自分が手掛けたシステムを将来子どもが使う。そんな夢が叶う職場がここにある(後編)

自分が手掛けたシステムを将来子どもが使う。
そんな夢が叶う職場がここにある(後編)



掲載日 2021年4月12日

富士通株式会社(以下、富士通)が経営方針として掲げるDX企業への変革。その変革において不可欠なデザイン思考は、固定概念や従来の商習慣に捉われず、イノベーションを起こすためのマインドセットであり、また、社員一人一人の想像力を引き出す手法となるものです。デザインセンターには、デザイン思考を実践することが求められ、さらに、富士通全社員に浸透させる役割も期待されています。

デザインセンターに所属するデザイナーの加藤沙織氏は、2006年に富士通に入社、以来、ユーザーインターフェイス(UI)/ユーザーエクスペリエンス(UX)の設計に携わっています。今回、具体的な仕事内容やデザイナーが果たす役割、さらには社員から見た富士通で働くことの魅力について伺いました。

後編のポイント

  • 富士通は、子育てをしながらでも働きやすい環境。
  • デザイナーとして社会的に影響のある仕事に携われるという、富士通の企業価値。
  • 子どもの未来や社会基盤を支えるために、富士通のデザイナーとして大切にしていること。

産休前後や育児中にも無理なく働ける職場

——— 現在は、子育てと仕事の両立をされているとお聞きしました。企業内保育園(富士通社員向けの保育園)もあるそうですが、職場環境についてはどのような印象をお持ちですか。

加藤: 2歳半の子どもを預けながら、時短のフレックス制で勤務しています。通常は8時間勤務ですが、産休明けは時短勤務が認められているので、復帰直後は6時間、その後2〜3カ月単位で30分ずつ伸ばし、現在は7時間勤務をしています。家庭の状況に合わせ、月単位で時短を調整できるのでありがたいですね。時短制度は、希望すれば子どもが小学校を終えるまで利用できます。

子どもは、今は自宅近くの認可保育園に預けています。1歳児での認可保育園の入園は競争率が高かったため、その当時は企業内保育園に預けていました。預けるところがなければ仕事は続けられない状況でしたから、本当に助かりました。新型コロナウイルス感染症予防策として現状は在宅勤務となっていますが、保育園に預けている間に仕事をするというパターンは変わりません。

——— 出産後も女性が不安なく働ける制度が整備されているのですね。職場自体も育児に理解のある環境なのでしょうか。

加藤: はい。産休・育休明けは、復帰前面談で、これから入るチームや業務の説明を受けましたが、その面談も子ども連れでした。復帰後も、子どもの急な発熱で病院に連れて行かなくてはいけないときなどは、制度として子どもの看病を理由に「積立休暇※注1」を使うことができますし、職場の方々もとても協力的です。職場に同様の立場の社員が複数いることもあり、自然な配慮が互いにできていると思います。かつて「女性が働きやすい企業ランキング」で富士通が1位 ※注2になりましたが、実際に、妊娠・出産を経た私の周りの女性社員はほぼ全員復帰しています。

もちろん、育休をとる男性社員も増えてきていますよ。特にここ2〜3年は、男性の育休取得を普通のこととして受け入れる空気ができてきました。私の同期も半年ほど育休をとりましたし、男性女性問わず働きやすい職場だと思いますね。

  • ※注1:
    積立休暇とは、法的には2年間で消滅する年次有給休暇の残日数を積み立て、使用目的に合致した場合に取得を認める任意制度
  • ※注2:
    東洋経済「CSR企業白書」2017年度版より


デザインで社会を支えるというモチベーション

——— 就職活動の際は、職場環境や企業文化は意識されていたのでしょうか。

加藤: 入社にあたっては、どちらかというと「どのような仕事ができる会社なのか」「自分がどう活躍できるのか」ということを主眼に就活していました。正直なところ、富士通は企業規模も大きく歴史ある会社のため、職場環境に心配はなかったのですが、入社してじわじわと環境の良さを感じるようになりました。特に昨今は働き方改革などもあり、入社時に比べてさらに良くなっているのではないでしょうか。また、会社の雰囲気や人間関係もとてもいいですよ。デザインセンターに所属する同期が誰も退職していないのもその現れかもしれません。

