富士通のデザイン経営の“今”をまとめた
『デザイン白書』を公開



掲載日 2023年7月10日

富士通がデザイン経営を取り入れ、デザイン思考の実践に取り組み始めてから3年が経過しました。世界的にも「デザイン経営」を取り入れる企業は増えており、デザインが扱う領域もますます拡張しています。ただ、「経営にデザインを活用して、どんな効果が出ているの?」と疑問を持ったり、「デザインの価値をまだ実感できていない」という方もいるかもしれません。

本記事では、富士通の2023年3月までの成果をまとめた『デザイン白書』の制作背景や本書に込められた想いなどを関係者のインタビューで明らかにするとともに、制作したデザイン白書を社外にも公開させていただきます。ぜひ本記事と『デザイン白書』をご覧いただき、ご自身のデザインとの関わりやデザイン経営について考えたり、実践したりする際の参考にしていただければ幸いです。



インタビュイープロフィール

  • 佐竹 秀彦:
    Employee Success本部 統括部長
  • 宇田 哲也:
    デザインセンター長
  • 藤 健太郎 :
    クラウドビジネス事業部長(2023年3月末まで、デザインセンター長代理)
  • 川見 充彦 :
    デザインセンター シニアディレクター
  • 黒澤 悠 :
    デザインセンター 戦略企画部

部署名・肩書は取材当時のものになります。

Fujitsuデザイン白書2023

  • 注:
    3.66 MB/25pages
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ページイメージ




デザインの成果を伝わりやすく表現し、社外にも公開

——— 今回『デザイン白書』を社内だけでなく社外にも公開しましたが、どんな想いからでしょうか?

宇田: この白書でまとめたような富士通でのデザイン経営の成果をオープンにしていくことは、富士通が他社のデザイン組織ともつながり、個社ごとではなく一緒に社会課題を解決していくエコシステムをつくることにも寄与すると考えています。デザイン思考のテキストブックを無償公開したときもそうでしたが、デザインの業界はオープンになることが求められており、ナレッジや情報を社内に閉じるのではなくどんどん社外に発信していくことでデザイン業界の共通課題を皆で解決することが重要だと考えています。

デザイン白書に掲載されたデザイン経営に関する数字の一部。多くの関係者の協力で定量的に成果を示すための数字を導き出すことができた

——— 『デザイン白書』をつくることになった背景を教えてください。

藤: 私は2023年4月に異動するまでデザインセンター長代理を務めており、デザイン白書の発案者でもあります。富士通ではデザイン経営、デザイン思考の浸透・実践を進めてきましたが、デザインの効果は抽象的で目に見えにくい、でも数字などわかりやすい形だけで表現するのは難しいという課題がありました。そこで3年経ったことを契機に「白書」という形式で、数字も含めて各本部の実践事例、実践者のインタビューを合わせてじっくり読める資料としてまとめることにしました。

佐竹: 人事部門としても、DXを進める上でデザイン思考が強力なツールの1つであると認識していましたので、その成果がどのように出ているかを示したいという点でデザインセンターと意見が合致しました。作成に際しては担当チームがデザインセンターと協力し合い良いものができたと思っています。

——— 白書という形にしたのは、なぜでしょうか?

藤: 最初は数字だけで表現しようかとも考えたのですが、やはり数字だけでは表現しきれないところも多く、実践事例を紹介したり、実践者の声をインタビューとして掲載することで、数字では表せない部分をカバーすることにしました。

佐竹: デザインセンターがまとめるというと、見た目もきれいで伝わりやすいものができるのはわかっていましたが、白書という形にすることで現場の泥くさい部分がインタビューの生の言葉として掲載されたのもよかったと思います。富士通社員だけでなく、同じ悩みを持つ他社の社員の方々の多くが共感できるように、可能な限り多様なファンクションの事例を集めました。また富士通がこれまで苦手としていたナレッジマネジメントにも生かしていきたいと考えています。

——— 白書の制作には、多くの関係者の協力があったと伺いました。

黒澤: 白書をまとめるにあたり、たくさんの関係者とコンタクトを取り、情報を集め、インタビューを行いました。デザインの実践者が富士通内の様々な組織に多数いることを改めて感じ、私自身も様々な気づきが得られました。また関係者のみなさんが、ビジネスに対するデザインの効果を目に見える形で表現したいという趣旨に共感し、前向きに協力してくれたのがありがたかったです。

川見: できるだけ幅広い事例を集められるように取り組みましたが、今回掲載しているのは制作メンバーであるデザインセンターとEmployee Success本部が関係した事例に寄っています。富士通グループ全体から見れば、これらの事例はごく一部であることをご了承いただくとともに、この白書を見た富士通の実践者たちが「こんな実践事例があるよ」と私たちの知らない事例を知らせてくれるようになると、今後のデザイン白書ではより幅広い事例を集められる、そんな良い循環が生まれることも期待しています。



変革の努力を続けているみなさんを応援したい

  • デザイン白書に掲載したグラフの一部。富士通グループ内で行ったサーベイからも、
    デザインの成果を示す結果が得られている

———『デザイン白書』は、どのように活用できるでしょうか?

藤: 掲載されている事例を参考にすることで、富士通の社員やこれを見たみなさんがデザインをより身近に感じたり、自分たちがそれとは意識せずに既に実施していることが「あ、これもデザイン思考の実践なんだ」という気づきに繋がるといいなと思っています。

宇田: 富士通では「デザイン効果の定量化宣言」を行い、デザインの効果を定量化していくという取り組みをしています。今回の『デザイン白書』の制作に際しても、多くの社員の協力の積み重ねでわかりやすく数字で示すということが叶いました。そのような協力によって抽出できた数字を、富士通社外のみなさんもいろいろな場面でぜひご活用いただければと思います。

——— 最後にこの記事を読んでいただいているみなさんにメッセージをお願いします。

宇田: 私は社外に出てデザインを含め様々な業界の方や、大学などの教育現場で教授や学生とも交流する機会が多いのですが、「富士通の変化をとても感じている」という声や、富士通の変化に対してのポジティブな反応をよく聞いています。そのような周りの反応を通して、私自身はこの富士通の変化・変革は正しい方向に進んでいると確信しています。デザイン経営を進めているほかの企業のみなさんも、それぞれに悩みや不安はあるかと思いますが、ご自身の取り組みの参考や動機付けなどに今回公開した富士通の『デザイン白書』をご活用いただければ幸いです。


プロジェクトメンバー

  • 佐竹 秀彦
  • 宇田 哲也
  • 藤 健太郎
  • 川見 充彦
  • 黒澤 悠
デザインに関するお問い合わせ
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