協業事例インタビュー

コガソフトウェア株式会社

富士通アクセラレータプログラムでの共創の取り組みを、座談会形式でご紹介します。今回は、FUJITSU ACCELERATOR第6期に採択され、富士通との協業を実現した「コガソフトウェア株式会社」さんです。代表取締役の古賀詳二氏と、富士通でモビリティを担当する金載烈氏に、両社の取り組みについて伺いました。

コガソフトウェアはFUJITSU ACCELERATOR第6期に採択され、富士通との協業を実現。代表取締役の古賀詳二氏と、富士通でモビリティを担当する金載烈氏に、両社の取り組みについて伺いました。

FUJITSU ACCELERATORをきっかけにモビリティ事業を加速させる

コガソフトウェア株式会社 代表取締役 古賀 詳二 氏

コガソフトウェアがFUJITSU ACCELERATORに参加することになったきっかけを教えて下さい。

コガソフトウェア株式会社 古賀氏(以下、古賀)

後にFUJITSU ACCELERATORの担当となる金さんが、大学院にいらっしゃったときの指導教官と私がもともと知り合いで、その研究室はオンデマンド交通を研究テーマとしていました。高齢化・過疎化の進展に伴い、バスやタクシーといった既存の交通手段が維持できなくなり、高齢者をはじめとする移動難民が加速的に増えていく。深刻な社会課題への一つの解決策がオンデマンド交通です。弊社はソフトウェア開発を通じて社会の発展に貢献したいという企業理念を掲げており、今まで交通系のシステムを手がけたことはなかったのですが、研究開発に協力させていただきました。

オンデマンド交通サービス自体は大手も含め複数のシステム会社がアルゴリズムを開発し、社会的インパクトに対する研究も昔から行われています。ただ、研究や実証実験の域を抜けて社会実装や実ビジネスになっている事例は、今現在においてもほとんどありません。オンデマンド交通のニーズや仕様は地域によってバラバラですが、弊社は2012年から「孝行デマンドバス」システムを運営しており、いくつもの厳しい検証を乗り越えてきました。

富士通 金(以下、金)

古賀さんがおっしゃったように、私は大学院時代からオンデマンド交通やモビリティが研究テーマでした。複数の地域で実際に運行計画を立てたり調査分析を行ったりしていて、コガソフトウェアのシステムも理解していました。2013年には、コガソフトウェアと韓国でも実証実験を行い、かなり高い乗合率でシステムの有効性が評価されています。

富士通に入社後もモビリティを担当し、MaaSやオンデマンド交通のサービス化を企画している中で、コガソフトウェアとも意見交換を重ねていました。そんなときにFUJITSU ACCELERATORが始まったんです。

ちょうど社内でもオンデマンド交通サービスの社会的重要性に対する理解が進み、事業化を加速させたいなと思っていた頃で、そのためにもっと関係者を巻き込み、ビジネスを成功させるためのリソースが欲しいと考えていました。FUJITSU ACCELERATORの話を社内で聞いたときに、「これは使える」と感じて、古賀さんに相談をもちかけたんです。

富士通株式会社 環境学博士 金 載烈氏

古賀

富士通は、社会課題解決のソリューションとしてモビリティに取り組んでおり、その思いは弊社と一致。一緒に事業に取り組む価値があるなと感じました。そのうえで、FUJITSU ACCELERATORを通じて、事業化に際しての座組や社会におけるニーズを確認しましょうということになったんです。

コガソフトウェアが参加した第6期から、デザイン関連の支援もすることになって、グループ会社の富士通デザインがFUJITSU ACCELERATORに参画しています。コガソフトウェアとはワークショップなどを通して、UI/UXの観点からサービスの利便性や改善点、どういうスローガンが市場に響くのかなどを客観的に検証しました。コガソフトウェアがシステム提供をしている地域にも訪問して、自治体の職員さんや運行事業者さん、実際の利用者さんへのヒアリングも行い、第三者目線からサービスのありかたも整理しています。

ベンチャーと大企業がタッグを組んで、ブルーオーシャンに取り組む

FUJITSU ACCELERATORの改善点があれば教えて下さい。ベンチャー企業と大企業が手を取るのは、価値観やスピード感の観点から難しいと言われていますが、両社ではいかがでしたか?

