——— 岩井さんは前職ではどんな仕事をされていたのですか?
岩井: 新卒でWebやアプリの制作を行う小規模な制作会社に入り、2年半ほど働いていました。担当は主にUIデザインでしたが、ロゴデザイン・プロモーションビデオ作成や、コーディングなどにも携わっていました。
富士通への転職のきっかけは色々あるのですが、富士通で働くインハウスデザイナーの想いや人となりを紹介する「FACE」はその中でも大きかったです。私は、良い作物は良い土壌でないと育たないように、良いクリエイティブには良い組織が必要だと考えています。良い組織というのは、メンバーのひとりひとりが精神的な余裕を持っていて、気兼ねなくお互いのことを話せます。「FACE」からはそんな良い組織の雰囲気が感じ取れ、富士通に強く惹かれました。
——— 岩井さんの具体的な仕事内容について教えていただけますか?
岩井: 私はデザインセンターのフロントデザイン部に所属し、アプリやサービスのUI/UXデザインの仕事に携わっています。たとえば最近は、何らかの理由で移動にためらいのある方々(移動躊躇層)が快適にストレスなく移動を楽しめるサービス「Universal MaaS~誰もが移動をあきらめない世界へ~」(以下、「ユニバーサルMaaS」)のスマートフォン用アプリのUI設計を行いました。これは、全日本空輸株式会社(以下 ANA)、京浜急行電鉄株式会社、横須賀市、横浜国立大学が共同で開発を行っているもので、デザインセンターはANA様から当アプリのデザインについてご相談いただき、プロジェクトに参画しました。
移動にためらいのある方々の中でも、主に車いすユーザーの方は街中にいろんなバリアがあります。特に、公共交通機関での移動。彼らは外出の際、乗り換えのために「何時に行くから手伝ってほしい」と自ら補助を手配する必要があります。その煩雑さは彼らに外出を躊躇させる大きな要因の1つです。
こうしたユーザーの課題に対し、「ユニバーサルMaaS」は移動とそれに関する手配情報を一元化して表示し、移動にためらいのある方々が街に楽しく出られるようにするアプリです。UIデザインでは、ユーザーが乗り継ぎ等のスケジュールを組む過程を、まるで「旅のしおり」を作るように楽しめることを心がけました。また、背景色とボタンやテキストなど各要素とのコントラストを大きく取るなどのカラーユニバーサルデザインを意識し、様々な方が使いやすいデザインを設計しました。