ユニファイドコマースの意味は?注目される背景やポイントもご紹介

リテールDX OMO

顧客の消費行動は近年大きく変化し、実店舗とオンラインを行き来しながら購入するのが当たり前になってきました。そんな中、各チャネルを融合した統合的な顧客体験を目指すマーケティング用語として「ユニファイドコマース」が登場。本記事ではユニファイドコマースの意味や似た用語との違い、注目される背景や導入のポイントについてご紹介します。

ユニファイドコマースとは

ユニファイドコマースとは、顧客情報を統合し、パーソナライズされたサービスを提供する販売戦略のことです。ユニファイドコマース(Unified Commerce)を直訳すると「統合された商取引」という意味になり、オンライン・オフラインといったチャネルの隔たりをなくして統合された購買体験をもたらす取引のことを指します。

ユニファイドコマースは、顧客情報や閲覧・行動履歴、購入履歴やポイント情報、アプリ利用情報などを統合します。ECサイトと実店舗のすべての情報をデータ化することで、顧客により適切なレコメンド情報を提供したり、顧客にとってためになる各種コンテンツを提供することができます。

例えば、化粧品やシャンプーなどの日用品を実店舗で購入した場合、そのデータをポイントアプリに購入履歴として残し、数ヶ月後に「そろそろ残量が少なくなっていませんか?」「ストックを購入しておきますか?」などと通知を表示する、といった使い方ができます。

ユニファイドコマースが注目される背景

ユニファイドコマースが注目される背景として、人口減少や消費行動の変化が挙げられます。人口が減少するということは消費者の数も少なくなるということであり、店舗や商品を「とりあえず出せば売れる」という時代ではなくなったということです。消費行動もモノ消費などの物質的なものから、トキ消費、イミ消費、応援消費など付加価値を重視するものへ変わってきています。

このように消費者の価値観に基づいた消費行動が行われるようになると、消費行動はますます多様化します。すると、消費者のニーズを把握するためには消費者一人ひとりに対する深い理解が必要です。そのために、顧客データを統合したユニファイドコマースを利用して、よりOne to Oneに近い形態でのサービスができるような仕組みが求められています。

ユニファイドコマースとオムニチャネル、OMOの違い

ユニファイドコマースとオムニチャネルやOMOなどは同じマーケティング用語の一つですが、それぞれどのように意味が異なるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

ユニファイドコマースとオムニチャネルの違い

ユニファイドコマースでは、オンラインとオフラインがリアルタイムに融合していると言えます。オムニチャネルでも実店舗とECサイト、オンラインとオフラインのチャネルの垣根を取り払い統合することは試みられていましたが、それをさらに進化させ、リアルタイムでのデータ統合を可能にしたのがユニファイドコマースです。

そのため、ユニファイドコマースはオムニチャネルの進化系とも言えます。顧客の属性や実店舗・ECサイトでの購買履歴、コールセンターへの問い合わせ、アプリの利用履歴やポイント利用などすべてのデータを統合し、顧客にとってより良いタイミングで適切な提案をできるようにしたものです。

つまり、オムニチャネルによって行われてきたチャネルの統合、それによるロイヤルティ向上や顧客の囲い込みによる売上アップなどの効果にリアルタイム性を追加し、より適切なOne to Oneマーケティングの実現を目指したのがユニファイドコマースと言えるでしょう。

ユニファイドコマースとOMOの違い

OMOは「Online Merges with Offline=オンラインとオフラインの融合」を意味する言葉で、例えば店舗をショールーム化し、購入は手元のスマートフォンからECサイトを通じて行ったり、店舗のPOSレジをなくして、決済の際には手元のスマートフォンを使ったりするなど、オフラインの中でオンラインを利用する(またはその逆も)ことを表します。

ユニファイドコマースもOMOも顧客体験の向上という点にポイントを置いていることや、チャネル間のシームレスな融合という点では似たような意味を持ちます。ユニファイドコマースとOMOの大きな違いは、顧客へのアプローチ方法です。

OMOがチャネル間の垣根を取り去ることで顧客満足度をアップするという「ハードルを下げる、障害を取り除く」ことに重点を置いているのに対し、ユニファイドコマースではチャネル間の垣根を超えた購買体験によって顧客満足度をアップするという「体験的な付加価値をつける」ことに重点を置いていることが異なると言えるでしょう。

