協業事例インタビュー
株式会社PFU
富士通アクセラレータプログラムでの共創の取り組みを、座談会形式でご紹介します。今回は、イメージスキャナーを主力とする、富士通のグループ会社です。なぜPFUはこのタイミングでFUJITSU ACCELERATORへの参加を決めたのか。スタートアップとはどんな価値を生み出したいのか。株式会社PFU 事業戦略室 戦略推進部の皆さんにお話を聞きました。
スタートアップと富士通がタッグを組み、新たな価値を創造するアクセラレーションプログラム「FUJITSU ACCELERATOR」。実は協業検討責任者の約3割は富士通のグループ会社から参加しています。
FUJITSU ACCELERATOR第8期からは、株式会社PFU(以下、PFU)がプログラムに参画。同社はイメージスキャナーを主力とする、富士通のグループ会社です。なぜPFUはこのタイミングでFUJITSU ACCELERATORへの参加を決めたのか。スタートアップとはどんな価値を生み出したいのか。株式会社PFU 事業戦略室 戦略推進部の皆さんにお話を聞きました。
ものづくりの会社を変革させるために
株式会社PFU 石原氏(以下、石原)
PFUは、もともとハードウェアメーカーです。ミニコンやオフコンに始まり、プリンタやネットワーク機器といった周辺機器や組込みPC、情報Kiosk端末などを開発、製造、販売してきました。その中でも、「fiスキャナー」や「ScanSnap」といったスキャナー製品が、主力製品のひとつに位置付けられています。その他にも総合的にお客様に価値を提供するためにソリューション・サービスやインフラ・保守サービスの提供にも取り組んでいます。
ただ世の中がどんどんデジタル化していく中で、スキャナーを主力とする事業構造では、将来的に厳しくなるだろうという危機感を感じています。そんな背景もあって、新規事業の創出を積極的に推進していく機能として設立した部門のひとつが私たち事業戦略室 戦略推進部となります。
株式会社PFU 瀬戸氏(以下、瀬戸)
オープンイノベーションという意味だと、実はPFUは既に色々な取り組みを開始していて、PFUジャーナルの中で発信しています。ユニークなところでは、ものづくりに励む会社員で構成される「はっきんぐパパ」というチームが発案した「ぶうびんポスト」プロジェクトを支援しています。これは子供が使うブタ型のポストで、手紙を口に入れて鼻のボタンを押すと、ブタが手紙を食べてパパやママにLINEで手紙を届けてくれるというサービスです。ブタ型のダンボール箱の中にはスキャナーが内蔵されていて、このスキャナーの導入をPFUで支援しました。
株式会社PFU 大岡氏(以下、大岡)
新規事業を担う事業戦略室の設置や、オープンイノベーションの流れがある中、PFUとしてもっとこの動きを加速させて新しいことをやっていきたいと思っていたところに、FUJITSU ACCELERATORの話が耳に入ってきたのです。
FUJITSU ACCELERATORをアクションのきっかけに
石原
富士通がスタートアップとオープンイノベーションに取り組んでいるというので役員と話を聞いてみたら、とても興味深い取り組みだと感じました。FUJITSU ACCELERATOR事務局の方が熱意ある方で、具体的に「PFUにはこんな会社や技術が合うのではないか」と何社かスタートアップを提示してくれて、それが事業シナジーが期待できる内容でした。それでPFUとしても第8期からFUJITSU ACCELERATORに参加しようということになりました。
瀬戸
まずは当然、PFUのビジネスに直接繋がるような技術やアイディアを持ったスタートアップに興味があります。ただ中には、数年先を見据えた技術を開発しているスタートアップもいると思うので、提案いただいた内容を確認しながら、スタートアップとの対話を通じて、ビジネスの可能性を見出せたらなと思っています。
大岡
もちろんPFUとしても、当然普段から自分たちのビジネス周りについては調査しているので、「このビジネスは全く考えたこともなかった」ということは少ないです。ただ「考えていたけど行動に移す機会がなかった」ということは間々あるので、FUJITSU ACCELERATOR参加を機に、アクションに繋げていきたいですね。
石原
FUJITSU ACCELERATOR第8期の応募内容を見ると、今回はやはりAI関連のスタートアップが目立つと感じました。また、中には昔からキーワードとして挙がっていた技術を開発しているスタートアップもいました。それが近年でどのくらい技術革新が進んでいるかというのは、非常に興味があります。もしかしたらまだブレークスルーしていない可能性もあるし、見事に進化しているかもしれない。そこは実際にピッチを聞いてみて確認できればと思っています。
長期的な関係だからこそ価値を生み出せる
石原
これからピッチコンテストなので今後のことはまだわかりませんが、スタートアップとは中長期的に関係を築く必要があると思っています。というのもある会社をM&Aした大手企業の方から、こんなお話を伺ったことがあるんです。
その会社は戦略的にある分野に注目していて、その分野のスタートアップとまだ小さなころから長くお付き合いしていたそうです。長期的に付き合っているから、その会社が成長する様をじっくりと見ていられた。でも、成長段階でその会社を訪れた人たちは、会社の外面だけを見て判断し、手を引いてしまうそうです。でも昔から知っている人からすれば外面で判断することはない。結果的にその大手企業は、その会社を買収することに成功。この会社の成長性を見抜いていたのです。
スタートアップとのお付き合いも一緒だと考えています。FUJITSU ACCELERATORへの参加が長期的にスタートアップと本気でお付き合いするきっかけになれば嬉しいですね。
瀬戸
FUJITSU ACCELERATORが、新規事業だけでなく他の事業にも波及するといいなと感じています。私は現在新規事業を担当しているのですが、スタートアップと比べると、どうしても私達とはスピード感に差があるように思います。自分たちは急いでいるつもりだけど、スタートアップはもっと早い。スタートアップから学び、オープンイノベーションだけではなく、PFUの事業も加速させていくきっかけにしたいですね。
富士通グループの総力を挙げて運営しているFUJITSU ACCELERATOR。興味があるスタートアップの方々は、詳細をぜひこちらからチェックしてください。
(執筆:pilot boat 納富 隼平 撮影:pilot boat 納富 隼平/齋藤 顕)
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