ります。

「システム更改と並行して、配送先のカギ管理システムの構築など、富士通には様々な視点からシステムの高度利用をサポートいただいていますが、今後もDX企業として蓄積したノウハウや先進の知見を活かして、さらなる提案に期待しています」(大島氏)。

システム概要図システム概要図

シモハナ物流株式会社様 概要

所在地広島県安芸郡坂町横浜中央1丁目6-30-4F
代表者代表取締役社長 下花 実
設立昭和30年(1955年)2月
従業員数6,243名(令和2年4月 パート・アルバイト含む)
事業内容一般貨物自動車運送事業、特別積合せ貨物運送、倉庫業、冷蔵倉庫業、3PLトータル物流サービス(専用、汎用)、(物流情報システム構築、在庫管理、受発注管理、商品流通加工、物流センター運営、配送管理、包括的物流業務受託)機密文書保管サービス、産業廃棄物輸送
ホームページhttps://shimohana.com/

[ 2020年9月掲載 ]

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