協業事例インタビュー

AI診療 × 富士通の電子カルテで、
40兆円の医療に挑戦する

2021年6月11日に開催された富士通アクセラレーター第9期DemoDay。イベント参加者アンケートにおいて、「関心のあるスタートアップ」として最も多くの票を獲得したのが株式会社プレシジョン(以下「プレシジョン」)です。同社は医療にAIをかけ合わせたAI問診や、デジタルの医療教科書を制作しています。

一方、富士通Japan株式会社ヘルスケアソリューション開発本部は電子カルテを開発し、大病院を中心に導入を進めています。両者のサービスを組み合わせることで、医療の質と生産性の向上が図れることは、日の目を見るより明らか。そこで両者の力を合わせるべく、プレシジョンとヘルスケアソリューション開発本部は集いました。プレシジョン代表取締役の佐藤寿彦氏に、富士通アクセラレーターとの取り組みについて伺います。

株式会社プレシジョンのメンバー(写真左端がプレシジョン代表取締役 佐藤 寿彦 氏)

デジタルの教科書と問診票で、医療の貢献

——まずはプレシジョンのサービスについて教えてください。

株式会社プレシジョン 佐藤氏(以下、佐藤)

プレシジョンは「今日(こんにち)の問診票」「次世代診療マニュアル」といった、医療×AIの分野を扱っている会社です。私自身が現役の医師で、その経験を活かしながらサービスを開発しています。

これはアメリカのデータですが、医療エラーは心疾患・悪性腫瘍に次ぐ3番目の死亡要因です。また日本では、診療支援、つまり医療教科書を上手く使えれば診断エラーは24%から2%に低下するとも言われています。じゃあ教科書を使えばいいじゃないか、と思いますが、医療の現場では過去の蓄積に加えて、毎年大量の論文が発表されており、それらを全て追いかけるのは不可能です。

そこでプレシジョンは、デジタルの医学教科書とAI問診票によって医師をサポートしています。

株式会社プレシジョンが提供する主な医療系サービス

——教科書や問診票を作成している会社は他にもあると思いますが、プレシジョンの強みはどんなところでしょうか。

佐藤

まずは教科書の制作に、著名な先生方2,000名が参加している点です。先生方に教科書を書いていただき、それを基にした臨床チェックリストも作っています。

プレシジョン社が医学教科書の制作に使った資料

佐藤

またAI問診票は、カルテの下書きができるシステムです。患者さんがスマホやタブレットで、年齢や性別、症状、症状の出た時期、アレルギーや既往歴などを回答。そうすると医師の下にはカルテの下書きができていて、気をつけなければならない症状などについて、先述の教科書をすぐに参考できるようになっています。今までは医師が患者さんに印刷室で症状を聞き、カルテに記載していましたが、この時間を削減できます。聞き忘れなども無くなりますし、患者さんが待っている時間を有効活用できるようになりました。

これによって診療の質も上がるし、患者さんに向き合う時間も増加します。実際にこのAI診療で、17年苦しんだ病気が1週間の治療で治癒できたという事例もあるんです。

プレシジョン社の提供するAI問診票(サンプル画面)

佐藤

プレシジョンのシステムは既に、大学病院の半数以上が導入。医療に必須のシステムになっていると自負しています。

富士通の電子カルテにAI医療を組み合わせる

——そんな中、プレシジョンが富士通アクセラレーターに申し込んだ理由を教えてください。

佐藤

医療はGDPの10%に相当する約40兆円という巨大な市場です。その中で富士通の電子カルテは、その使い勝手の良さから、大病院でシェア52%と圧倒的な実績を誇っています。ここにAI診療のシステムを組み合わせられれば、富士通にとっても電子カルテの付加価値が上がりますし、プレシジョンのサービスも医療の現場に早く導入してもらえる。その結果、医療の現場の質と生産性が向上すると考えました。

実は私は、富士通とは前職のときからお付き合いがありまして、プレシジョンを立ち上げる以前から、富士通の電子カルテに電子教科書やAI診療システムを組み合わせたいと考えていたんです。アクセラレータープログラムというご縁があって、今回一緒に取り組めることになりました。

——富士通アクセラレーターに採択され、富士通と一緒にサービス開発することになりました。実際の取り組みはいかがでしたか。想定外なこともあったかと思います。

佐藤

富士通アクセラレーターに採択された時期はコロナ禍だったのですが、それ以外には、実はそれほど大変なことはなかったんです。富士通アクセラレーターの方々には暖かく見守っていただいていると感じています。

今回のアクセラレーター・プログラムでは、富士通・名古屋医療センター・プレシジョンの3社で実施したのですが、取り組みの際には「プレスファースト」という手段を用いました。この手法は、先に「この事業が成功したらどうなるか」という架空のプレスリリースを書いてしまうという、Amazonのジェフ・ベゾスが用いた手法。今回の協業では実際に架空のプレスリリースを5つ作って、その内の1つを進めることになりました。富士通という大企業では見慣れない方式だったかと思いますが、躊躇うことなく一緒に取り組んでいただけたて良かったです。

2つのサービスを組み合わせるわけですから協業はもちろん大変だったのですが、それ以上に私にはデモデイでのピッチが大変でした(笑)。目線をどうするとか、ライトをどうするとか、基本的なところをもっと頑張れたかと反省しています(笑)。

——最後に、富士通アクセラレーターへ参加を検討しているスタートアップへメッセージをお願いします。

佐藤

まず、スタートアップと富士通のような大企業では、得意分野が異なります。スタートアップは細かいコンテンツや足の軽さが強みで、富士通は堅牢性や大規模なシステム開発などが得意分野。まずはそれを意識することが重要かと思います。その役割があった上で、顧客の視点に立ち、どういうサービスを作っていくのかというビジョンが重要です。世界観を提示するのもスタートアップの役割かと思います。

私がそうでしたが、この計画を立てるところが、もしかしたら最も楽しいところかもしれません。あとはそのサービス設計が面白いものであれば、富士通側は暖かく迎え入れてくれるはずです。安心して申し込んでみてください。

(執筆:pilot boat 納富 隼平)

株式会社プレシジョン

株式会社プレシジョンは国内初のAIを用いた本格診療支援システムの開発、提供行う企業です。「記憶に頼らない医療を、すべての医療従事者に」というビジョンのもと、2000名の著名医師による次世代診療マニュアル 「Current Decision Support」や、診療録作成から教科書検索までをサポートをする電子問診票など、タブレット入力やお薬手帳をOCRでデータ化する事で、初診カルテ作成にかかる時間を1/3に削減しています。

佐藤 寿彦 氏

1975年生まれ。群馬県出身。2006年千葉大学医学部卒業。横須賀米海軍病院、医療系コンサルティングファーム・メディヴァ、医学系出版社エルゼビア・ジャパンなどを経て、16年にプレシジョン創業。人工知能(AI)の研究者でもあり、同社のAIアドバイザーを務める東京大学の松尾豊研究室と共同研究を行っている。

<協業担当者>
富士通Japan株式会社 ヘルスケアソリューション開発本部

デジタルヘルスケアソリューション統括部 オンラインヘルスケア開発室 井上 貴宏 氏

E-mail:inoue.takahiro@fujitsu.com
URL:https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/healthcare/
Tel:0120-835-554

富士通との共創活動にご興味がある方へ

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株式会社プレシジョン

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