ものづくり王国が生み出すモビリティサービスとは

ドイツと日本が考える自動車が切り拓く未来

20世紀型ビジネスモデルが終焉を迎えているともいわれる自動車産業。自動車メーカーは、この危機にどう立ち向かい、いかなる成長戦略を描くべきでしょうか?

レネー・ボアマン 氏 [René Bormann]

フリードリヒ・エーベルト財団 経済・社会政策部 モビリティ政策分野責任者

2007年6月から研究員としてフリードリヒ・エーベルト財団(ボン) 経済・社会政策部門に所属

ボリス・ヴァイラオホ 氏 [Dr. Boris Weirauch]

州議会議員
社会民主党バーデン-ヴュルテンベルク州議会会派 経済政策広報担当

2009年から社民党院内会派広報を担当し、2016年にバーデン=ヴュルテンベルク州議会議員に選出

平川 三昭 氏

株式会社FOMM 先行開発室長

1982年に株式会社精工舎に入社。株式会社本田技術研究所を経て、2016年株式会社FOMMに入社し、先行開発室にて自動運転技術の開発業務に従事

廣川 幸男

富士通株式会社 Mobilityシステム事業本部 MaaS事業部 シニアエキスパート

1998年に富士通株式会社に入社。位置情報クラウドサービスSPATIOWLの企画/開発/販売経験を経て、現在バッテリー交換型EVサービスの企画および開発を担当

マルティン・シュルツ [モデレーター]

株式会社富士通総研 経済研究所 上席主任研究員

2000年7月から富士通総研経済研究所に所属。日本企業海外投資の増加やグローバル化に取り組み、デジタル変換に関する研究に従事

2018年11月19日、汐留シティセンター(東京港区)で富士通は、『インテリジェンスとコネクティビティが創りだす自動車産業』と題するセミナーを開催しました。講演者として登壇したのは、ドイツのフリードリヒ・エーベルト財団でモビリティ政策分野の責任者を務める レネー・ボアマン氏、自動車大手の多くが本社を構えるドイツ バーデン=ビュルテンブルク州の州議会議員 ボリス・ヴァイラオホ氏、日本のEVベンチャー 株式会社FOMMの先行開発室室長 平川三昭氏、そして富士通Mobilityシステム事業本部MaaS事業部のシニアエキスパート 廣川幸男です。セミナーの後半では富士通総研 経済研究所 上席主任研究員 マルティン・シュルツをモデレーターに、活発なパネルディスカッションが行われました。

いま自動車産業で何が起きているのか

一番手として登壇したレネー・ボアマン氏は、ドイツ自動車業界の現状を詳細に分析し、その課題と対策についてまとめたレポート『ドイツの自動車産業の未来-変化をもたらすのは「Disaster」か、「Design」か?』の著者のひとり。ボアマン氏はまず自動車産業の未来を左右する“メガトレンド”について語りはじめました。

世界で進行する4つの“メガトレンド”

ボアマン氏の語る”メガトレンド”とは国や地域、業界を超えたグローバルな環境変化で、その主な流れとして次のトレンドを挙げました。

都市化

1900年に約1億6,500万人ほどだった世界の都市部の人口は、2050年には120億人に。人口過密が深刻化し、従来型のモビリティは見直しを迫られる。

サステナビリティ(持続可能性)

気候変動や健康被害を防ぐため、各国でディーゼルやガソリンエンジンの使用が禁止される。

個別化

ライフスタイルの細分化が進み、人々の需要を一括りに満たすことが困難に。モノを所有するのではなく、モビリティをサービスとして提供するプラットフォームが個人ニーズを満たすようになる。

デジタル化

AIやビッグデータ解析をはじめ、デジタル技術のさらなる発展により、交通インフラの効率化、交通の自動化、デジタルプラットフォームによるモビリティサービスの提供が可能に。

ドイツ自動車業界への波及

次にボアマン氏は、こうした“メガトレンド”が自国ドイツの自動車業界に具体的にどのような影響を及ぼしつつあるかについて考察し、次の四つのトレンドを挙げました。

  • 電動化
  • シェアリング
  • 自動化
  • MaaS(Mobility as a Service:サービスとしてのモビリティ)

