【オンプレミスのクラウド移行】3ステップの手順と活用できるサービスを紹介
Cloud column基本的なクラウド移行のステップと移行戦略「7つのR」

昨今、自社システムをオンプレミスから、AWSやAzureに代表されるクラウドサービスへ移行する流れが急速に広まりつつありますが、システムのクラウド化は簡単な作業ではなく、事前に知っておくべき手順やサービスなどが存在します。今回はクラウド移行の手順や移行戦略、活用できるサービスを紹介します。
クラウド移行の手順は3ステップ
まずはオンプレミスからクラウドへの移行を行うために、知っておくべき基本的な3ステップを確認しましょう。
1.システムの評価
はじめにオンプレミスからクラウドへ移行する目的やその効果を明確にします。短期的・長期的な目標やリスクをなるべく多く洗い出す必要があるため、事業戦略や予算といったビジネス面と、セキュリティやプラットフォームといった技術面からの両面から評価を行いましょう。
2.移行計画の作成(モビライズ)
次に環境構築、運用即効性、クラウドスキルの育成などに焦点を当てて移行計画を作成します。既存のシステムを整理し、アプリケーションやデータベースをどのような形で移行するか決めましょう。その際に移行戦略として活用するべき7つのRを意識して計画を立てると、より精密化された計画を作成することが可能です。
3.移行とモダナイゼーション
最後にステップ2で作成した移行計画をもとに、各アプリケーションの設計と移行および検証を実施します。クラウドサービスベンダーと連携して、企業が保持している情報資産をより活かしやすいアプリケーションへのモダナイゼーションまで行うと良いでしょう。運用開始後は定期的にパフォーマンス改善に努めることでクラウドへの最適化が可能です。
7つのRとは?企業が気を付けたいクラウド移行のポイント
企業がシステムのクラウド移行をする目的には、コスト削減や運用面での効率化など様々なことが挙げられますが、軸となる目的は必ず決めておきましょう。移行にあたり、クラウドサービス側の制約条件も確認しておく必要があります。例えば、AWSではOSにWindowsやLinuxは使えますが、SolarisやAIXといったOSは使えません。こういった制約は必ず事前に確認しておきましょう。加えて、クラウド移行には欠かすことができない移行戦略があり、それぞれ英語の頭文字をとって「7つのR」と呼ばれています。
1.廃止(Retire)
移行する際に不要と判断されたアプリケーションやデータベースは、廃止または削除します。
2.保持(Retain)
クラウドへ移行してまで使用する理由がないアプリケーションなどは、移行せずに元の環境で稼働させ続けます。
3.リロケート(Relocate)
オンプレミスで利用しているVMware環境などをクラウドベンダーが提供するサービスに移行して使用します。そのため、既存のアプリケーションやデータベースには変更を加える必要はありません。
4.リホスト(Rehost)
既存のアプリケーションやデータベースに変更を加えることなく、そのままクラウドへ移行して利用します。例えばオンプレミスにある「Oracle Database」を、AWS・EC2インスタンス上のOracleへ移行することが挙げられます。
5.再購入(Repurchase)
既存の製品からSaaSモデルの製品に切り替えて使用します。例えば、既存の顧客管理システム(CRM)をSalesforce.comに切り替えることがこれに該当します。
6.リプラットフォーム(Replatform)
クラウドの機能をより活用するために部分的な最適化を行います。例えばオンプレミスの「Oracle Database」を、AWSの「Amazon RDS for Oracle」へ移行することが挙げられます。
7.リファクタリング(Refactor)
クラウドネイティブな機能を活用し、俊敏性・パフォーマンス性・拡張性などを高めるために、プログラムコードやデータベースの修正・変換を行います。例えばオンプレミスの「Oracle Database」を、「Amazon Aurora PostgreSQL」へ移行することが挙げられます。
クラウド移行に活用できるサービス
クラウド移行を行う場合には、トラブルを回避するためにも活用できるサービスは活用すると良いでしょう。以下でAWSとAzureの代表的なクラウド移行サービスを紹介します。
AWS Database Migration Service
データベースを短期間で安全に移行することができるAWSのサービスです。移行中でもソースデータベースは完全に利用可能な状態に保たれ、データベースを利用するアプリケーションのダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。また、同種のデータベース間の移行だけでなく、OracleからMicrosoft SQL Serverといった異なるデータベースへの移行も、サポートされている点が特徴として挙げられます。
Azure Migrate
オンプレミスや他のクラウド環境で稼働しているアプリケーションやデータベースをAzureに移行する際に活用するサービスで、以下の機能が提供されています。
■移行元マシン群の検出機能
移行元マシンの検出と移行診断に利用するメタデータの収集
■クラウド移行時の評価機能
Azure移行可否の判断および適切なサイジングとコストの算出
■マシンのクラウド移行機能
エージェントレスでのAzure移行の実施と移行状況の追跡
精密な計画を立ててクラウド移行を実施
今回はシステムのクラウド移行の全体的な流れや戦略について紹介しました。クラウドサービスを使いこなし、移行したシステムをクラウドネイティブに最適化させるには設計段階からクラウドを意識した設計が必要です。紹介した7つのRやクラウド化で活用できるサービスは基本的な知識となるため、企業の担当者は検討段階の時点でチェックするように心掛けましょう。
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