デザインの力でeスポーツを盛り上げる!富士通創立記念eスポーツ大会の舞台裏【後編】

デザインの力でeスポーツを盛り上げる!
富士通創立記念eスポーツ大会の舞台裏【後編】



掲載日 2022年10月12日

富士通の新しいオフィスであるJR川崎タワーの26階に、eスポーツルームがオープンしました。そのこけら落としとして、今年6月に社員向けのイベント「富士通創立記念eスポーツ大会2022」が開催されました。オンラインで参加、視聴できるイベントだったため、コロナ禍ながら多くの社員が楽しみ、好評のうちに幕を閉じました。この大会の成功を陰で支えたのがデザインセンターの社員です。大会ロゴやイベントで使用するスライドのグラフィックデザイン、ムービーなどのクリエイティブ制作を手掛けて大会を盛り上げ、観戦体験の向上に一役買いました。今回は、富士通eSports部の部長を含む、eスポーツが好きなデザインセンターの社員4名が、eスポーツルームで座談会を行いました。前編に引き続き後編では、2022年の創立記念eスポーツ大会の舞台裏や今後の展望についてご紹介します。

左からデザインセンター経営デザイン部 井上 永章、戦略企画部 城 愛美 、エクスペリエンスデザイン部 有馬 和宏 、ビジネスデザイン部 横田 奈々(部署名・肩書は取材当時のものになります。)


2022年の創立記念eスポーツ大会は、eスポーツルームのこけら落としイベント

——— 今日集まってもらったeスポーツルームは、どのような目的で使用されるのでしょうか?

有馬

有馬: 総務本部がワークスタイル改革の一環、あるいは外部とのタッチポイント創出の場として企画、オープンしたものです。eSports部は機器の相談に乗ったくらいで、初めて来たときには既に設備が整っていて驚きました。今後は私たちも使わせてもらいつつ、会社の施設として社内外のイベントで活用されていく見通しです。

——— 今年の創立記念eスポーツ大会は、どのように準備を進めたのですか?

有馬: 創立記念日の1カ月半前に、総務本部の担当者から相談のメールが届きました。限られた時間の中でしたが、今年もeSports部が運営のサポートをすることになりました。

横田: 昨年同様、有馬さんを中心にeSports部が企画と全体進行を担当しています。デザインセンターは大会のクリエイティブ全般を担いました。

城: 制作メンバーは6名です。私が大会のクリエイティブの全体ディレクションを担当し、横田さんが大会ロゴデザインとビジュアル・アイデンティティ(VI)制作を担当しました。そして自らやりたいと手を挙げてくれたメンバーが、進行スライド、オープニングとエンディング映像、オンライン配信用の背景、参加賞として配ったPC用の壁紙、Tシャツ、ステッカーを制作しました。メンバー全員が前年度よりも良いものにしようという想いで制作に取り組み、eスポーツらしい表現を追求してくれて、全てのコンテンツがとても高いクオリティに仕上がりました。

横田: 私はデザインセンター内でもゲーム好きを公言していて、創立記念eスポーツ大会のデザインをやらないかと声を掛けてもらいました。デザインセンターでは、好きなことを公言しているとそれに関連した仕事の声が掛かることがあります。正直に言うと、入社以来一番テンションの上がった仕事かもしれません。

城: 大会全体のクオリティを高めるために、クリエイティブ面で特にこだわったのは統一感です。そのため1カ月という短い制作スケジュールの1番最初に、横田さんとしっかり世界観を定めてVIを作る期間を設けました。そのVIをベースにしながら、進行スライド、映像、ステッカー、Tシャツを担当デザイナーが展開していくことで、コンテンツ全体の統一感が生まれました。

横田: デザインをする際のリサーチをしたときに、eスポーツ団体のロゴは、動物を使ってスピード感や強さを表現していることが多いことが分かりました。それを踏まえて今回のロゴは、富士通のインフィニティマークと永遠や不滅の象徴とされる、自分の尾を飲み込む蛇「ウロボロス」をモチーフに、eスポーツの可能性や大会のわくわく感を感じてもらえるようなデザインにしました。色は、今回のeスポーツルームのこけら落としも兼ねての大会であり、視聴者も富士通社員であるため、自分たちのイベントであると親近感を持ってもらえるようなUvanceカラーを意識しました。



今年も役員が参加し盛況な大会に。公式大会のようなクオリティと好評。

——— 創立記念eスポーツ大会の当日の様子はいかがでしたか?

