インスピラボ Designship2023にて生成AIを使ったワークショップ『未来の境界線』を開催

インスピラボ Designship2023にて
生成AIを使ったワークショップ『未来の境界線』を開催



掲載日 2023年11月10日

2023年9月30日~10月1日に渋谷ヒカリエで開催された国内最大のデザインカンファレンス「Designship2023」。幅広い年代・業界からデザイナーが集まり、最前線のデザインを学びお互いが持つ知見を披露するこのイベントに、富士通デザインセンターはメインスポンサーとして出展しました。会場ではデザイナーの松井晶子、杉妻謙がセッションに登壇したほか、インスピラボチームが生成AIを使ったワークショップ「未来の境界線~AIとSFプロトタイピングを共作してみよう~」を開催。この記事ではインスピラボのメンバーにワークショップに込められた想いや工夫について話を聞きました。

  • ※インスピラボ :
    デザインセンターで、人間の創造性を生かしたイノベーションを推進していく役割を担い、未来のサービスやビジネスを発想する源となる「インスピレーション」を探索し発信しているチーム
  • ※SFプロトタイピング :
    SF(サイエンス・フィクション)を活用することによって、思考のバイアスをはずし、新たな価値創造やイノベーションを生み出す手法
  • 参考サイト :

インタビュイープロフィール
フロントデザイン部

  • 前島 朱里(マネージャー)
  • 三柴 加奈子

部署名・肩書は取材当時のものになります。

写真左より三柴・前島

間口の広いテーマからそれぞれの社会課題を考える

普段は事業部やBP(ビジネスプロデューサー)とともに、お客様との共創案件の実績を重ねているインスピラボ。最近では社外イベントやnoteでの情報発信などの社外活動にも取り組んでいます。

三柴: 今回、社内のイベント出展担当者から、ワークショップ開催のお声がけをいただきました。テーマ設定から当日の運営まで、私たちのチームのやりたいことが実現できて嬉しかったです。ワークショップ参加は有料だったので集客が不安でしたが、キャンセル待ちの方もいたと運営の方から聞いて、私たちのやり方やコンテンツはちゃんと外にも届くんだと手ごたえを感じました。

前島: 普段、お客様との共創案件でのワークショップでは具体的なテーマを設定することが多いのですが、今回は他社のデザイナー、かつ、年代も業種もばらばらという状況だったので、少しクリエイティブな要素を強めつつ、一般の方でも自分事として楽しめるように工夫をしました。
また、デザインセンター全体では「社会課題への取組み」というテーマで出展していたのを、インスピラボでは「未来の境界線」というテーマへ変換したのも工夫したところの一つです。

「未来の境界線」というテーマは「社会課題は『何かと何かの間にある境界線のひずみ』から生まれる」という仮説から来ています。例えば仕事と生活、地方と都市、友人と恋人など、その間にある境界線は、時代によって、価値観によって、国によっても変化していくものだと考えられます。

今回、参加者がどんな境界線に興味を持ち、その境界線が未来はどんな変化をしていくのかを一緒に探索するようなプログラムを設計しました。テーマ設定に当たっては、Designshipに来場する若い世代を意識しています。社内のZ世代のメンバーにインタビューしたのですが、彼らの興味関心ごとは多様だったので、抽象度の高いテーマから、それぞれの「自分事」を見つけてもらうことが近道だと考えました。
また、Designshipは様々な年代、バックグラウンドの方が参加するイベントです。結果的にこのテーマの曖昧さが間口を広げ、テーマを自分事にしやすくなったことで、活気のあるワークショップにつながったと思います。


生成AIとカードの組み合わせが自由な発想をドライブした

また、今回のワークショップでは、生成AI と強制発想のカードを使いショートショートを作成しました。これはどのような意図があったのでしょうか?

  • ※強制発想 :
    ワードを無作為に掛け合わせて発想する手法

前島: イベントの限られた時間で、AIを効果的に使い、楽しくワークができるように、事前にチームで検証を重ねました。その際、強制発想カードでできた言葉の組合せを、ショートショートのタイトルとして生成AIに読み込ませることにチャレンジしたところ、かなりおもしろいものができて参加者の方々にも喜んでいただいたと思います。

三柴: 生成AIだけで文章をつくると、いかにもありがちな内容になることも多いのですが、強制発想のカードを介入させたことで、いい意味でAIらしくない、ジャンプした発想が出てきやすくなり、強制発想のカードと生成AIの相性の良さが確認できました。
今回使用した強制発想のカードは、今までのワークショップで使ってきたものをデザインしなおしたものです。カードは4つのカテゴリに分かれていて、各カードには「場所」「役割」「行動」「道具」に関する言葉が記されています。こういったカードはついつい自分の扱いやすい言葉や内容を選んでしまいがちですが、今回の参加者のみなさんはカードをランダムに選んでいました。この「ランダムに選ぶ」ことで、より飛躍のある、思い込みの制約をはずしたアウトプットにつながったと思います。

このカードは参加者にも好評で「カードを入手したい」「市販していないのか」などの感想もあったそう。実はDesignship用につくったこともあり、名前もまだないそうです。

ワークショップではこのカードを使用して「音楽と騒音の境界線を聞く忍者」「男と女の境界線を積み重ねる虫眼鏡」「理系と文系の境界線を隠す下町の教師」など、さまざまな未来のショートショートが創出されました。参加者からは、「情緒的で教訓ある話をAIがあんなにうまく書けることに驚きました」「様々な境界線に出会えたことや、すごく簡単にその境界線は変えていけるのだと改めて実感できました」という感想が挙がり、ショートショートを通して未来のおもしろさや驚きを共有したことが改めて浮き彫りになりました。

最後に、インスピラボの今後の展開についてお聞きしました。

三柴: 今回の生成AIを使ったワークショップをブラッシュアップさせたいですね。
生成AIに限らず、新しい働き方やワーケーションなど、最近のビッグワードについて興味を持ったり詳しく知っているけれど実際にはやったことはない、なんて方は多いと思います。でも、経験することで確信を持って語れることもたくさん出てくるはず。新しいテクノロジーやサービス、ライフスタイルなど、みなさんにどんどん経験していただきたいと思います。

前島: 今回のイベントを通して、インスピラボのワークショップが社外でも喜んでいただけることがわかったので、社外活動にも力を入れたいと思っています。
また、今回のワークショップを商談に活用するアレンジを進め、お客様に対してどんな体験やサービスを描けるのかを追求したいと考えています。
インスピラボではワークショップ以外でも様々な活動をしていますが「どうすれば未来の感度を上げられるか」という問いを常に持ち続けています。今後も富士通やお客様の「未来の感度を上げる」活動から、新しいサービスやビジネスを生み出していきたいと思います。

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