この度「arrows 5G F-51A」が2020年度のグッドデザイン賞を受賞しました。このことについて「今回の製品はコンセプトが伝わりやすいものでした。キャッシュレスや素早い動作などのニーズに対し、キャッチーな機能で応えることができましたし、そこが認められたことは嬉しく思います。UIデザインは製品を構成する一部ですが、良い企画に携わることができました」と感想を話す三澤は、デザインという言葉に込められる意味について考えていることを次のように述べました。
「デザインとは意匠のことだけではなく、ものづくりの活動そのものであったり、目的を達成するときに必要な工夫であったり、これらの過程が全てデザインだと考えています。ですから、『ものづくりにデザインを付加する』とか『ものづくりにおけるデザインの重要性』という表現には違和感があります。デザインの一部がものづくりであって、目的を達成しようとする工夫の一部がものやUIに現れてくる、それが私の感覚です」。
達成したい目的を実現するときには常にデザインが発生していると話す三澤は、「ものづくりにおけるデザイナーは、思想を構築し、方向性を示し、それを視覚化する存在です。デザインという活動自体は、デザイナーだけができる仕事ではなく、誰もがやっていることであり、当たり前に存在するもの、そのように認識しています」と続けました。
デザインはデザイナーだけでなく誰もがやっていることだとすると、デザイナーとは一体どのような存在なのでしょうか。
その問いに対し、「ものづくりにおいてユーザー視点を重視し、さまざまなアプローチ手段を持っている人のことだと思います。達成したい目的に対してどんな工夫のセオリーを持っているか、例えば、国語の文法とか数学の公式のようなものをたくさん知っていて、それをうまく組み合わせて役立てる、そういった知恵を持っているのがデザイナーです。ですから、何か目的にたどり着きたいときにデザイナーは大事な存在になる、そう考えています」と三澤は自身の考えを述べました。
今後もスマートデバイスを中心としたものづくりを専門領域としながらも、ものだけに閉じない、広い視野を持ってサービス作りに携わっていきたいと話す三澤。最後に「良いものを作るというのは誇れる仕事です。そのためにはデザイナーや開発部隊の一人ひとりが頑張る以上に、組織全体がいい形になっていくことが大事だと思います。一つひとつ変えていくよりも根本的な考え方を変えていく、変えていこうとする勇気が必要だと考えています」という言葉で締めくくりました。
新しいテクノロジーが登場するスマートデバイスの世界。テクノロジーと人をマッチさせるのがUIデザインであると話す三澤の口調には、次の技術への期待が溢れています。