協業事例インタビュー
株式会社xenodata lab.
富士通アクセラレータプログラムでの共創の取り組みを、座談会形式でご紹介します。今回は、経済の未来をスコアで評価するSaaS型AIサービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」を開発した、「株式会社xenodata lab.」さんです。
株式会社 xenodata lab.(以下、ゼノデータ・ラボ)は経済の未来をスコアで評価するSaaS型AIサービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」を開発し、FUJITSU ACCELERATOR第8期に参加しました。その最終的な狙いは富士通のクライアントに共同でxenoBrainを提供し、富士通及びゼノデータ・ラボのビジネスを拡大することです。その第一歩として、富士通社内でのxenoBrainの普及に邁進しました。
ゼノデータ・ラボはなぜFUJITSU ACCELERATORを選んだのか。社内にサービスを普及させることとなったきっかけと成果は。ゼノデータの木庭氏と、富士通の高橋氏・岡崎氏・松尾氏に伺いました。
※本インタビューはオンラインにて行いました。
まずは富士通社内でのサービス周知を目標に
まずはゼノデータ・ラボの事業について教えて下さい。
ゼノデータ・ラボ 木庭氏(以下、木庭)
ゼノデータ・ラボが提供する「xenoBrain(ゼノブレイン)」は、AIが経済ニュースや決算情報を自然言語処理技術で解析し、経済事象と経済事象の間の関連性を読み解くことで経済・企業の将来予測をリアルタイムで提供するSaaS型AIサービスです。
今日起きたニュースから、次に起こる経済事象、将来的に影響を受ける企業をAIが瞬時に予測することで、事業会社の経営意思決定のサポート、金融機関の業務効率化を実現しています。ニュースや上場企業の開示資料、未上場企業の信用調査レポート等をインプット情報として定性情報の解析をし、過去のデータから因果関係を大量に抽出しています。
インプット情報はどうやって仕入れているのですか?
木庭
いくつかの会社と提携して実現しています。ダウ・ジョーンズ社とは業務提携して国内外160の日本語メディアを解析し、帝国データバンク社とは資本業務提携をして、40万社分の信用調査情報を解析。上場企業の開示情報も参考にしています。
ゼノデータ・ラボと富士通の出会いと、ゼノデータ・ラボの印象について教えて下さい。
富士通 松尾(以下、松尾)
共通の知人からのゼノデータ・ラボ社を紹介いただいて、そのご縁でFUJITSU ACCELERATORにご参加いただきました。実際に会ってサービスの話を伺うと「これは富士通の課題を解決する糸口になるかもしれない」と感じました。
というのも、岡崎や当方の部署は経営戦略に関わる仕事を扱っており、その際に企業や外部環境の分析は必須なんです。しかしながら、その際の情報収集が非効率だし、属人化している部分がありました。
そこで、xenoBrainを社内に取り入れられれば、富士通の業務の効率化に繋がると考えたのです。それが成功すれば、富士通が販売するシステムの中にxenoBrainを取り入れることで、お客様にも使っていただけるなと考えました。
木庭
そこで、FUJITSU ACCELERATORでは、まずは富士通社内の幅広い部署に使っていただくことを目標に据えて取り組みました。
xenoBrainの価値は分析のスピードと、人間にはない視点
富士通社内ではどんな部署がxenoBrainを利用したのでしょうか。
富士通・高橋(以下、高橋)
私はデジタルシステムプラットフォーム本部といって、富士通全グループ、グローバル全グループの社内システムを企画・開発・運営している部門に所属しています。社内でxenoBrainを使いたいとのことでしたので、まずは私達に声がかかりました。
当部門では、社内の色々な部門から「お客様からこういう相談が来ているのだが、いい例はないか」とリクエストをもらうのですが、その内容としては情報収集に関することも多いのです。そのため当部門としても、xenoBrainには興味がありました。社内でxenoBrainにマッチしそうな調査や市況等が関係する部署、具体的には購買部門や、経営戦略を扱う秘書室に声をかけました。
富士通・岡崎(以下、岡崎)
それで私が所属するCEO室に話が回ってきて、実際にxenoBrainを使ってみました。使ってみて面白かったのは、xenoBrainはデータベースのツールではなくて分析のツールなので、予想どおりの答えが出ないところです。ある単語で検索をかけるとニュースの一覧が出ますが、それに加えてニュースを分析した結果も一緒に出てくるんですよね。
人間ではなくAIが分析を実施しているので、視点が今までと違ったり、分析結果が視覚的にわかりやすい図表になって出てきたりします。時には予想外のことも出てくる分析ツールという点は、データベースと違って面白いところですね。
そして驚くべきはそのスピード。例えばxenoBrainには決算分析する機能があるのですが、他社の決算が出たら、その数分後にはAIが分析を終えています。分析結果をダウンロードすれば、それを統一フォーマットですぐに報告できる点も非常に便利。キーワードがハイライトしてあったりするところも、かゆいところに手が届いている感じがします。分析内容も人間の分析では気付かないところに言及するなど、かなり効果的でした。
木庭
決算分析機能については2017年から提供している機能で、ゼノデータ・ラボのお客様の中でも使われる方が多い機能です。他方で、今言及していただいたニュース分析機能を使った将来情報は2019年からご提供している新しい機能なのですが、こちらにも価値を見出していただいているのは嬉しいですね。
xenoBrain普及のための次の課題
xenoBrainを社内で使っていただくのに、大変なことはありましたか?