ドイツでは現在カーシェアリングのユーザーが160万人おり、こうした市場を対象にサービスとしてのモビリティ(MaaS)を提供することはドイツの自動車業界にとって新たな成長機会となるだろうとボアマン氏は予測します。

「これからのモビリティは、多くのプレイヤーとともにプラットフォームを立ち上げ、ユーザーの多様なニーズに向けてサービスを提供していくものでなければなりません。自動車メーカーがクルマというモノを作って売るだけという単純な時代は終わりました」。

しかし、ここにはまた、これまでにない新たな競争もはじまっています。たとえば、複雑な機構や制御を必要としない電動自動車は、市場への参入障壁が低く、スタートアップやIT業界のプレイヤーたちが、今後、独自のコンセプトでサービスと一体化したEVを投入してきます。また、中国のように国家戦略として自国の製造業を後押ししている国も、強力な競争相手として市場に現れています。

講演の最後にボアマン氏は、自動車業界における組織と雇用の問題に触れ、こう語りました。

「業界の構造変化に伴い、メーカーは組織をもっとフラットにし、機敏に動ける体制を作らなければなりません。雇用に関しても、モビリティのサービス化に向け新しいスキル教育が求められるようになるでしょう」。

産業再構築に臨む政治と行政

「バーデン=ビュルテンブルク州では、自動車産業は基幹産業。したがってこの産業の変革は非常に重要です」。人口1,100万人に対し80万人以上が自動車産業に従事するバーデン=ビュルテンブルク州の議会議員を務めるヴァイラオホ氏はそう話します。「業界だけでなく、経済界、政界が一体となって変革を推進する必要があります」。

産業の未来に向けた行政の取り組み

バーデン=ビュルテンブルク州では自動車産業の未来を見据え、さまざまな取り組みが行われています。講演のなかでヴァイラオホ氏はその政策の一部を次のように紹介しました。

市場改造プログラム

CO2削減と電動化を推進するため、新たな税制度を検討。

EUとの協調

北米やアジアとの開発競争に対抗するため、研究開発でEUと連携。

地方自治体での実証実験

地方自治体と連携して、ライドシェアリングなど実証実験を推進。

研究のイニシアチブ

研究の成果を早く事業に盛り込み、ドイツにとどめ、雇用を安定させるために、企業と大学、企業同士の連携を推進。

インフラ再構築

eモビリティを加速させるため、行政主導で充電ステーションを整備。

雇用政策

業界の変革に合わせ、組合と協調して労働者を再教育し、雇用を安定化。

産業全体での協調

ソフトウェアやプラットフォームを業界内で共通化し、国際競争力を強化。

法整備

新しいモビリティを社会に浸透させるため、規制やインセンティブを整備。

「モビリティの未来は、技術だけで終わる話ではない」とヴァイラオホ氏は強調します。「この先、モビリティをどうしていきたいのか、社会全体で真剣に考えなければなりません。人々がそこに何を求めるかによって、未来像も大きく変わってくるからです」。

政治と行政が一歩を踏み出す

そしてさらに、ヴァイラオホ氏は次のように続けました。「産業が大きく変化している現在、政府がその状況をよく理解し、常に変化に対応できるようなゴールとターゲットに明確にコミットすべきです。経済政策も、20年後あるいは30年後のモビリティに関するビジョンにもとづいて長期的な目標を定める必要があります」。

そして最後にヴァイラオホ氏は、地方自治体の役割についても触れました。「その一方で、地方自治体は早く対応することが求められるでしょう。変化が必要なときには、自治体は柔軟に産業をサポートしなければなりません。より前向き(pro-active)になり、たとえ少しの失敗があっても実験ができるような環境が必要です」。

モビリティIoTが生み出す多彩なサービス

「いまモビリティの世界では、ユーザーがそれぞれ必要に応じて、ほしいサービスを選ぶ時代がやってこようとしています」。廣川は会場に向かい、そう語りかけました。富士通で長年テレマティクスに携わってきた廣川は、近年のモビリティIoTの進化をつぶさに見てきました。

