中途採用から17年…富士通の居心地の良さは「人の優しさ」と「刺激的な変化」

中途採用から17年…富士通の居心地の良さは「人の優しさ」と「刺激的な変化」



掲載日 2021年10月11日

富士通株式会社(以下、富士通)のデザインセンターは、富士通が提供する多様なサービスやプロダクトのデザインを担い、また富士通全社に向けてデザイン思考を浸透させる活動を行う、富士通のデザイン部門です。そこではどのようなデザイナーが働いているのでしょうか。

寺西広太郎氏は2004年に中途採用で富士通に入社。現在では、デザインセンターの経営デザイン部に所属し、富士通全社の様々な部署と関わりながら、製品やサービスのプロモーション制作や、企業ブランディング活動に携わっています。そんな寺西さんの現在の仕事内容はどのようなものか、仕事でこだわっているポイントは、などについて聞きました。

記事のポイント

  • 中途採用から富士通に17年勤務の理由は、人が優しいことと変化があって刺激的なこと
  • 富士通社内の様々な部署と協同し、製品・サービスの「コミュニケーションデザイン」に携わる
  • 積極的に自分から社内のキーパーソンに連絡を取ることで、仕事の幅が大きく広がった

実力主義の環境が育んだデザイナーとしての基礎力

寺西 広太郎氏
デザインセンター 経営デザイン部所属(2021年5月時点)

——— 前職での仕事内容や、経験してきたことを教えてください。

寺西: 富士通に勤めてもう17年経つので、ずいぶんと昔の話なのですが…。以前はグラフィック系のデザイン事務所を2社経験し、雑誌やカタログのエディトリアルデザイン、新聞広告などを制作していました。その当時、職場は完全に実力主義だったため「デザインが上手いやつが1番偉い」という風潮だったのが印象に残っていますね。非常にシンプルな評価軸で汲み取りやすく、それはそれで楽しかったように思います。

デザイナーとしてキャリアを積んでいくために、一か所に留まらずスキルを積んだらより大きな仕事が行える次のフィールドへ移る、というような感覚で職場を渡っていました。ただ、富士通に入ってからは、会社の中でステップアップを積み重ねてきたように感じます。というのも富士通は大きな企業体で、従業員数は13万人以上。業務領域も多様です。だからたとえば、今年はヘルスケアのUI/UX、次の年はリテールの新サービスを考える…など、社内転職のような気分でチャレンジすることが可能です。

——— 次のフィールドを求めて転職を重ねたあと、気づいたら富士通には17年間勤めていたのですね。

寺西: たしかにそうですね。理由のひとつは、ストレートな言い方ですが「人が優しい」からではないかと思います。先輩方が親身になって話を聞いてくれたり、同僚にも相談しやすかったり、居心地の良さはとても感じますね。デザインセンター長の宇田さんもとてもオープンな人柄で面白いですよ。

ただ、会社自体は変化を続けているので、のんびりできて楽、というわけではないです(笑)。これまで富士通ではPCやスマートフォンなどのリアルプロダクトを作ってきましたが、ネットワークサービスが人々の生活の中心になるにつれ、ビジネスモデル自体にも変化が必要になってきました。そんな中、現在富士通ではDX企業への変革を掲げ、ユーザーの体験価値を中心に考える「デザイン思考」を全社に浸透させる試みを行っています。このように、働いていて常に変化があって刺激的なところが、富士通に長居できるもうひとつの理由だと思います。



デザイナーが自由に活動して、ステークホルダーをつないでゆく

——— デザインセンターでは、寺西さんはどのような業務に携わっているのですか。

寺西: 私はデザインセンターの経営デザイン部に所属していますが、ここ数年、自身に課しているテーマは「組織・部署全体のクリエイティブ品質を向上させること」です。

たとえば、富士通グループの研究開発活動の中核をなす富士通研究所(2021年4月1日に富士通に統合)との関わりでは、研究所の活動をデザインで活性化させる取り組みを行ってきました。関係者は研究所の①経営層、②戦略部、③研究員、④所長(AIなど各研究分野のトップ)の大きく4つ。

具体的に、まず①経営層と一緒に研究活動方針の社会的価値を訴求するためのコンセプトやプレゼン資料を制作。②それを戦略部とコンテンツをフォーマット化し、組織のみんなが展開しやすいベースを整える。③研究員とは、個別技術のプロモーション動画を制作したり、サービスのデモ画面を制作して技術にあかるくない人にも魅力が伝わるように工夫します。④所長とは開発した技術的価値を訴求するためのメッセージ設計やプレゼン資料の制作を行い、①の組織全体のコンセプトにフィードバックさせていきます。

このように、経営層から現場までの関係者と一緒に悩みながらアウトプットに落としていきます。せっかく世界に通用する研究開発をしているのに、うまくアピールできないのはもったいない!と思って。プロモーション制作と聞くと産業界や学術界、あるいは消費者とのコミュニケーション手段としても重要ですが、さらにもうひとつ、研究所の活動を他部署と有機的に連動させる役割も果たすことができます。こうして部署間でナレッジを交換し合ったり、人のつながりを作り出すなどして、デザイナーをハブしにして良い組織活動のサイクルを生み出せるように意識していますね。



良い仕事を生み出すコツは、共感して楽しむこと

——— 仕事においてこだわっている点を教えてください。

寺西: 先ほどもお伝えしたとおり、富士通には実にたくさんの分野の仕事があります。それを活かさない手はないなと思い、興味が湧いた部署や案件のキーマンの方に自分から連絡を取って、一緒に仕事させてくださいとお願いしたりしていましたね。与えられた仕事だけではなく、自分から探したり、出会ったりして仕事をするようにしています。ちなみにデザインセンターは自発的な行動を応援、後押ししてくれるカルチャーがありますよ。積極的に自分の世界を広げようとしている人がのびのびと働ける環境です。

経営デザイン部と聞くと、一見抽象度が高くわかりづらい印象があるかもしれません。自分では、この仕事は「コミュニケーションデザイン」である、という言い方がしっくりきています。富士通のインハウスデザイナーとして、社内の製品やサービスのプロモーションに携わり、お客様や企業内のコミュニケーションを設計する仕事です。その上では、13万人いる富士通全社のなかの様々なキーマンとお会いし、その方々の人となりや想いを理解することはとても重要です。

共感しながら活動してれば、自然と魅力のある人達とつながって面白い仕事や、自分だから貢献できる案件が勝手に舞い込むようになる気がします。

——— 最後に、デザインセンターの楽しみ方を教えてください。

寺西: 富士通にはAI歴30年の研究者、宇宙技術のエンジニア、未来社会のビジョンをひたすら考えてる賢人(!)など、最先端で高度な専門領域の方が多くいます。普通、知り合いにいなくないですか?そのような方々と出会い、自分の見識が拡がることは非常に面白い環境だと感じます。

デザイナー職は富士通全社の13万人のうち、たぶん200人くらいで、とても数が少なく希少なんです。だから、積極的に手を挙げれば社内のさまざまな部署が面白がって受け入れてもらえる職種だと思いますね。お得です(笑)。

■データ

  • 所 属 :デザインセンター 経営デザイン部(2021年5月時点)
  • 入 社 :2004年
  • 出身大学:愛知県立芸術大学 美術学部 デザイン学科卒
  • 趣 味 :パグと昼寝
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