社内では、テニスやソフトボールなど、趣味で繋がった集まりも多く、私もテニス部の集まりに参加していて、他社と交流試合などがあります。他にも音楽やゲーム、食など、さまざまなコンセプトのグループがあり、それぞれ楽しんでいますね。そのように部署の垣根を超えて人を知る機会が多いことは、当然、仕事にも生きていると思います。

——— デザイナーとして働く場に富士通を選ばれたのは、どのようなことがポイントだったのでしょうか。

加藤: 今考えると、小学生の頃からクリエイティブなことには興味があったと思いますが、大学に入って、より具体的な仕事を考えるようになり、デザイナーという職業に辿り着きました。

富士通については、就職先を検討する時点から「Human Centric Experience Design」という企業ビジョンに惹かれていました。ユーザーがどう思ってどう使うのかを一番に考える、技術ではなく人を中心に考えるというこのビジョンには今も共感しています。その上で、インターンシップに参加してみなさんの働く姿勢や優しさに触れ、ここで働きたいという気持ちを強くしました。

もう一つは、長年の実績と信頼のある大企業だからこそ、社会を支えるシステムに関われるということです。学生時代からのモチベーションとして、デザインで自分を表現したい気持ちより、自分のデザインで人を助ける・喜んでもらいたい気持ちのほうが大きかった。富士通の社員となった今も、それは変わっていません。



可能性を楽しみ、時代の変化に柔軟に対応していく

——— これまで富士通で仕事をされてきて、自分自身で手応えは感じていますか。

加藤: 実際、日々の生活のなかで、たとえば病院の受付で自分が担当している製品が使われているのを見つけたり、高速道路で見かけた案内板が隣のチームの仕事だったり、図書館で自分が手がけたシステムを見かけたりといったことは少なくありません。仕事として携わった社会を支えるシステムが、自分や自分の身近な人たちの触れるところにあることに大きなやりがいを感じます。

規模が大きい仕事だけに、自分の意思だけで動かすことは難しい面もあるのですが、それでも「こういうデザインだったら」「こういう体験へと改善できたら」という思い、それを実現できる可能性はゼロではない。デザイナーとして、“可能性があること”は幸せなことだと思うんです。この先、自分の子どもが社会に出た時に、「これ、お母さんが手掛けたシステムなんだよ」と言える日が来たらいいですよね。就職を考えている方も「社会基盤を支えるシステムに携わりたい」とか、「世の中の役に立ちたい」という気持ちがモチベーションになる人が、富士通には向いているかもしれません。

図書館システムにおけるデザイン事例

——— 最後に、富士通のデザイナーとして、これからの展望をお聞かせいただけますか。

加藤: 富士通の製品として世の中に出すからには、お客様が安心かつ満足して使ってくださるものでなくてはいけません。私の場合、これまでに担当した製品は、長く使われるものが多かったので、UI/UXに関してもさまざまな裏付けをとり、レビューを受け、検証を繰り返す過程が必要でした。特に医療分野は、もし間違いがあれば人命に関わる可能性もあります。こうした慎重な姿勢は引き続き大事にしていかなくてはならないと思っています。

一方で、製品やサービスは、デジタル化やクラウド化、コネクテッド化するものが増えて入れ替わりも激しくなると予想されます。少しでも不都合があれば、ユーザーはすぐに離れてしまう。市場環境の変化が激しいこれからの時代においては、ユーザー志向やニーズをキャッチし、未来に向けたあるべき姿や付加価値を製品開発に迅速に提言・反映することも求められるでしょう。私は、その双方の意識を常に持ち続け、実践できるデザイナーでありたいですね。

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