トランジスタ式小型コンピュータUSAC-3010、コンピュータの本格導入期を代表する中型機FACOM 230-25システム一式、16ビットマイクロコンピュータの学習キットPANAFACOM Lkit-16が、第三回情報処理技術遺産に認定

2011年4月4日

3回目を迎えた情報処理技術遺産認定制度認定式

2011年3月2日、今年度で3回目を迎える「情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定式」が、東京工業大学大岡山キャンパスにおいて執り行われました。この日、東京は厳しい冷え込みとなりましたが、多くの関係者が集い、会場はあたたかい雰囲気に包まれました。

情報処理学会の情報処理技術遺産認定制度は、わが国コンピュータ発展史上の重要な研究開発成果、製品などの保存努力に敬意を表し、今後の継続的保存を願い、これらが広く社会に知られることを期待し、2008年度に始まったものです。また分散コンピュータ博物館とは、コンピュータに関する貴重な資料を収集、展示している各組織・施設の努力に感謝すると共に、より多くの方々にその存在を知らせ、利用していただくよう、それらを情報処理学会として認定していく制度です。弊社の技術としては第一回において、わが国初のリレー式計算機「FACOM128B」(1958年製造)が、また第二回において、1964年当時画期的な新型磁気装置として発表された「FACOM603F磁気テープ装置」と、1980年5月に発表された「OASYS100および親指シフトキーボード試作機」が認定を受けています。

日本のコンピュータ発達史において特筆される3つの富士通グループ製品が認定

その第三回情報処理技術遺産認定制度におきまして、トランジスタ式小型コンピュータ「USAC-3010」、コンピュータの本格導入期を代表する中型機「FACOM 230-25システム一式」、そして16ビットマイクロコンピュータの学習キット「PANAFACOM Lkit-16」が認定されました。

認定授与式では情報処理学会会長より、株式会社PFU (「USAC-3010」「PANAFACOM Lkit-16」)、富士通株式会社(「FACOM 230-25システム一式」)、の関係者に対して、それぞれ認定証が授与されました。写真は、今回認定された装置の関係者の皆さんです。

認定された3つの製品について

USAC-3010

1962年に1号機出荷。当時としては低価格(600~800万円クラス)を実現した中小企業向けデータ処理用のトランジスタ式商用小型コンピュータ。当時はまだ試用段階だったコアメモリ(ウノケ電子製)が標準採用されました。また低価格、使いやすさを目指し、プログラミングの効率アップ、ハードウェア大幅削減のための数々の工夫が盛り込まれています。
(製造者:ウノケ電子工業株式会社 現・株式会社PFU 現存機の製造年は1967年)

FACOM 230-25システム一式

国内のコンピュータ本格導入期は1960年代後半でした。FACOM 230-25はこの時代に富士通が提供したFACOM230シリーズの新モデルで、わが国におけるコンピュータの本格的導入期を代表する中型機の一つです。初出荷は1969年6月。性能と信頼性を高め、またコストを抑えつつ幅広い用途に応えるため、CPUにICと多層プリント版を採用しています。同機は本体と、タイプライタ、インターフェース制御装置、自動電圧調整装置、遠方制御盤、ラインプリンタ、磁気テープ、磁気ドラム、紙テープ読み取り穿孔装置、データライタなど周辺装置群一式が、実際の業務用の構成で保存されています。
(製造者:富士通株式会社)

PANAFACOM Lkit-16

国産初の16ビット並列の1チッププロセッサを使用した高性能マイクロコンピュータ。16ビットマイクロコンピュータの普及を図るため、1977年3月に発売された学習用キットです。エンジニアの卵からマイクロコンピュータのアマチュアファンまで、幅広い人々へのコンピュータ知識普及に貢献しました。特にユニークだったのは、簡易アセンブラ入力用キーボード、デバッグを容易に行うことができるコンソール機能、そしてデータ入出力用のオーディオカセットインターフェースを内蔵していた点です。
本体価格は9万8000円でした。
(製造者:パナファコム株式会社 現・株式会社PFU)

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