宇宙開発に国防システム…富士通に入社して驚いた「日常を飛び越えた世界が見られること」

宇宙開発に国防システム…富士通に入社して驚いた「日常を飛び越えた世界が見られること」



掲載日 2021年11月1日

富士通株式会社(以下、富士通)のデザインセンターは、富士通が提供する多様なサービスやプロダクトのデザインを担い、また富士通全社に向けてデザイン思考を浸透させる活動を行う、富士通のデザイン部門です。そこではどのようなデザイナーが働いているのでしょうか。

山田康央氏は2008年に新卒で富士通に入社し、以来、社内外のさまざまなプロジェクトに携わってきました。そんな山田氏に、学生時代はどのような活動をしていたのか、富士通に入ってからどんなことに驚いたのか、仕事のやりがいは…などの点について、お話を聞きました。

記事のポイント

  • 富士通ではスパコンや宇宙開発など日常を越えた巨大なシステムに触れることができる
  • 経営デザイン部で富士通が発信するメッセージングづくりの仕事を行う
  • 関係者全員の本質的なニーズを深く理解し、アウトプットを出せるデザイナーを目指す

多摩美の情報デザイン学科から富士通へ

山田 康央氏
デザインセンター 経営デザイン部所属(2021年5月時点)

——— 山田さんはどうしてデザインセンターに入社することになったのですか?

山田: 私は学生時代、多摩美術大学の「情報デザイン学科」でUIデザインやサービス設計について学んでいました。就活では大学時代に培った知識やスキルを活かして働ける職場を探しており、メーカーや情報産業を手がける企業などを志望していました。その過程で富士通を見つけたのが入社のきっかけです。

——— 学生時代に打ち込んでいたことや、活動していたことを教えてください。

山田: 版画サークルに所属し、オリジナルのTシャツ作りを行っていましたね。その他、映画を飽きるほど観たり、本を読んだり、展覧会・展示会に行ったり…と、自身の感性を伸ばすことに時間を使っていたように思います。

——— 入社後の新人研修ではどのようなことを学び、経験できましたか?

山田: 私が富士通に入社したときは、営業やSEなど別の職種の同期たちと一緒に、ビジネスの基本的なスキルやマナーを学ぶ研修を受けました。業種もごちゃまぜだったので本当にいろんな人がいて、刺激的だったのを覚えています。入社当時に知り合ったメンバーとは現在でも、既に転職しているメンバ―も含め、つながりを持ち続けています。

その後はOJTを行いました。印象に残っているもののうちに、図書館の貸し出しシステムの画面デザインがあります。富士通では驚くほど多様な業種にソリューションを提供していますが、学校や図書館、博物館、美術館といった文化・教育領域もそのひとつです。

また、OJTではほかにも館林データセンター(富士通が運営するデータセンター)の画面デザインの社内案件も担当。現場の方々と日々業務に取り組むなかで、富士通でのUI設計業務のイロハを経験しました。

——— その後、実際に仕事をするなかで驚いたことについて教えてください。

山田: 日本を支える大企業・組織で使われているシステムにはとてもレガシーなものがある、というのが驚いたことの1つです。

たとえば、COBOL(1959年に開発された、古くからあるプログラミング言語)で動作するシステムや、描画に使用できるカラーは256色のみ、透過させるにはマスキングのために別途の画像が必要…といったように、10年以上前から現在に至るまで現役で動いているシステムは多くあります。それらを目の当たりにして、「自分たちが作るシステムも長年使われることを想定しなければならない」と、自身の業務の大きな責任を感じました。

一方で、自分の視野をはるかに越えた世界が広がっていることに、大きな面白さを感じましたね。富士通で仕事をしていると、「スパコン」や「宇宙開発」「国防システム」「流通システム」といった、自分の生活圏や日常で意識している世界を飛び越えた巨大なシステムを垣間見ることができます。関わる業種や提供する技術の幅広さや「B2Bビジネス」自体にワクワクしますね。



富士通のメッセージングづくりに携わる毎日

——— いま現在、携わっている仕事内容を教えてください。また、そのやりがいにはどんなものがありますか?