ユニファイドコマースを検討する際のポイント

ユニファイドコマースの導入を検討するためには、リアルタイムなデータ連携、データの最適化、アプリ導入の3つのポイントを考慮する必要があります。詳しく見ていきましょう。

リアルタイムなデータ連携が重要

ユニファイドコマースでは、顧客データを横断的に収集・分析し、リアルタイムに活用するための基盤が求められます。ECサイトや実店舗などの各種チャネルはもちろん、ポイント利用やアプリの履歴、カスタマーサポートなど、あらゆるデータをリアルタイムに統合し、活用するためのデータ連携が重要です。

そのため、ユニファイドコマースを実現するためにはまずオムニチャネル化を進めるのが近道だと言えます。チャネル間をシームレスに統合し、データを連携するためには、ECサイトと実店舗の会員データやロイヤルティプログラムなどの顧客情報を統合すると同時に、店舗側でも在庫情報などの統合を進めなくてはなりません。

データを個人最適化して活用

連携されたデータは、次に分析して個人に最適化し、よりよい購買体験につなげていく必要があります。これにより、One to Oneマーケティングに近づけられるでしょう。リスティング広告などのようにセグメントごとのターゲティングをするのではなく、実店舗やECサイトなどの顧客接点からマーケティングを行うことで、より個人に最適化されたターゲティングが行えます。

例えば、実店舗で購入したPOSデータとポイントアプリを連携させれば、会員データと購入履歴を紐づけられ、おすすめ機能やリマインダーなどの施策につなげられるでしょう。データを単に収集するだけでなく、分析して施策へつなげていけるような活用の仕組みづくりが重要です。

アプリを導入すること

スマートフォンを1人が1台持つ時代になったことで、常に手元でオンラインにつながっている状態と言えます。前述のように自社アプリやポイントアプリなどを導入すれば、より個人に最適化した施策を行えるようになります。アプリの特長として購買履歴だけでなく、GPSなどで位置情報を取得したり、アプリの利用状況を取得したりできるため、顧客データの統合や分析に役立つでしょう。

さらに、アプリには閲覧性の高いプッシュ通知ができる、すなわち事業者側から顧客側へと自発的に接点が持てるというメリットもあります。チャネルを統合してシームレスな購買体験を目指すユニファイドコマースにおいて、顧客接点が増えることはよりデータ収集や分析、活用につながるということです。

ユニファイドコマースを実現するソリューション「Brainforce」

富士通の提供するソリューション「Brainforce」ではヘッドレスコマース構造を採用し、バックエンドで顧客情報や在庫情報を統合、フロントエンドで各種チャネルにAPI連携できます。これにより、消費者のニーズに合わせて急激に変化するリテール市場に素早く対応できるでしょう。

ユニファイドコマースを実現する際に最も大きな障壁となるのが、フロントエンドとバックエンドの密接な結びつきでした。しかし、ヘッドレスコマース構造によってフロントエンドとバックエンドを切り離すことで、各種チャネルの変化に対応するためフロントエンドを改修しても、バックエンドに影響しなくても済むようになったのです。

また、スマートフォンアプリのテンプレートを提供しているため、アプリの導入もスムーズに行えます。ユニファイドコマースの実現を考えているなら、ぜひ「Brainforce」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ユニファイドコマースでOne to Oneを目指し、顧客体験を充実させよう

ユニファイドコマースは、リアルタイムにオンライン・オフラインのチャネルやデータを融合し、統合的な購買体験を提供することを指すマーケティング用語の一つです。オムニチャネルの進化系とも言えますが、リアルタイム性が加わることでより効果的なOne to Oneマーケティングが行えます。ユニファイドコマースでデータを個人に最適化し、よりよい顧客体験につなげましょう。


お問い合わせ

最先端デジタルテクノロジーの活用によって、たのしく快適な購買体験、安全で効率的な店舗業務のあり方、新たなリテールモデルを最新事例と共にご提案いたします。
流通ソリューションに関するご質問・ご不明点等ございましたら、下記よりお問い合わせください。

Webでのお問い合わせ
  • Webフォーム

    当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ
ページの先頭へ