働き方改革で清算期間が3か月に延長。フレックスタイム制導入のメリット

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フレックスタイム制の概要と導入の注意点

フレックスタイム制は、一定の期間にあらかじめ定めた総労働時間に則り、出退勤時刻や勤務時間を労働者が自由に決定できる制度です。残業削減や働きやすさの向上などに効果があると期待され、働き方改革関連法の改正によってフレックスタイム制の「清算期間」が延長されるなど、重要な施策の1つに位置付けられています。今回は関連法改正後のフレックスタイム制の概要とメリット、導入事例をまとめました。

フレックスタイム制の清算期間が3か月に延長

フレックスタイム制は、あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者が自由に決定することができます 。労働者にとっては、日々の都合に合わせて、時間という限られた資源をプライベートと仕事に自由に配分することができるため、プライベートと仕事とのバランスがとりやすくなります。

2019年4月の働き方改革関連法施行により労働契約上、労働者が労働すべき時間を定める「清算期間」が従来の1か月から3か月に延長されました。これにより、労働者が自由に決められる勤務時間が単純計算で3倍に増え、より柔軟で長期的な計画が立てやすくなったほか、月をまたいだ業務への対応も容易になりました。

フレックスタイム制の導入状況

厚生労働省が2018年10月に発表した「平成30年就労条件総合調査の概況」では、会社規模・業種別にそれぞれ100社のフレックスタイム制の導入状況が明らかになっています。まず、規模別では1,000人以上の労働者を擁する企業の24.4%がフレックスタイム制を導入しているのに対し、30~99人の小規模企業ではわずか3.9%しか導入されていません。
また、業種別でも情報通信業の導入割合が25.3%に対し、医療・福祉、教育、小売などの業種は5%以下にとどまっています。この結果から事業形態や会社規模によって、フレックスタイム制導入のハードルは大きく異なることが読み取れます。

スーパーフレックスタイム制

フレックスタイム制は、「午前11時~午後3時」のように必ず出社すべき時間帯(コアタイム)を設けていることが一般的です。一方でコアタイムを設けず、すべての時間帯で労働者が自由に働ける制度のことを「スーパーフレックスタイム制」といいます。通常のフレックスタイム制よりも柔軟な運用ができるため社員の負担を軽減できるものの、社内のコミュニケーションの低下や取引先との連携不足、さらに業務管理・労働管理の難易度が上がるという懸念点もあります。

フレックスタイム制導入のポイント。時間外労働の扱い方は?

「就業規則への規定」と「労使協定の締結」の2点を満たせば、フレックスタイム制を導入することができます。それぞれの詳細は下記のとおりです。

■就業規則への記載例
フレックスタイム制が適用される従業員の始業および終業の時刻については、従業員の自主的決定に委ねるものとする。

■労使協定で定めるべき項目

・対象となる労働者の範囲
・清算期間
・清算期間における総労働時間
・標準となる1日の労働時間
・コアタイム(※任意)
・フレキシブルタイム(※任意)

フレックスタイム制を導入した場合、時間外労働の取り扱いが通常と異なるため注意しなければなりません。通常、時間外労働は1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えた場合が対象です。一方、フレックスタイム制では清算期間における法定労働時間の枠を超えた時間が時間外労働とみなされます。つまり、1日や1週間単位で8時間・40時間以上働いても、時間外労働には当てはまらないケースがあることを覚えておきましょう。

清算期間の延長の注意点

最大の清算期間を従来の1か月から3か月に延長した場合、先述した「清算期間における総労働時間を超えないこと」に加えて、「1か月ごとの労働時間が週50時間を超えないこと」というルールの規定が必要になります。

【導入事例から解説】フレックスタイム制のメリット

最後にフレックスタイム制を導入した企業の事例を紹介します。

兵庫県に本社を置く社員数約380人の製造業の企業では、午前7時~午後8時を「オフィスアワー」と設定。早朝勤務を促し、常態化していた夜間の時間外労働の削減を図っています。

また、広島県にある社員数約290人の情報通信業者は、コアタイムを午後1時~4時として、午前中の半日有給休暇の取得をしやすいようにフレックスタイム制を導入しました。これにより、休暇や働き方のバリエーションが増加し、それぞれのライフスタイルに合わせた勤務が可能になりました。どちらの例も時間外労働の削減や時間管理の意識向上に一定の成果を上げています。

自社の労働環境、業種に適したフレックスタイム制の導入を

フレックスタイム制はこれまでの働き方を大きく変えることができる制度ですが、一方で導入に適した企業はある程度限られており、正しく運用しなければかえって混乱を招く恐れもあります。勤怠管理ツールの活用は、フレックスタイム制の導入において重要なポイントの1つです。富士通エフサスが提供するFUJITSU Software TIME CREATORを導入することで、社員の労働時間管理が容易になり、制度の効果的な運用につながります。

企業は先進事例や自社の環境を丁寧に把握し、フレックスタイム制による働き方改革を実現しましょう。

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