Fujitsu × SUNTORY 生成AIを活用した交流ワークショップ

Fujitsu × SUNTORY
生成AIを活用した交流ワークショップ



掲載日 2023年10月25日

2023年7月14日、富士通デザインセンターとサントリーホールディングス株式会社デザイン部(以下サントリー)が、生成AIを使った交流ワークショップを開催しました。とある社外イベントで担当者同士が意気投合したことがきっかけで実現した今回の企画。業種も扱う製品もターゲットも違う2社ですが「ともかくやってみよう(富士通)」「やってみなはれ(サントリー)」と、根底に流れる社風やマインドはどこか似ているのかもしれません。それぞれの会社から若手デザイナー6名(と、それぞれのマネージャーが少々)がサントリー田町オフィスに集まり、様々な生成AIツールを駆使したワークショップの様子を、ぜひご覧ください。

ツールは常に進化してきた。だからAIもまずは使ってみよう

ワークショップの冒頭はサントリーデザイン部クリエイティブディレクターの宮城さんのトークからスタート。
宮城さんはAdobe Illustratorのツールバーの歴代の変遷や、映像機器がフィルムからデジタルに移行したことなどを例に挙げ、デザイナーを取り巻く状況は常に進化しており、その変化に対してデザイナーは常に「どちらを使うのか」の判断を迫られ、ひいては「ツールの進化」は私たちデザイナーの役割や働き方を変える要因の一つになってきた、と振り返りました。デザインツールの進化の結果は明白で、今ではデザインの現場には定番のツールが数多く存在しています。生成AIに関しても同じように、様々な意見があることを踏まえたうえで「まずは使ってみる」のが大事になるだろう、という今回のワークショップの主旨をお話されました。

デザイナーとAIが「土地の魅力」を作り出す

次に、ワークショップのテーマ発表です。
テーマ:『茨城県』に観光に行きたくなるアイデア
条件はとてもシンプルで「必ずAIを使用すること」だけ。さらに事前に複数のAIサービスも共有されました。デザイナーのクリエイティビティやデザインスキルはもちろん、生成AIに関する理解度や経験値もワークに影響してきそうです。

参加メンバーを3チーム(各社2名ずつ、計4名で1チーム)に分け、ワーク開始です。このワークの進め方にもチームの個性が出ました。

各チームのワークの様子

とりあえず最初からAIを使ってみるチーム、条件をたくさん設定して限定的にAIを使うチーム、アウトプットが思うようにいかずカオスな提案になるチームがある一方、時間短縮のためにAIを使いこなすチームなど、どのチームも試行錯誤しながら進めていきました。AIの存在を忘れてメンバー間で話し込むシーンや、AIから離れて自分の過去の経験から考えるアプローチも出てきました。
富士通とサントリー、それぞれのデザイナーのワークの進め方にも違いが見られました。

サントリーのデザイナーはおもしろいアイデアや、お客様のインサイト探索に時間をかける一方、富士通は提案のストーリーやロジックを重視。逆に、アイデアやシナリオを可視化するスキルの高さは両者に共通しています。
グループワークとチーム発表の後、富士通 宇田デザインセンター長、サントリー チーフデザインオフィサーの水口さんのお二人から講評をいただきました。

チームごとの発表は社食を貸し切って実施

私たちはもっとクリエイティブになれる。

サントリー水口さん: みなさんがテーマである『茨城県の観光』を考えるときに、良いところばかりではなく負のイメージにも着目出来ていたのが良かったですね。AIを使ってできたアウトプットも面白かったなと思いました。


人間が見つけた小さなアイデアの種や気になる部分を生成AIがクイックに形にしていった今回のワークは、今後の生成AIとの付き合い方のヒントとなるかもしれません。

今回参加したデザイナーは、AIという新しいツールを使うこと、普段交流のない異業種のデザイナーと作業することという、二つの「新しいこと」にチャレンジし、多くの気づきを得たようです。参加者のうち富士通のデザイナーの二人(成瀬・川村)に話を聞きました。


成瀬: 富士通社内でも生成AIが度々話題になっていますが、本格的に取り組んだことはなかったので、今回のワークショップは生成AIとの距離感や得意不得意をつかむには良い機会になりました。今後は生成AIを新しい同僚みたいな感じで、アイデア出しなどで積極的に使っていきたいです。
また、ワークショップ中のサントリーさんの発想の自由度の高さや面白さに対するこだわりや、その場のノリを生かしてテンポよくワークを進めていくなど、富士通との違いを感じられたのも面白かったです。

川村: デザイナー同士の活発なやりとりの中でワークが進みました。中間発表の時のことですが、サントリーさんからは説明の合間に『面白そう!』『面白い!』って合いの手がどんどん入るんです。富士通では誰かが話しているときにエールを送る場面があまりないので、これには驚きました。何かを説明するときに例え話を効果的に使う、というお話も印象に残りましたし、サントリーさんのプレゼンのスタイルは、聞くほうも話すほうも富士通とは違っていて面白かったです。
今回、いろいろな場面でサントリーさんらしさを感じた一方、富士通のメンバーはアイデアを具体化するために何が必要かを探したり、メンバーの認識を合わせていったり、情報を整理したりというところで強みがありそうだという気づきもありました。

ワークショップ終了後に実施した参加者アンケートでは、メンバー全員が「今後の業務でAIを使ってみたい」と回答したように、私たちはもはやAIがなかったころには戻れず、使い方や使い道を考えるフェーズに来ています。二つの会社の文化である「ともかくやってみよう」「やってみなはれ」の精神は、AIとデザインの可能性をぐっと広げるに違いありません。
富士通デザインセンターは今回のご縁を大切にしながら、様々な学びの機会を持ち、もっとクリエイティブに、もっとデザインを楽しんでいきたいと考えています。


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