実証実験から実用段階に入ったMaaS

モビリティ新時代のかたちを示すものとして、廣川は富士通の最近の事例を紹介しました。

公共交通情報統合システム

都市部では利用者が複数の交通手段を組み合わせて利用する“マルチモーダル”の時代が到来。ヨーロッパのある地域では、鉄道、バス、地下鉄などの公共交通情報を統合しスマートフォンで最適ルートを知らせるサービスを提供。このシステムはまた、サービス提供事業者の情報戦略にも貢献。

遅延予測サービス

「電車が止まった」といった口コミ情報や気象情報、運行実績などをAIが機械学習し、遅延や復旧の状況を予測する遅延予測。日本国内の乗換案内サービスに付加価値情報として提供。

オンデマンド型交通サービス

シンガポールでは、タクシー、ライドシェアリング、巡回バスの三つの中から最適な移動手段をオンデマンドで選ぶ実証実験が行われている。料金や所要時間を踏まえて、AIが利用者に最良の選択肢を推薦する仕組みも導入。

テレマティクス

従来、テレマティクスとはカーナビなどに向けて交通情報を提供する仕組みのことだったが、いまは、移動体からのデータを瞬時に分析し、サービスにつなげるプラットフォームが現れてきている。たとえば災害時に発生する交通のグリッドロック(交差点で身動きが取れない状態)対策、天候や時刻の変化に合わせたタクシーの乗客需要予測、ドライブレコーダーの映像解析による事故防止策、自動車保険のためのドライバーの挙動評価などが考えられている。

EVバッテリー管理システム

EV普及を阻む課題は主に、充電時間、走行距離、そしてバッテリーコスト。富士通はFOMM社との協業で、小型EVのバッテリーをクラウドで管理するサービスを構築。このシステムをベースに、利用分だけバッテリー料金を支払うサービスなどを構想。

富士通のモビリティIoTプラットフォーム

これらのサービスの多くは、富士通のモビリティプラットフォーム、SPATIOWL(スペーシオウル)をベースに提供されています。SPATIOWLは、テレマティクスとIoTで培われた富士通の技術が詰まった統合交通情報基盤で、膨大で多様な位置情報を相互参照・相互補完し、さまざまな用途に向けて新しいサービスを生みだすことができます。

モビリティIoTは当初、移動体から届くビッグデータの管理が主流でしたが、近年は複雑な交通状況の分析や可視化、移動に絡んだ予測や最適化など、データの解析と活用に軸足が移ってきています。「モビリティIoTのプラットフォームを軸に、今後さらにそうしたニーズに応えていきたい」と廣川は抱負を語りました。

東南アジアで始まるバッテリー交換型EV

「大手自動車メーカーがEV普及に向けて進めている急速充電というのは、どちらかというとガソリンインフラの内側にあります」と語るのは、独自の小型EVで東南アジア市場を狙う株式会社FOMMの先行開発室長 平川氏。

来年2月、タイで量産がはじまる同社のFOMM ONEは、手で操作するアクセルやホイールに取り付けられたモーター、災害時に水に浮く車体など、斬新な設計思想に溢れています。なかでも広く普及するエリアを確保する上で注目したのは、着脱式交換型バッテリーです。平川氏はこう説明します。

「交換型バッテリーは、電気インフラの届かない過疎地でも役立ちます。わたしたちは都市ではもちろん、ガソリンインフラから離れたところでも利用される小さな安い、EVを普及させたいと考えています」。

富士通と開発したバッテリークラウドのシステムには、IoTを搭載したFOMM ONEと自社開発のバッテリー交換ステーションがつながる予定です。これにより、お客様がスマートフォンで交換ステーションの検索をしたり、管理センタースタッフがPCでバッテリー充電状況を管理するのに役立ちます。さらに寿命を終えたEVバッテリーの2次利用までも視野に入れていると平川氏は話します。

小型EV普及への追い風

続けて平川氏は、世界におけるEVの市場動向を伝えました。いま世界的にEV普及の気運が大きく高まっていますが、それは先進国だけでなく東南アジアの進展国でも同様の状況で、小型EVが次世代モビリティの柱のひとつとして台頭する上で追い風が吹いています。