古賀

FUJITSU ACCELERATORに関しては、難しいことはほとんどなかったですが、大企業とベンチャーの温度差はありますね。やはりターゲットとする市場規模が大きくなるので、信頼性やスケーラビリティなど、気にされる要素が多いかなと思います。

世の中のサービスの多くは国内外で先行事例があるので説明しやすいのですが、オンデマンド交通やライドシェアに関しては規制が多く、まだサービスの概念が確立していません。とはいっても概念がないということは、裏を返せばブルーオーシャンの市場が待っているということです。誰もやったことがないというのはチャンスでもある。

とは言えFUJITSU ACCELERATORという仕組みが、オンデマンド交通を富士通全体に理解いただくきっかけになったのはよかったですね。

公共交通で難しいのは、失敗できないということです。鉄道やガスが止まったら困るように、オンデマンド交通も一度導入されたら簡単に止めることはできません。

古賀

コガソフトウェアとしてはオンデマンド交通サービスを、単に実証実験をして終わりにするつもりは毛頭ありません。そうすると体力が必要になってくるので、そういう意味でも富士通と一緒になって取り組むという意義は大きいですね。

「移動制約ゼロ社会」へ向けて

FUJITSU ACCELERATORは終わりましたが、両社の取り組みは今後も続いていきます。今後の展開について教えて下さい。

自治体単独への導入だけでなく、富士通の強みである自動車OEM様や販売店様などのパートナーを巻き込んで、新しいビジネスモデル作りや、医療MaaSなど他システムとの連携をにらんでいます。パートナー展開の第一歩として、第一交通産業様と協業させていただき、石川県加賀市で乗り合いタクシーの運行をはじめました。

古賀

FUJITSU ACCELERATORのワークショップの中で「移動制約ゼロ社会をつくろう」というキーワードを決めました。例えば富士通は電子カルテで日本一のシェアをもっていますが、診察予定とオンデマンド交通を連携すると、診察が終わったらすぐに送迎車が来るという環境を提供できます。医療サービスと交通サービスを一体的に提供することで、移動に制約を感じなくなるということです。誰もが外出しやすくなり、お年寄りも町も元気になる。そういう社会の実現を一緒に目指したいと思います。

今後も、医療を始めとして、富士通のモビリティに関するノウハウおよび他業種ビジネスとコラボレーションし、コガソフトウェアの地域ノウハウなどを掛け合わせ、お互いの強みを活かしていきたいと思います。

(執筆・撮影:pilot boat 納富 隼平)

コガソフトウェア株式会社

コガソフトウェアは、「ITで日本を元気にする」という考えの基、システム開発を行っている会社です。ソフトウェア開発・インフラ構築を中心に、お客様の抱える問題をICTで解決し、自社サービスであるモビリティ事業・ヘルスケア事業で健康寿命の延伸に力を注いでいます。

〒110-0005 東京都台東区上野1-17-6 広小路ビル3階・4階
電話:03-6803-2370
URL:https://www.kogasoftware.com/ 新しいウィンドウで表示

代表取締役 古賀 詳二 氏

昭和30年長崎県生まれ、昭和54年大分大学工学部組織工学科卒業。国内外の大規模システム開発プロジェクトを多数経験後、平成12年にコガソフトウェアを設立。人間が好き、ソフトウェア開発という仕事が好き、そんな社員と一緒に人格と技術を切磋琢磨していきたいと思っています。

協業担当者

富士通株式会社 環境学博士 金 載烈

韓国生まれ。大学では、都市計画⋅交通計画を専攻。大学院からデマンド交通の研究に取り組み、デマンド交通の導入設計をテーマに博士号を取得。富士通入社後は、モビリティ分野におけるシェアリングサービスの企画・開発に従事。現在はオンデマンド交通サービスの開発を担当。

本件に関するお問い合わせ

富士通アクセラレーター事務局

ページの先頭へ