山田: 私はデザインセンターの経営デザイン部という部署に所属しています。そのなかで主に、富士通のメッセージングづくりの仕事に携わってきました。

たとえば、社長や役員の方は富士通のブランディング活動の一環として、だいたい月に1〜2回ほど社外のイベントに登壇します(※新型コロナウイルス蔓延以前)。その講演のシナリオ設計やスライド制作などのデザイン業務を担当しています。

富士通という大きな会社が発信するメッセージは、単なる一企業の枠を超えた社会的意義があります。それを分かりやすく、また印象的に伝えるために、デザイナーにはメッセージをズバリと言い当てるシナリオやスライドづくりが求められます。関係者も多いなかでメッセージをまとめていくのはなかなか難しい仕事ですが、目的を成し遂げるアウトプットを出せたときは、大きなやりがいを感じますね。

——— 会社全体や所属するチームなど、山田さんが一緒に働く仲間はどういった雰囲気ですか?

山田: 全体として和気あいあいとした雰囲気があり、皆さんとコミュニケーションが取りやすい環境です。一緒に働くメンバーは「文化」や「世の中の流れ」への感度と関心が高く、刺激を受けますね。互いに情報共有し合うことで、多様な知識を得られる場づくりも意識的に行っています。

また、組織の風通しも良く、誰にでも相談がしやすいです。会社全体にも自由な雰囲気が漂っていて、多様性が認められている職場であるとも感じますね。



「日経新聞を毎日読みなさい」と言われた理由

——— 山田さんがデザイナーとして目指しているビジョンや、今後の目標にはどのようなものがあるのでしょうか。

山田: 「デザイン思考」の実践においてまだ至らない部分があると感じているので、今後も力を培っていきたいと考えています。デザイン思考は、ユーザーの潜在的かつ本質的なニーズを捉える思考法やプロセス、マインドセットのことで、ビジネスでイノベーションを起こすために必要な考え方です。

いま富士通では、企業の業務プロセスのあらゆる場面でデジタルが基盤となる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進しています。実現には富士通の社員全員が課題を自ら発見し、解決策を提示できることが重要です。そしてそのために、デザイン思考の浸透が鍵となっているのです。

富士通全社にデザイン思考を浸透させるためには、私自身もより深くデザイン思考を理解し、実践していく必要があると考えています。特に私が携わるメッセージングづくりには、メッセージの聞き手に一般の消費者やクライアント企業、そして富士通の社員など、さまざまな関係者が存在します。こうした関わる人すべてのニーズを理解し、本質的に重要なことはなにかを、もっと突き詰めて考えられるデザイナーになれればと思っています。

——— 最後に、就活生の方へ向けてのメッセージをお願いします。

山田: 入社が決まった後の社内インターンで、当時の部長に「日経新聞を毎日読みなさい」と言われたのを覚えています。あの言葉は、思い返せば「企業で働く以上、デザイン科の学生であっても芸術やデザインといった関心領域を超え、世の中の仕組みやビジネスを知ることが大事である」と示唆していたのかな、と感じます。

いま私自身も、デザインというものの領域がどんどん拡張していく中で社会や消費者のインサイトを的確に掴まなければ、新しい領域に応えるデザインの実践はままならないと思っています。

就活生の皆さんも、「世の中のどういったイシューに対して、自分のデザインが活かせるのか」を思い描きながら、目いっぱい活躍できるフィールドを探してみてください。

■データ

  • 所 属 :デザインセンター 経営デザイン部(2021年5月時点)
  • 入 社 :2008年
  • 出身大学:多摩美術大学情報デザイン学部卒
    UIデザイン、サービス設計について学ぶ
  • 趣 味 :散歩
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