有馬: eスポーツルームのこけら落としということもあり、今年はオンラインだけでなく、現地参加者も交えてオンオフ混合で開催しました。eスポーツルームのウリである、最新のゲーミングPCを披露するのも目的のひとつでした。参加者60人のうち、抽選で選ばれた6人が現地参加し、観客席も設けて出入り自由で観戦できるようにしました。オンラインのほうは同時視聴者数400人以上で、去年より増えました。さらに富士通にはメタバース部があり、その部のメンバーは仮想シアターから観戦しました。アバターが手を振っている様子も中継され、未来を感じました。

横田: 私は運営側だったのですが、プレイヤーとしても参加したかったので、思い切って現地参加の抽選に応募しました。その結果当選し、現地の席に座ってプレイしました。

横田

有馬: 抽選は忖度なしで、横田さんはたまたま当選しました。大会では、ルール設定にとても気を使っています。3人1組のチーム戦だったのですが、チーム単位での応募は受け付けず、個人エントリーにし、当日こちらで編成したチームを発表しました。皆さんメンバーとは初対面だったと思います。上級者でチームを組むと、そこだけ強くなり過ぎて他の参加者が楽しめなくなるので、このような形式にしました。結果、白熱した試合になったのではないかと思います。

横田: たしかに初対面同士のチームだからこそ全員が楽しめたと思います。いろいろなキャラクターを選択できるゲームタイトルだったので、私もゲームが始まってから同じチームの方たちと、どのキャラクターでどういう動きをするか、相談しながらプレイしました。初対面の方でしたが、大会を通じて仲が深まり、終了後に連絡先を交換して大会の後にも一緒にプレイしています。

城: それから大会後半には役員エキシビションマッチもありましたね。昨年は個人戦で役員がボコボコにされてしまって見せ場が少なかったのですが、今年はチーム戦になったことで協力し合ったり、時には忖度が生まれたりと白熱する試合になり、とても面白かったです。普段は遠い存在である役員のおちゃめな一面が見えて、ぐっと距離が縮まりました。

——— イベントの反響はいかがでしたか?

有馬: 社内からは概ね好評でした。「役員との心理的距離が縮まった」「知らない部署の人と仲良くなれた」「eスポーツは全社横断で、部門、距離、年代も越えて楽しめる」「コロナ禍で交流不足の中でも社内エンゲージメントが向上したのでは」という意見もありました。

横田: 実際、名前は知っていてもゲーム好きだとは知らなかった人が参加されているなど、新しい発見もありました。

城: また、「ロゴが格好いい」「Tシャツほしい」「配信、映像、解説など公式大会を見ているよう」といったコメントもいただきました。観戦体験に関して、デザインの力を発揮できたのではと嬉しく思いました。

有馬: eSports部はSNSでの発信もしており、創立記念eスポーツ大会について書き込んだところ、社外からの反響もありました。「富士通は堅い会社のイメージだったので意外でした」というコメントもあり、楽しい雰囲気が伝わったのかもしれません。これまでとは違う業界のお客様との接点ができる兆しも感じました。



eスポーツを通じて、働く体験のデザインやヘルスケア分野に貢献できる可能性も

——— 今後、どのような活動をしていきたいですか。

有馬: eSports部の活動としては、いままで通り全国のグループ会社、様々な雇用形態の人とフラットに交流できる場として続けていきたいです。競技という観点からはさらに上を目指し、「富士通のeスポーツは強い」と会社のプレゼンスを上げられれば良いですね。いつかオリンピックにも採用されるかもしれませんし、富士通の選手が活躍できれば嬉しいです。

横田: eスポーツとデザイン、クリエイティブは親和性が高く、大きな相乗効果が期待できます。特に、最近開かれているeスポーツの大会はクリエイティブにこだわったものが多く、それによって視聴者はもっと大会を視聴したい、あるいは自分も強くなりたいと思えるのではないでしょうか。私は1ゲーマーとして、デザインでeスポーツ市場を伸ばすことに寄与できればと考えています。

井上: 私は、時々他社との交流試合に参加していますが、試合などを通じて人脈も生まれます。プライベートな交流ではありますが、eSports部の部員は500名もいます。今後、そういったところからビジネスの話が生まれることもあるかもしれませんね。

井上

城: 私は自身がライトプレイヤーなこともあり、より幅広い人がeスポーツを楽しめる場づくりをデザインの力でしていきたいです。あらゆる人が試合を見て楽しむことができるコンテンツになることが、スポーツとしての競技性に繋がっていくと思います。

——— eスポーツが仕事になることもあるでしょうか?

城: デザインセンターは、富士通のデジタルトランスフォーメーション推進支援も行っています。そのなかでビジネスへの先進技術の導入だけではなく、それを使う従業員側のモチベーションやマインドなどのフォローも大切にしています。eスポーツは世代を超えて楽しむことができ、実際に大会を通して社員同士の交流を生む効果も見えています。eスポーツは、従業員のエンゲージメント向上の可能性を秘めていると思います。

井上: eスポーツは自治体の地域活性をはじめ、様々な分野とコラボレーションしやすいのが特長だと考えています。例えば、デザインセンターのノウハウで、他社の企業改革のお手伝いをするといった方向性も考えられます。eスポーツを含む内容となれば嬉しい話ですが、活動で培ったノウハウはそれに限らず発揮されるものとも思います。良い意味でeスポーツだけにとどまらず、いろいろな形となってデザインの素晴らしさが広まっていくと良いなと考えています。

有馬: 最近社内でもそういった相談を受けることがあります。ヘルスケア分野では、認知症予防やフレイル(虚弱)対策にeスポーツを活用する動きもあります。そのほか、バリアフリーの手段や、教育分野でのICT活用などにつながる可能性もあります。
今後もeスポーツを趣味として楽しみながら、eスポーツを通じて富士通のビジネスに貢献すべく、活動の場を広げていきたいです。

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