ガソリン、ディーゼル車禁止の動き

ヨーロッパをはじめとし、インドネシアやインドにおいても、2030年頃からガソリン、ディーゼル車の販売を完全に禁止する動きが活発化。

タイランド4.0

デジタル国家成長戦略「タイランド4.0」を描くタイでは、EV 120万台導入、充電ステーションの拡充(800カ所)を計画。

インドネシアのエネルギー政策

インドネシアでは2025年までに再生可能エネルギーを現在の約5倍に増やす計画が進行中。ハイブリッドEVの普及についても19項目の施策を推進。

マレーシアの「グリーンテックプログラム」

マレーシアでは地方、郊外集落や大学キャンパスなどに二輪EVを無償供与し、QOL(Quality of Life、生活の質)を啓蒙する「グリーンテック・マレーシア」が始動。今後、二輪から四輪への移行が加速。

ベトナムの大気汚染

自動二輪保有台数8,300万台ともいわれるベトナムでは大気汚染が深刻化しており、EVの潜在的需要が拡大。

エストニアのCO2排出権

国家戦略としてEVの普及を進めるエストニアは、CO2排出権の売買で得た資金をさらにEV化に充てる好サイクルを構築。

小さなEVの大きな夢

「着脱式バッテリーとコンセント充電器を特長とする小型EVは、郊外でも都市部でも親和性が高い」と話す平川氏は、今後「東南アジア市場でまず足場を固め、ヨーロッパに向けて市場展開していきたい」と意欲を示します。

最後に平川氏は、富士通との協業を強調して講演を締めくくりました。「低速域での自動運転など、今後さらにいろいろな分野にもチャレンジしていくつもりです。」。

パネルディスカッション
自動車産業受難の時代、向かうべき方向性とは?

セミナーの後半、パネルディスカッションの進行役として登壇した富士通総研 経済研究所 上席主任研究員のマルティン・シュルツは、まずボアマン氏とヴァイラオホ氏にこう問いかけました。

シュルツ

本日、モビリティについて日本サイドから新しいデジタルプラットフォームとEVのプロジェクトという二つの講演がありましたが、ドイツの視点でそれについてどういう感想をお持ちですか?

ボアマン

富士通のSPATIOWLの事例は興味深く伺いました。ドイツでもダイムラーがモビリティプラットフォームを提供していますが、様々なプロバイダーを統合する形のため、一つのプラットフォームとしてまとまったものはありません。SPATIOWLは、これからの時代に不可欠なインフラだと思います。

着脱式バッテリーを持つ小型EV の話も大変面白かった。すでにある自動車のEV化ではなく、コンセプトから独自に立ち上げたところが素晴らしい。バッテリークラウドの仕組みは、ユーザーに広く受け入れられるのではないかと思います。

ヴァイラオホ

富士通のSPATIOWLは自動車業界に依存しないという点で優れていると思います。いま話にあったダイムラーのプラットフォームは、OEMが開発したため、どうしても業界寄りになってしまっている。また自治体ごとの契約なので、国全体としての統一がありません。今後、統一的なプラットフォーム構築の動きが出てきたとき、日独の協力関係が築ければと思います。

FOMMのEVは、非常にコンパクトな点が魅力的です。ヨーロッパ市場でも受け入れられる可能性がある。大型SUVの電動化がモビリティの未来像だとは、わたしには思えません。

小さなベンチャーにも成功する機会は十分あります。ドイツポストが郵便配達用EVの開発を依頼したのですが、ダイムラーはその依頼を断りました。そこで大学発のベンチャーが手がけたのですが、メーカーでない人々が作ったEVの成功は、自動車業界に衝撃を与えました。

シュルツ

平川さん、EV普及の政府支援については、どうお考えですか?

平川

EVのための特別車線であるとか、駐車場の割引、充電スタンドでの電気料金の優遇など、直接ユーザーの利便性に関わる部分での支援は普及の後押しになります。資金よりも制度面での支援は台数の受け皿の拡大につながるので、ありがたいですね。

一方で、まだ日本は東南アジアと比べて、EV普及に向けた国家としてのモチベーションが低いような気がしています。EVの普及には強い動機付けが欠かせません。

シュルツ

次世代通信インフラとモビリティとの関係については、どうお考えですか?

