「Waffle Festival」(2021年11月28日開催)参加レポート 女子中高生・大学生とITをつなぐイベントに当社デザイナーが登壇

「Waffle Festival」(2021年11月28日開催)参加レポート
女子中高生・大学生とITをつなぐイベントに当社デザイナーが登壇



掲載日 2021年12月27日

科学・工学分野の職業を希望する女子生徒の割合が、諸外国に比べ極端に少なく、OECD加盟国の中で最低の水準に留まっている日本。実際に、IT分野における従事者のジェンダーギャップが、一般消費財分野などに比べて大きいことはよく知られています。
こうした国内の現状を打破するべく、女子中高生を対象にIT教育やキャリア教育の機会を提供する活動を続けている非営利法人Waffle(ワッフル)が、2021年11月28日、女子生徒・学生を対象にした無料オンラインイベント「Waffle Festival」を開催。
そのコンテンツの一つである「医療×IT」をテーマにしたパネルディスカッションに、デザインセンター所属の菅原由貴が参加しました。当日の模様と菅原によるトーク内容をダイジェストでお届けします。

オンラインイベント「Waffle Festival」の様子


イベントレポート

パネルディスカッションには、菅原のほかに、株式会社MEDITA 取締役/研究開発部部長 丸井朱里氏、株式会社Vitalogue Health 代表取締役CEO 長谷川彩子氏が登壇しました。丸井氏は、女性の体温調節や基礎体温を専門とする研究者であり、現在はウェアラブルデバイスの開発に従事。また長谷川氏は、神経科学・薬理学の知識をバックグラウンドに、製薬業界向けのコンサルタントなどを経て、現在はホルモン値を検査できる自社サービス「canvas」の展開に取り組んでいます。そんな三者の共通点は、学生時代に理系の学問を修め、現在は医療分野を対象に、ITを活用したプロダクトやサービスを提供する仕事に就いている点。

進行役のWaffle事務局メンバーからは、それぞれのアプローチで「医療×IT」を仕事にしているパネリストに対し、聴講者がキャリアや進路を考える上でのヒントとなりそうな質問が投げかけられ、45分間のセッションはあっという間に過ぎていきました。

ここでは、菅原への質問とその回答をご紹介します。

——— ITサービスをデザインする上で心がけていることは?

医療分野におけるITサービスをデザインする上で心がけているのは、ユーザーとなる医師・医療従事者にとっての「業務効率化」、あるいは患者さんにとっての「利便性」だけに着目するのではなく、そこからもう一歩踏み込んだところにあるユーザーの願いや想いに耳を傾けることです。例えば、「病院で医師の診察を受ける」という行為に対して、心理的なハードルやネガティブなイメージを抱く患者さんも少なくない中で、そうした現状を変えたいと願う医療従事者の方々は数多くいらっしゃいます。人が持つネガティブな認識や感情を、サービスの機能的な面だけで解決するのは難しいので、デザインの視点から医療従事者の願いに応えるサービスを提供したいといつも考えています。

——— 現在の職業(デザイナー)に辿りつくカギとなった経験は?

私の場合は、大学進学と就職活動の際に、立ち止まって自分の「軸」を見つめ直した経験が今の職業に結びついています。
子どもの頃から絵を描くのが好きで、将来はデザインに関わる仕事に就きたいと漠然と思っていました。一方で、学校の勉強では理系科目が得意だったこともあり、大学進学に際しては、親からは将来の就職に結びつきやすそうな理系の学科を専攻するよう言われ…。それでも諦め切れず、様々な大学の理系学科について調べるうちに、「人間工学」や「ユーザーインターフェース」といったデザインと関わりの深い理解の学問領域の存在を知り、大学では理工学部でユニバーサルデザインを専攻。大学で学んだことが、デザイナーとして仕事をする上でのバックグラウンドになりました。
また、就職活動の際は、「自分の『好き』を仕事にするといつか辛くなるのでは?」などと思い悩み、デザインと関係のない業界への就職を検討したこともあります。でもそこでふと、まったく心が躍っていない自分に気付き、「やはり自分にはデザインの仕事しかない」と思い定めて富士通に入社した経緯があります。
そういう意味では、紆余曲折を経て現在に至る…という感じですが、時間をとって情報を集めたり、立ち止まって考えたりすること自体に意味があるように思います。

——— 仕事を通して今後実現したいことは?

今後も、医療従事者の方々と患者さんのコミュニケーションを後押しできるように、デザイナー視点でプロダクトやサービスの開発に携わっていきたいです。また、医療業界には、まだ私たちが気付けていない課題や、医療従事者の方々自身が認識できていない課題も潜んでいると思うので、実際に現場の方々に会いに行き、密にコミュニケーションをとりながらそうした課題を発掘し、デザインで解決に導くお手伝いができればと考えています。

 菅原

イベント参加を終えて

日本では、「男子は理系・女子は文系」といったステレオタイプがまだまだ根強くあると感じているので、Waffle Festivalの開催趣旨には大変共感し、微力ながら力になれたらという想いで参加させていただきました。参加にあたっての個人的なテーマは、視聴してくださっている生徒・学生の方々に、「理系進路の魅力」に加えて、「背伸びしていない感じ」をお伝えすること。「遠い世界のスゴイ人」ではなく、「身近にいる普通の人」の話として受け取っていただけているといいなと思います。

当日は、私のほかに登壇されたお二方の取り組みにも大変刺激を受けましたし、「医療×IT」の領域の可能性の広さに改めて気付かされました。また、学生時代まで遡って自身のこれまでを振り返ることで、日々の仕事に没頭する中で見失いがちな自分の「軸」を再確認する貴重な機会にもなりました。
聴講された生徒・学生の方々のお顔を見ることはできませんでしたが、当日寄せられた質問やコメントをイベント終了直後に共有いただいて、進路選択を前に葛藤するリアルな声に触れることができました。今回の私の話に、何か少しでも参考にしていただける点があれば嬉しいです。女子生徒・学生の方々が、目に見えないハードルに左右されることなく、自分自身の心躍る方へと進んでいけることを願っています。

デザインセンタービジネスデザイン部菅原 由貴


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