働き方改革の内容を総まとめ。中小企業が適用になるまでの猶予とこれから取り組むべきこと
work style reform column中小企業の長時間労働是正と諸制度の施行時期

働き方改革関連法の施行が進み、現在は企業規模に関わらず大半の事業主が社員の労働環境改善に対応しなければならない状況です。この動きは2021年以降も継続するため、これまで働き方改革関連法の適用に猶予があった中小企業は、なるべく早めに施策を実施しなければなりません。今回は働き方改革の諸制度の適用時期と取り組むべき内容を紹介します。
時間外労働の上限規制は2020年4月から中小企業にも適用されている
働き方改革のなかでも、経営に大きな影響を及ぼす制度が「時間外労働の上限規制」です。2020年4月1日から中小企業にも適用されており、「時間外労働の上限は原則、月45時間・年360時間」という義務を守らない場合、罰則(6カ月以内の懲役、もしくは30万円以下の罰金)が与えられるケースもあります。
月45時間・年360時間の上限を超える場合は36協定(労使協定)で労働時間における特別条項を結ぶ必要があります。特別条項を結ぶ際は以下のルールを守らなければなりません。
■特別条項を締結しても遵守しなければならない規則
・時間外労働は年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働と休日の合計は2~6カ月平均の全てが月80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えられるのは、年6カ月まで
働き方改革における中小企業の定義
働き方改革における中小企業は、業種によって資本金額や雇用する社員数の定義が異なります。働き方改革導入の際は、自社が大企業と中小企業のどちらに該当するかを確認しましょう。
■中小企業の定義
業種 | 資本金・出資総額または常時使用する社員数 |
---|---|
小売業 | 5,000万円以下または社員数50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下または社員数100人以下 |
卸売業 | 1億円以下または社員数100人以下 |
その他 | 3億円以下または社員数300人以下 |
働き方改革導入の効果。時間外労働は減った?
2019年より大企業を中心として働き方改革の実施が本格化しており、企業の取り組み状況やその効果などのデータも各機関から公表され始めています。例えば、2019年2月に大手調査会社の帝国データバンクが全国1万292社を調査し、発表した「働き方改革に対する企業の意識調査」では以下の内容が明らかになりました。

■働き方改革に対する企業の意識調査のポイント
・60.4%の企業が働き方改革に取り組んでいると回答
・取り組み内容の1位は「休日取得の促進(77.2%)」、2位「長時間労働の是正(71.0%)」、3位「人材育成(49.6%)」
上記の結果から、過半数の企業が働き方改革に取り組んでおり、そのなかでも休日取得や長時間労働の是正など、社員の労働時間に関わる状況の改善に着手する事業主が多いことがうかがえます。厚生労働省が公表した毎月勤労統計調査では、2019年の所定外労働時間は1.9%減少したことが明らかになっており、2020年には中小企業においても時間外労働の上限規制が適用されたことから、この傾向はさらに強まっていると推測できます。
中小企業はいつから?働き方改革の施行時期のまとめ
最後に働き方改革の制度施行時期について、大企業・中小企業別にまとめました。自社の状況に応じて取り組むべき施策のポイントと施行時期を確認しておきましょう。
■大企業・中小企業別、働き方改革の施行時期
働き方改革の項目 | 施行時期 |
---|---|
フレックスタイム制の拡充 |
大企業 2019年4月~ 中小企業 2019年4月~ |
年5日の年次有給休暇取得 |
大企業 2019年4月~ 中小企業 2019年4月~ |
勤務間インターバル制度の努力義務 |
大企業 2019年4月~ 中小企業 2019年4月~ |
同一労働同一賃金 |
大企業 2020年4月~ 中小企業 2021年4月~ |
月60時間超の時間外労働への割増賃金引上げ |
大企業 適用済み 中小企業 2023年4月~ |
働き方改革の施行時期を把握して早めの行動を
中小企業・大企業の働き方改革の施行時期と実施状況について紹介しました。働き方改革に対応するためには、社内インフラの整備や組織改革など多分野の状況把握と改善が必要なため、ある程度時間やコストがかかるケースが見受けられます。
富士通エフサスが提供するFUJITSU Software TIME CREATORを活用することで、時間外労働の抑止効果が見込めます。また、月額料金で利用できるSaaS版は社内インフラ整備を短期間で実現でき、ユーザー数の変更にも柔軟に対応できるなど便利なサービスです。
中小企業の場合は、今後義務化される「月60時間超の時間外労働への割増賃金引上げ」と「同一労働同一賃金」に備えて、早めの対策をしておきましょう。
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