水庭: 文字で音声情報を表示できるところがいいですよね。以前から駅の放送など、声の情報が文字で表示できるといいなと考えていました。聴覚障がいの有無に関わらず、多くの人にとって正確な情報が文字で見えることで便利になるのではないかと思います。お客さまのニーズは見えにくく把握しにくいところもありますが、今回のエキマトペというキャッチ―なプロジェクトで実験を行ったことで、TVやSNSでも多くの反応がありました。多くの人にとって使いやすい鉄道になるため、さらに鉄道に「楽しさ」をプラスしていく取り組みへの種まきになっているのかなと感じます。
——— 今回のエキマトペへの参加を通じて、ご自身の意識や行動に変化はありましたか?
森田: 今まで以上に、できるだけ多様な人にわかりやすいアナウンス、声の届け方について考えるようになりました。話す内容、タイミングや声のトーンなどに注意を払ってアナウンスをしています。また駅の中で何かを目にしたときに、「あ、これ変えた方がいいな」「変えなきゃ」という眼を持てるようになったと思います。
水庭: 改めて手話のニーズが多いことを実感しました。収録のときに決まったフレーズを覚えただけで、その後は主に本で学んでいるところですが、もっと手話を勉強していきたいと思っています。社内SNSを通じて、簡単な単語の手話動画を毎月配信しています。私が1人でやるだけではなかなか広まらないので、毎回違う社員に声を掛けて動画に出てもらい、それを編集して投稿しています。このような活動がみんなの意識を少しでも変えるきっかけになるといいなと思っています。また様々な企業が持っているデジタル技術を活用するなどして、今後もより良いサービスへの可能性を広げていきたいと考えています。
本多: 今日はお2人の話を聞いていて、とても嬉しくなりました。私はたまたま学生時代に聴覚障がいを持つ友人と出会ったことが現在の研究のきっかけになりましたが、エキマトペのようなプロジェクトを通じて、みなさんの想いや意識が変わるだけでも大きな変化になると思います。そして、そのようなムーブメントが日本や世界に広がっていくように、これからも活動を続けていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。