DCIの社会実装に向け、CPSにおけるリアルタイム映像解析の実証実験

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富士通ではNTTと共同でDCI(Data Centric Infrastructure)の社会実装に向け、CPS(Cyber Physical System)におけるリアルタイム映像解析をユースケースに実証を行いました。
8台の4Kカメラを用いて人物検知を行う中で、時間による人流の変化に従ってハードウェア構成とデータフローを最適化することでその消費電力を削減しました。

PoCの概要

富士通ではNTTと共同でDCI(Data Centric Infrastructure)の社会実装に向け、CPS(Cyber Physical System)におけるリアルタイム映像解析をユースケースに実証を行いました。
実証にはディスアグリゲーテッドアーキテクチャを用いたコンピューティングと、CPUの介在を低減するデータ処理技術を適用しました。
具体的には、8台の4Kカメラを用いて人物検知を行う中で、時間による人流の変化に従ってハードウェア構成とデータフローを最適化することでその消費電力を削減しました。
本PoCは、IOWN Global Forumから、PoC Reference(*)に準拠した初のPoCとして認定されました。

図1. PoCの概要
図1. PoCの概要

PoCを行った構成について

本PoCの構成図を示します。
本システムでは4K映像が入力され、デコード処理、フィルタやリサイズの前処理が行われた後、映像推論により人物を検知します。
映像推論は高度推論と軽量推論を使い分けます。

高度推論: 人が多く映るものに対しては検知精度を優先し、高精度AIの利用した上で高フレームレートな情報を元に推論
軽量推論: 人がほぼ映らないものに対しては電力効率を優先し、軽量なAIを利用した上で低フレームレートな情報を元に推論

日中帯は人が多く、夜間帯は少ないといったシーンに応じてハードウェア構成とデータフローを柔軟に再構築することで消費電力を抑えることができます。今回は様々なアクセラレータを活用するというコンセプトを実証するためFPGAとGPUの両方を利用しており、FPGAにはCPUを介在させずにGPUと連携させるための独自回路を実装することでCPU処理量を低減し消費電力の削減を実現しています。

図2. PoCを実施した構成図
図2. PoCを実施した構成図

評価結果

本PoCでの消費電力の測定結果を示します。
比較対象となる従来構成(2020年の典型的な構成を想定)と本PoC構成での消費電力を下図に示します。従来構成と本PoCの日中帯のシーンとを比べると、約62%の電力が削減されています。これはハードウェアの進化(NVIDIA T4からA100への変更)を含む最適なアクセラレータの選択、デコード・前処理を含むより広い範囲でのアクセラレータの活用、CPUの介在を低減したアクセラレータ間のデータ転送、といった高効率化が図られたためです。
さらに、本PoCの日中帯と夜間帯の電力を比較すると、夜間帯は日中帯と比較し約30%の電力が削減されており、従来構成との比較では約73%の電力を削減しています。なお、今回のPoCでは日中帯と夜間帯の切り替えはオフラインで実施しており実用化には拡張が必要となります。またCPUを介在させずGPU連携する機能を実現するFPGA上の独自回路はプロトタイプ実装となっています。

図3. 消費電力の評価結果
図3. 消費電力の評価結果

今後の取り組み

本PoCではディスアグリゲーテッドアーキテクチャを用いたコンピューティングとデータフローにおけるCPU介在を低減する技術のコンセプト実証について説明しました。
今後、本技術の継続的な拡張を進めると共に、IOWNの最大の特徴である光電融合技術と連携することで、リアルワールドの多種多様なデータを用い、様々なパートナーが価値を創出するサービスをスピーディに実現できるだけでなく、電力効率を最大化し、持続可能な社会に貢献することを目指します。

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