木庭
富士通様のような大企業でよくあることですが、高橋様を中心に行っていただいた富士通様社内の調整を進めていただくことが最も苦労した点でした。
高橋
そうですね、社内調整は大変でした。そもそも富士通は、システムを作っている会社で、そこに「スタートアップのサービスを使ってみてくれ」と言うわけです。私も含め、最初に話を聞いたときに訝しげだった方は少なからずいました。しかしいざxenoBrainを使ってみると、ものすごくハイレベルなシステムだということがすぐにわかります。xenoBrainを使った現場からは、デザインがキレイ、オペレーションがスムーズといった感想が出てきていました。
xenoBrainは他の部署でも使う可能性はありそうですか?
高橋
当部門では新しい使い方を試みています。富士通の経営層が使う社内システムがあるのですが、そのダッシュボードにxenoBrainを上手く組み込めないかと考えているんです。ダッシュボードに分析のツールを組み合わせて、より高度化しようということですね。
岡崎
広範な部署で使うためにクリアしなければいけない課題があって、「なぜそうなったのか」がより一層わかりやすくならなくてはなりません。xenoBrainを使えば調査実務者は非常に綺麗なアウトプットをすぐに作れるのですが、上司に「xenoBrainがこう言っていました」と報告はできない。一定の納得感のある「なぜこうなったのか」が説明できる観点が必要なので、その点はFUJITSU ACCELERATORの中でも木庭さんと相談しているところです。
木庭さんはFUJITSU ACCELERATOR内で課題に感じたことはありますか?
木庭
高橋さんからご説明いただいた通り、富士通社内の様々な部署で使っていただいており、中には役員の方に直接xenoBrainのご説明差し上げたこともありました。その裏返しなのですが、次のステップに進むまでのリードタイムが長くなってしまうこともありました。
とは言っても、高橋さんや岡崎さんにご調整いただいた甲斐もあって、皆さんと積極的に意見交換させていただき、その点は非常に好印象です。強いて言うなら、色んな方とお話しさせていただいたので、もっと多様なフィードバックをいただけたら嬉しいなと思いました!
松尾
xenoBrainを社内で継続して使って、富士通社員の標準的なサービスにはしたいと考えています。またいずれは富士通のシステムと共にxenoBrainを外販し、ビジネスの拡大も狙っています。木庭さん、引き続きよろしくお願いします。
木庭
こちらこそよろしくお願いします。
(執筆:pilot boat 納富 隼平)
株式会社xenodata lab.
ゼノデータ・ラボが提供するxenoBrainは、AIが経済ニュースや決算情報を自然言語処理技術で解析し、経済事象と経済事象の間の関連性を読み解く事で経済・企業の将来予測をリアルタイムで提供するSaaS型AIサービス。今日起きたニュースから、次に起こる経済事象、将来的に影響を受ける企業をAIが瞬時に予測することで、事業会社の経営意思決定のサポート、金融機関の業務効率化を促進する。
〒150-0046 東京都渋谷区松濤1丁目28−6 VORT渋谷松濤レジデンス 1001
URL:https://www.xenodata-lab.com/
営業開発本部長 Chief Revenue Officer 木庭 一憲 氏
熊本県出身。野村證券投資銀行部門にて国内外のIPO・M&Aアドバイザリー業務を経験した後、2018年にxenodata lab.入社。オフィスの縮小移転を機に渋谷から千葉・外房に移住しテレワーク中心の日々。趣味はキャンプ、キックボクシング、登山、サーフィン、海外放浪。
協業担当者
富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 デジタルトランスフォーメーション室 シニアマネージャー 高橋 勉 氏
富士通株式会社 CEO室 岡崎 義弘 氏
「AIPE認定知的財産アナリスト」としての経験を活かして、幅広い内容の情報調査・分析業務に従事している。LegalTechを中心として、先端技術を活用したツールでの業務変革推進に興味。趣味は音楽制作で、最近はオンラインワークショップ等で楽曲を活用することも。
Strategic Growth & Investment
FUJITSU ACCELERATOR(Startup Alliance)事業開発担当 松尾 圭祐 氏
サーバーのマーケティング業務を担当し国内トップシェア獲得に貢献。
その後、商品戦略の企画部門に異動を通じて、スタートアップ協業を推進する「FUJITSU ACCELERATOR」の立ち上げに参画し、現在ではスタートアップとの協業による新規事業開発を担当。
富士通アクセラレーター公式SNSアカウント
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