平川

5Gのネットワークで通信速度が現在の10 倍になったとき、ストレージを増やすだけではキリがないので、膨大なデータをいかに価値あるデータに変換処理して抽出するかが課題となります。ハードやソフトのインテリジェンスの部分はノウハウのある富士通の力をお借りしたいですね。

ヴァイラオホ

ドイツではブロードバンドがアジアと比べてかなり遅れていて、とくに遠隔地にネットワークを広げるため、大きな投資が計画されています。もちろん自動運転などを視野に入れた場合、5Gについても考えていかなければなりません。

ボアマン

自動運転に5Gは欠かせませんが、次世代モビリティをサービスとして考えるなら、他のインフラも大切です。カーシェアリングやバイクシェアリングの駐車場や駐輪場、EV充電ステーションなどを統合して都市計画や道路計画に盛り込んでいかなければなりません。

シュルツ

新たなモビリティサービスに向けた変化とともに、雇用環境も変化しています。仕事のあり方や労働者の働き方にはどのような新しいことが求められているでしょうか。

ボアマン

雇用も重要な課題です。ドイツの自動車業界では生産に関わる雇用者の数は今後減少していく見通しですが、サービス分野では逆に増えていきます。モビリティプラットフォームのビジネスモデルではこれまでとは異なる役割やスキルが求められるようになります。ドイツではこうした点についていま労使で議論が行われていて、従業員の教育についてもっと真剣に考えていかなければならないという声が高まっています。

平川

新しいスキルということでは、EV開発でパワーエレクトロニクス系エンジニアの数が不足しています。電気自動車というのは、重電と家電のちょうど中間の電圧と電力の領域を扱う分野で、これまでその領域にあたる製品がなかったため専門エンジニアが少ないのです。若い人の育成は、喫緊の課題です。

シュルツ

ここで、会場からの質問をお受けしたいと思います。ご質問のある方は?

質問者A

いまドイツは自動車メーカー受難の時代です。というのも、国内ではディーゼルからの脱却がすでにはじまっており、それに加えてEV、燃料電池、自動運転、シェアリングなど新たな問題が目白押しだからです。ブロードバンド、5G、充電インフラなども一朝一夕にはいかない。この不確実な時代を乗り切るには、どこに方向性を見出したらいいのでしょうか?

ヴァイラオホ

ドイツではたしかに政界も経済界も、大きな問題に直面していますが、まずお互いの信頼関係を作るところから始めていくべきだと思います。方向性は政治が示し、道筋が示されたあとは、行政や企業が一丸となって目標に向かっていく。そうした姿勢が必要だと思います。

廣川

たしかにいろいろな変革が同時進行しているいま、不安は膨らみますが、一方でビジネスとしては非常に面白い時代なのではないでしょうか。これまで自動車産業はハードメーカーが独占してきましたが、EVの時代には今回のFOMMさんとの協業のようにバッテリーというハードをサービスに変えることで、新たなビジネス機会が創出されるなど、いい動きが出ているのではないかと思います。

質問者B

水素燃料についてはどうお考えですか?EVが普及してくると化石燃料の問題からは解放されますが、バッテリー生産のためレアアースの問題が出てきます。水素燃料ならば技術さえあれば、いくらでも生産できます。資源のないドイツや日本にとって国策としても良い方向性ではないかと思うのですが?

ボアマン

ドイツでも水素自動車の実験を行なっていますが、現時点ではEVに比べてエネルギー効率が悪い。また、水素を作るのに手間とコストがかかります。原子力で作った電気の中間貯蔵の可能性としては考えられるかもしれませんが、人を運ぶモビリティの視点から見た場合にはやはりバッテリーの小型化、車両の軽量化というアプローチが現実的です。現状では、わたしは水素よりもEVの方に可能性を感じています。

シュルツ

まだまだ議論を深めていきたいのですが、ここで終了の時間となりました。登壇者の皆様、会場にお集まりの皆様、本日はお忙しいなか、富士通のセミナーにお越しいただき、まことにありがとうございました。

ドイツと日本の自動車産業における現状の課題や未来について、EVやモビリティプラットフォームなどの新たな技術・サービス、政界の果たす役割といった行政面の取り組みなど、多様な観点から活発な議論が行われ、最後に会場からは登壇者に向け、大きな拍手が送られました。

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